FC町田ゼルビア
相馬勇紀インタビュー前編
ワールドカップイヤーとなる2026年。Jリーグは秋春制への移行のため、約4カ月間の特別シーズンとして開催される。
日本代表メンバーのほとんどが海外組となるなか、国内にも虎視眈々とメンバー入りを目指す選手がいる。FC町田ゼルビアで主軸を担う相馬勇紀も、そのひとりだ。
前回のカタール大会にも出場した国内屈指のアタッカーは、海外移籍を経験し、4年前から大きく成長。昨シーズンは9得点・10アシストの大活躍でJリーグのベストイレブンに輝き、天皇杯の優勝にも貢献した。
進化を続ける28歳は、再び夢の舞台にたどり着けるのか。ワールドカップに賭ける想いと、新シーズンへの意気込みを訊いた。
※ ※ ※ ※ ※
── いよいよJリーグの新シーズンが始まります。現在の心境はいかがですか。「ワクワクしていますね。昨年は天皇杯を獲ることができたので、次はリーグを獲りたい。半年の特別リーグになりますけど、やるからにはチャンピオンを目指します。
またACLのほうも、今はいいところにつけているので、まずはサウジアラビアのステージ(集中開催される決勝トーナメント)に進めるように戦い、最後はアジアチャンピオンになれたらなと思っています」
── 天皇杯を制したことを含め、昨季は充実したシーズンだったのではないでしょうか。
「そうですね。個人的にはある程度、数字は出せたかなと。ただ、もう少し伸ばせたなっていう感覚もありました。ふた桁得点・ふた桁アシストにあと1ゴール届かなかったので残念な気持ちもありますが、逆に取れなかったからこそ、引き続き目標を高く持つことができています」
── 2025年は9得点・10アシストと数字が格段にアップしました。昨シーズンは何が最も変わったのでしょうか。
「ポジションがサイドからシャドーに変わったことは、ひとつの要因かなと思います。あとは自分の感覚的なところですかね。
2024年の夏にヨーロッパから帰ってきましたけど、ポルトガルでプレーしたことで、ゴールへの意識も、得点感覚も、フィジカルも上がったという感覚があったんですよ。それをすぐに示したかったのですが、ケガが原因で1年目は示せなかったという悔しい思いがありました。
ただ、昨年はキャンプから身体作りをして、しっかりとコンディションを整えてこられたので、その感覚を出すことができた。だから昨年は何か特別変わったっていうよりも、常にいいコンディションでやれたことが数字に表われたんだと思います」
【黒田監督からの要求は結果のみ】
── 意識の面での変化はありましたか。
「自分はキャプテンタイプじゃないですけど、年代的にも見られ方的にもチームを引っ張らなくちゃいけない立場だなと思っていました。声かけのところは(昌子)源くんや、(下田)北斗くん、(中山)雄太がやってくれたので、僕は結果でチームを導いていこうとプレーしていました」
── 黒田剛監督から一番求められていることはどういった部分でしょうか。
「僕に関して言えば、結果しか求められてないのかなと思っています。もちろん監督のスタイルを全うすることが前提にありますが、『そのうえで結果を出してくれ』と絶対に思ってくれているはずなので、そこは意識してプレーしていましたね」
── 黒田監督にかかわらず、期待されたり求められることは重圧になりますか。
「重圧ではなく、原動力ですね。ポルトガルでプレーしていた時に、やっぱり前線の選手って数字でしか評価されないんですよ。それを痛感させられたんですが、2シーズン目の最後のほうはかなり数字を出せたんです。
そうすると、仲間が信頼してくれるようになりましたし、パスを出してくれるようにもなる。結果を出せばみんなの喜びにもつながりますから、攻撃の選手として結果を出すという気持ちは常に持っています」
── 天皇杯を制した一方で、リーグ戦では6位と、前年の3位から順位を下げる結果となってしまいました。
