プレミアリーグ後半戦・注目ポイント
【後編】ビッグクラブの勢力図変化
今シーズンの冬の移籍市場は、チェルシーから動いた。
開幕早々の1月1日、エンツォ・マレスカ監督が退陣。
その4日後、ルベン・アモリム監督がマンチェスター・ユナイテッドと袂(たもと)を分かつ。マレスカと同様、チーム強化に決定権を与えられなかった不満が爆発した。
それに対し、チェルシーの対応は素早かった。マレスカの退陣が既成事実であったかのように、提携クラブのストラスブール(フランス)からリアム・ロシニアーを早々に引き抜いてきた。ロシニアーは30代でチャンピオンシップ(実質2部)のダービーやハル・シティを率いた経験を持つ41歳。初のプレミアリーグにしてビッククラブだが、臆することなくリーグ戦4連勝を果たす。チャンピオンズリーグのリーグフェーズ最終節でもナポリをアウェーで退け(3-2)、ノックアウトフェーズにストレートインしている。
ロシニアーは就任後、選手がミスを犯しても「起用した私に全責任がある」と公言。マレスカ解任で揺れ動いていたチェルシー選手の心に平穏をもたらしたという。
一方、マンチェスター・Uは例によってドタバタした。クラブの黄金期を支えたマイケル・キャリックを暫定ヘッドコーチに決定するまで、U-18のダレン・フレッチャー監督で2試合つないでいる。
しかしながら、キャリックは予想以上の好スタートを切ることに成功した。マンチェスター・シティを退け、アーセナルには逆転勝ち、次のフラム戦も後半アディショナルタイムのゴールで勝利し、続くトッテナム・ホットスパー戦も完封勝ちと無傷の4連勝だ。
キャリックは就任後、3バックよりも動きがわかりやすい4バックにシフトチェンジ。ライン間のスペースを狭くしたプランが奏功しているようだ。
チェルシーもマンチェスター・Uもタレントは揃っている。勝ち続けることによって自信が深まり、チームに一体感が出てくると後半戦は快進撃も考えられるだろう。今シーズンの優勝争いは、まだまだ終わっていない。
【シャビ・アロンソ復帰待望論】
チェルシーとマンチェスター・Uが早期の監督解任に踏みきったことで、不調にあえぐクラブのオーナーは色めき立ったに違いない。「我々も動くべきではないのか」と。
特にトッテナム・ホットスパー(スパーズ)である。25節終了時点で7勝10敗8分の15位・勝率28パーセント。
また、スパーズほどではないにせよ、現在6位のリバプールも判断を迫られる状況かもしれない。25節終了時点で勝ち点39は、昨季の同時期と比べて21ポイントも下まわっている。得点は−20で失点は+11と、ファンからすれば納得できない数字だろう。
後半アディショナルタイムに失点してボーンマスに敗れ、無類の強さを誇った本拠アンフィールドでノッティンガム・フォレスト、バーンリー、リーズといった下位クラブと引き分けている。
アルネ・スロット監督のお尻にも、そろそろ火がついてきた。自らのリクエストで獲得したフロリアン・ヴィルツが不調なうえ、起用法を巡るモハメド・サラー、フィルジル・ファン・ダイク、カーティス・ジョーンズとの対立により、ロッカールームの信頼は完全に失われたようだ。
すでに上層部は、レアル・マドリードを退任したばかりのシャビ・アロンソに接触し、色よい返事を得たとの情報まで飛び交いはじめている。2004-05シーズン、リバプールのチャンピオンズリーグ優勝に貢献したシャビ・アロンソ。監督として古巣へ復帰するのか。リバプールは歴史的にシーズン途中の監督解任をよしとしないクラブだが、今の状況では何が起きても不思議ではない。
なお、シーズン中にシャビ・アロンソ体制が発足した場合、運動量の少ないサラーは構想外になる公算が大きい。それはそれで厄介だ。エジプトが生んだ稀代のアタッカーは、控えを甘受できるタイプではない。
リーグ2位のマンチェスター・シティはこの冬の移籍市場で、ブレントフォードからアントワーヌ・セメニョ、クリスタル・パレスからマルク・グエイを獲得した。総額8250万ポンド(約165億円)。買い控えた他クラブを尻目に積極的な強化を推進している。
セメニョは25節終了時でランキング3位の13ゴール。毎シーズン25~30ゴールが約束できるアーリング・ハーランド(現在1位の21ゴール)とともに、マンチェスター・Cの攻撃を牽引するに違いない。
守備の要となるグエイは、シーズン開幕前にリバプールと一時合意まで至った25歳のセンターバックだ。右脛骨の負傷でシーズン中の復帰が絶望的になったヨシュコ・グヴァルディオールに代わり、ルベン・ディアスとともに堅牢な守備陣を築くだろう。実に的確な補強である。
【パトリック・ヴィエラが指摘】
一方、現在首位のアーセナルは市場が開いても動かなかった。
チーム最多得点者はヴィクトル・ギェケレシュの8ゴール。絶対的なストライカーがゴールを量産しているわけではないが、総得点49はマンチェスター・Cの51点に次ぐリーグ2位を誇っており、あらためて補強する必要性も感じられない。
ただ、2003-04シーズンに「無敗優勝」の偉業を成し遂げた当時のキャプテン、パトリック・ヴィエラは次のように語っている。
「チームの士気を高めるリーダーが必要だ。精神力には依然として問題が多い」
優勝を争うマンチェスター・Cのベルナルド・シウバはマインドゲームを仕掛けてきた。
「私がイングランドに来てから9年経つが、アーセナルは一度もプレミアリーグを制していない」
たしかに彼の言葉を借りるまでもなく、アーセナルの主力は優勝の味を知らない。前回優勝は22年も前だ。マンチェスター・Cとマッチレースになった時、経験値と精神力が勝負を左右するのだろうか。
その両者の隙を虎視眈々と狙う3位のアストン・ヴィラの存在も面白い。冬の市場では、イングランド代表歴を持つタミー・アブラハムをベシクタシュから獲得し、2シーズン前まで中盤のレギュラーだったドウグラス・ルイスをユベントスから呼び戻した。この両者は間違いなく即戦力だ。
アストン・ヴィラを率いるのは「稀代の戦術家」ウナイ・エメリ。プレミアリーグの優勝経験こそないものの、セビージャとビジャレアルでヨーロッパリーグを4回も勝ち取った名将だ。中盤のアマドゥ・オナナやブバカル・カマラ、前線のモーガン・ロジャーズなど、ビッグクラブが獲得を目論むタレントも少なくない。
データサイト『Opta』によると、優勝確率はアーセナルが91.41%に対し、マンチェスター・Cは7.09%、アストン・ヴィラは1.36%と、ノースロンドンの名門が圧倒的に優勢だ。しかし、この3クラブは勝ち点9差のなかでひしめき合っている。
2月下旬には本命と対抗が逆転しているかもしれない。プレミアリーグは混迷の度合いを深めながらシーズン後半戦に突入していく。

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