【ミラノ五輪】三浦佳生「気持ちをリセット」SP22位で意気消...の画像はこちら >>

 ミラノ・コルティナ五輪はフィギュアスケート団体の興奮が冷めやらぬなか、2月10日(現地時間、以下同)、個人戦が男子シングルのショートプログラム(SP)から幕を開けた。

 日を追うごとに、各会場でイタリアのホーム感が出ている。

フィギュア団体でイタリアが銅メダルを勝ち獲ったが、男子SPもイタリアのダニエル・グラスルが躍進した。4回転ルッツ+3回転トーループの大技を成功させ、スピンとステップはオールレベル4。93.46点と一時、トップに躍り出た(SP終了時点4位)。もともと地力のある選手だが、導かれるような演技だった。リンク全体がつくり出す熱気をエネルギーに変えていたのだ。

 一方、最終グループのひとつ前、第4グループのトリに登場した五輪初出場の三浦佳生(20歳/オリエンタルバイオ)は、そのフィーリングが合わなかったのか。

 結果から言えば、三浦のSPは76.77点で22位だった。予定していた4回転サルコウが2回転になって、4回転トーループは転倒。表彰台争いどころか、24位までがフリーに進めるなかで、どうにか危険水域を脱した格好だ。

 本来の三浦で言えば、にわかには信じられない点数だったと言える。演技直後、リンクの上の彼の表情は完全に色を失っていた。SPはここ1、2年得意とし、直近の優勝した四大陸選手権もSPは98.59点だった。

グラスルも上回るスコアなのだ。

【いつもどおりにいけば......】

 なぜ、三浦は苦しんだのか。

「なんて言えばいいのか、難しいな」

 取材エリアに現れた三浦は、取り囲んだ記者たちと目を合わせず、うつむいたまま言った。彼自身、茫然自失、意気消沈で頭のなかが整理できていないのだろう。

「残念な気持ちでいっぱいです。6分間練習では思うようなジャンプができず、修正を考えていましたけど、実力が出たのかなと思います。気づいたら、(4回転サルコウが)2回転になっていました。サルコウの(回転が抜ける)パンクはここ数年、ショートではしていなかったので、自信を持って跳びにいって、なかなかないミスになってしまい、『ん?』って思いました。だけど気持ちを切り替えてアクセルを跳んだあと、またトーループが失敗になってしまい......残念です」

 三浦はとつとつと語りながら、「いつもどおり」という表現を2度、3度と使っていた。安定してアベレージを出せるまで技量を高めてきた自信があったのだろう。ただ、すべてが少しずつずれていた。

「トーループは、いつもどおりに冷静にいけば跳べると思っていましたが、跳び上がりの時点でダメだなって。完全に軸が後ろにいっていたのでわかりました。

靴の影響? それは関係ないです。練習で跳べていたわけだし、実力が足りなかっただけです」

 2月8日の公式練習中にスケート靴が壊れるアクシデントが発生。三浦は靴に問題はなかったことを強調したが、決して万全には見えなかった。同日の公式練習ではサルコウやトーループを何度も跳んでいたが、パンクする回数も多かった。本調子には見えず、どこか表情も曇っていた。さまざまな要因が絡み合っているのだろうが......。

【フリーで巻き返しを狙う】

 三浦は世界でも有数の疾走系スケーターで、激情がたゆたうような演技を持ち味にしている。一方で爆発力は諸刃の剣で、波の激しさにもつきまとわれてきた。それが今季はメンタル面が安定したのか、GPシリーズから全日本選手権までは高いレベルを維持して戦い抜くことができた。

「今シーズンはスケートの調子はいいのになんでできないのかって悩みましたが、あきらめずに過去一番追い込んで、自分が自分を信じきれました」

 全日本で表彰台に乗ったあとに三浦はそう語っていた。SP、フリーをまとめ、総合3位でミラノ行きを確定させたのだった。それだけに、期待されたSPだった。

「大きな大会にこうして派遣してもらって、結果が出せない悔しさ、もどかしさはあります。でも、フリーに向けては気持ち切り替えて。2年前の世界選手権、(SP17位から大逆転の3位表彰台に上がった)アダム・シャオ・イム・ファのようなこともあるので。今回は今回で、勝負事は最後まで諦めずにやっていきたいと思います」

 果たして、フリーで巻き返せるか。

「中1日あるのは助かりますね。一回、気持ちをリセットさせられるので」

 三浦は少しだけ顔を上げて言った。

 フリーは13日、三浦は第1グループ3番手で滑走する。どこまで順位を上げられるか。晴れ舞台の五輪、勝負をあきらめてはいない。

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