「そこが今のうちの課題かなと。トーナメントは町田のやり方にフィットしている大会だと思っています。一発勝負なので、ダイレクトプレーを増やしていけばいくほどゴールが近くなるし、先に1点を取れば相手に焦りが出てくるので、守備の強度を保ちながらカウンターで突き放すことができる。
そういう戦い方がフィットしたからこそ、天皇杯で優勝できたんだと思うんです。でも、リーグは勢いだけじゃなく、継続力が求められます。
【W杯はコンディションがすべて】
── 対戦相手の「打倒・町田」という熱意も感じましたか。
「感じましたね。ただ、最初は批判もありましたけど、逆にJリーグのなかで認められてきているんじゃないかと感じていますし、天皇杯を獲ったことでさらに相手が意識するチームになってきたと思っています」
── 今年は半年間の百年構想リーグがスタートします。大会のフォーマットが変わることによって意識に違いはありますか。
「秋冬制に移行するためには、しょうがないことですからね。日本には四季があって、雪がたくさん降るところもあるので難しい面もあると思いますけど、日本サッカーのさらなる発展を考えればシーズン移行はいいことだと思っています。
そのためにも、この百年構想リーグはポジティブにやっていきたい。それに僕らが対戦するのは関東のチームがほとんどなので、移動の負担が少ない。いいコンディションで臨めるのかなと思います」
── 昨年はあれだけの結果を出しました。今年はさらに伸ばしたい点はありますか。
「昨年はゴールの形としてショートカウンターがあったので、そこの精度を高めることは重要ですし、その回数も増やしていきたいです。一方で、クロスを中で合わせて得点する形はそこまで多くなかったので、そこは増やしていきたいと思っています」
── 今年はワールドカップイヤーでもあります。百年構想リーグは日本代表メンバーに入るためにも重要な大会となりますね。
「今の代表には本当にすばらしい選手がたくさんいるなかで、自分はこの百年構想リーグで、とにかくたくさん点を取って、アシストして、結果でアピールするしかないと思っています。
加えて、前回のカタールワールドカップもそうでしたが、コンディションが本当に大事だなと思いました。コンディションがいい選手が活躍しましたし、今はインテンシティが求められる時代でもありますから、コンディションのところはしっかりと高めていかないといけないと思っています」
【日本の感覚とまったく違った】
── カタール大会はメンバーに選ばれましたが、出場は1試合のみでした。あらためて前回大会を振り返ると?
「自分の出たコスタリカ戦は唯一、負けた試合なので、悔しい思いは当然あります。ドイツ戦とスペイン戦はベンチから見ていたんですが、やっぱり大切なのはワールドカップの舞台で活躍することなんですよね。
出ることでも、メンバーに入ることでもなく、自分があの舞台で活躍できる能力を持てるかどうか。そう思っているので、日頃からそこは意識しています」
── ワールドカップを経験したことは、その後のキャリアにどのような影響を与えていると思いますか。
「それまでにも親善試合で海外のチームと対戦した経験はありましたが、ワールドカップの舞台では、足が出てくるタイミングだったり、ボールを隠す位置や深さが日本の感覚とはぜんぜん違っていました。
だから日頃からそれを体感できるように、海外でプレーすることの重要性を感じました。その後にヨーロッパ(ポルトガル/カーザ・ピア)へ移籍しましたが、身体が大きかったり、フィジカルの強い相手への対応などを学べたので、成長できたと自負しています」
(つづく)
◆相馬勇紀・後編>>長友佑都との約束「絶対にワールドカップに行こう」
【profile】
相馬勇紀(そうま・ゆうき)
1997年2月25日生まれ、東京都調布市出身。早稲田大学在学中から特別指定選手として名古屋グランパスでJリーグデビューを果たし、2019年に正式加入。2023年にポルトガルのカーザ・ピアに期限付き移籍でプレーしたのち、2024年7月にFC町田ゼルビアへ完全移籍する。

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