ブンデスリーガ日本人選手レポート 前編

 今月末に控えるサッカー日本代表のスコットランド戦、イングランド戦にどんなメンバーが選ばれるのかが注目されるなか、多くのプレーヤーが所属するブンデスリーガの日本人選手たちの近況はどうなっているのか。現地で取材を続けるライターの林遼平氏にレポートしてもらった(データは第25節終了時点)。

サッカー日本代表に何人入る? 海外組最大派閥ブンデスリーガ日...の画像はこちら >>
堂安律
(フランクフルト/MF)
25試合出場/4得点6アシスト

 昨夏の加入後、フランクフルトの中心選手として活躍を続けてきた堂安だが、チームの不振に伴い指揮官がアルベルト・リエラ監督に代わってからは、少しばかり出番を減らしている。新たなスタイルを模索するチームにおいて、本来のワイドではなく中盤での起用が増えており、直近2試合はベンチスタートと難しい状況にあるのは間違いない。

 ただ、コンディション自体は決して悪くない。限られた出場時間でも攻守に高いインテンシティを保ち、起点となるプレーで存在感を発揮。攻撃面での力強さは影をひそめているが、安定感をもたらすプレーでチームを確実に支えている。トレーニングから変わらずハードワークを続けることで、再びポジション奪取を狙いたい。

 クラブでの出場時間が一時的に減少していても、今回の日本代表において右サイドのファーストチョイスで変わりはないだろう。クラブでは中盤のポジションをこなすことが増えているが、代表では得意のワイドで起用される可能性が高い。

 切れ味鋭いドリブルと攻守に上下動できる運動量といった、彼自身の特長を十二分に発揮できるポジションで、今までどおり輝きを放ちたいところだ。

伊藤洋輝
(バイエルン/DF)
10試合出場/1得点2アシスト

 バイエルン加入後、ケガの影響もあり思うようなパフォーマンスを発揮できていなかったが、昨年11月に復帰して以降はコンスタントに出場を重ね、及第点以上のプレーを続けてきた。

 特にボールを保持する時間が長いバイエルンにおいて、最終ラインから攻撃を組み立てる能力は重宝され、起用された際には左サイドバック(SB)ながらボランチの位置に入ってパスの供給をするなど、柔軟なプレーで貢献度を高めている。

 アルフォンソ・デイヴィスがケガから復帰して以降はベンチに座る時間も増えたが、途中出場でゲームを締める役割をこなして評価を得た。

直近2試合は右ハムストリングの負傷で欠場したが、すでにトレーニングを再開したという報道もあり、復帰も間近と見ていいはずだ。

 そうなると注目されるのが、昨年3月以来となる日本代表への招集だ。ここ1、2年はケガの影響で代表に選ばれる回数がめっきり減っていたが、万全な状況であれば呼ばれるだけの実力を持つ選手であることに違いはない。

 左利きのセンターバック(CB)は代表でも稀有な存在で、SBをこなせるユーティリティ性もある。冨安健洋や板倉滉(共にアヤックス)らのコンディションが不安視されるなか、バイエルンの基準を知る伊藤の帰還は、森保ジャパンにとって最大の補強のひとつと言えるだろう。今回の代表活動で自身の力を証明し、W杯行きに近づきたいところだ。

菅原由勢
(ブレーメン/DF)
23試合出場/0得点3アシスト

 昨夏にブレーメンへ期限付き移籍で加入した菅原は、新天地で右SB、右ウイングバックのスタメンを奪取。長らく先発出場を続け、自慢の攻撃力を売りにブレーメンの攻撃に厚みをもたらしてきた。

 ただ、チームが不振を極めたことで、2月1日に菅原を重宝してきた前任のホルスト・シュテッフェン監督が解任され、新たにダニエル・ティウネ監督が招聘されると状況は一変。新指揮官の初陣と2戦目をベンチから戦況を見守ることになってしまった。

 しかし、ここで踏み止まったのが菅原だ。指揮官交代後、3試合目で初めてスタメン起用されると、攻撃面のみならず守備面でも期待に応えるパフォーマンスを披露。

加えて、持ち前のキャラクターでチームを盛り上げ、新年初勝利に大きく貢献した。大事な試合で結果を残したこともあり、続く試合でもスタメン出場。新監督の信頼を掴んだと言っても過言ではないはずだ。

 この勢いを持続し、今回の日本代表でも結果で応えたいところだ。代表では主力の立ち位置ではないが、途中出場で状況を変える力を持っているのは間違いない。まだまだW杯行きが確定しているわけではないため、クラブで示している力を代表でも表現して、自身の価値を高めていきたいところだ。

町野修斗
(ボルシアMG/FW)
23試合出場/3得点0アシスト

 2026年になって町野の状況はあまり芳しくない。ボルシアMGが長身FWと快速アタッカーを前線に配置するスタイルを選択したのが理由のひとつではあるが、町野自身も途中出場でチャンスをもらった際に大きなインパクトを残すことができず、苦しい時期が続いているのだ。

 それでも、一時期の低調なパフォーマンスは脱したと言っていい。実際、第22節のフランクフルト戦以降は、「昔のプレーを見直した」と本人も言うようにチャレンジングでダイナミックなプレーが増えた印象がある。先週末のバイエルン戦でも途中出場でピッチに投入されると、数的不利のなかで前線の起点を作るなど孤軍奮闘。決めきることはできなかったが、短い時間で4本のシュートを放ち、相手に脅威を与えた。

 あとは"結果"が必要になる。いかにいいプレーをしていようが、ストライカーにはどうしても数字が求められる。残りのシーズン、しっかりと結果にフォーカスすることで序列を上げていきたいところだ。

 日本代表にしても同じことが言える。クラブでベンチ生活が続いているようでは、今までの積み重ねがあるとしても最後にメンバーから外れてしまうことだってあり得る。そういう意味でも、今回の活動では確かな結果を残す必要があるはずだ。まずはクラブで結果を残し、いい流れで代表に臨んでいきたい。

高井幸大
(ボルシアMG/DF)
6試合出場/0得点0アシスト

 今冬の移籍後、少しずつ調子を取り戻し始めているのが高井だ。

 昨夏に加入したトッテナムではケガの影響もあり出場機会を得ることができず、期限付き移籍という形でボルシアMGに新天地を求めた。新たなクラブではコンスタントに出場機会を得るに至っている。

 川崎フロンターレ仕込みの技術力の高さはブンデスリーガの舞台でも通用することを示し、空中戦でも力強いプレーを披露。スタメン確保とまではいっていないが、着実にチーム内の評価を高めつつある。

 もちろん、すべてがうまくいっているわけではない。ピッチ内では欧州独特の"強度"に苦戦する姿が映る。運動量や攻守の切り替えといった点はまだまだ課題だ。また、ケガやコンディション不良で欠場する試合もあり、安定感という面で物足りない点は目を逸らしてはいけないポイントだ。新たな舞台で得た経験をどのようにつなげていくか。それは今後のキャリアにとっても重要なものとなるだろう。

 現在の負傷状況が気になるところだが、ケガから復帰できれば、今回の日本代表にも呼ばれることになるはずだ。まだまだ主力を脅かすほどではないが、次代を担うCBとして様々な経験を積むのは重要。ここで復活をアピールしてW杯行きにつなげたいところである。

>>後編「鈴木唯人、藤田譲瑠チマ、安藤智哉は日本代表での序列を上げられるか」へつづく

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