ブンデスリーガ日本人選手レポート 後編
サッカー日本代表のスコットランド戦、イングランド戦にブンデスリーガの日本人選手たちからは何名が選ばれるのか。後編でもチームのレギュラーから今冬移籍の選手まで候補5名をピックアップ。
>>前編「堂安律、伊藤洋輝、町野修斗......代表で活躍が望まれる選手たちの近況は?」
佐野海舟(マインツ/MF)
25試合出場/1得点1アシスト
現在、ブンデスリーガでプレーする日本人選手のなかで、最も安定したパフォーマンスを披露していると言っていいだろう。
クラブの状況は決してよくない。残留争いに巻き込まれるチームのなかで、佐野が難しい立ち回りを求められているのも明らかだ。それでも、ワンボランチという形で「チームの心臓」として縦横無尽に動き回り、ブンデスリーガ屈指の「回収力」でチームを支え続けている。
相手の懐に鋭く潜り込むタックルでピンチの芽を摘み、攻守の切り替えの起点となる姿はどの試合でも見られており、この2年でマインツの中心選手という立ち位置を確立した。試合に出ずっぱりな点は気になるところだが、「ケガは大丈夫」とコンディションを落とす気配がないのもさすが。この流れを継続していきたい。
クラブでのパフォーマンスは自信へと変わり、最近では日本代表でもその存在感を高め続けている。特にボランチのポジションでは、遠藤航(リバプール)が負傷離脱し、田中碧(リーズ)が出場機会を失うなど、調子のいい選手が多いわけではない。鎌田大地(クリスタル・パレス)や守田英正(スポルティング)らとポジション争いをしながら、今回の活動でも存在感を示せれば、W杯の舞台で主力としてプレーすることも不可能ではない。
今回の活動は、代表ボランチの序列を決定づける意味でも重要な試金石となるはずだ。
鈴木唯人
(フライブルク/MF)
20試合出場/4得点2アシスト
今シーズン、最も評価が変わった選手のひとりだ。シーズン序盤は新天地であるフライブルクで出場機会を失う時期も経験したが、少しずつブンデスリーガの舞台に適応し始め、今では主力の座を確保した。
大きく変わったのはプレーの強度だろう。序盤戦で出場機会を得た際には周りのインテンシティに遅れを取る場面が散見され、攻守にハードワークを求めるフライブルクにおいて浮いた存在になってしまっていた。ただ、課題に向き合い続けた鈴木は、トレーニングなどを通してプレーの変化をピッチで示した。その強度の変化が監督の目に留まり、インテンシティが高い上で、攻撃においてアクセントを付けられる存在へと進化を遂げたのである。
ここ最近は得点やアシストといった数字に関わる場面も増えてきており、周囲からの評価は高まるばかり。ここからより多くの結果を出すことで、存在感をさらに高めていきたい。
今回の代表活動は、間違いなく呼ばれるはずだ。シャドーのポジションでは南野拓実(モナコ)が負傷している状況で、彼に代わって起用される可能性は高いだろう。森保一監督が求めることは、フライブルクで表現しているプレーに近いはず。前線から高い強度と攻撃面のクオリティを見せ、自身の力を証明したいところだ。
藤田譲瑠チマ
(ザンクトパウリ/MF)
24試合出場/1得点3アシスト
昨夏に加入後、ザンクトパウリの主力選手のひとりとなったのが藤田だ。シーズン序盤はボランチで起用されていたが、攻撃面でアクセントを付けられることを評価され、中盤戦以降はシャドーにポジションをスイッチ。最初は慣れないポジションで数字を残せずにいたが、第23節のブレーメン戦で決勝点を奪い、ついにチームの勝利に直結する結果を残した。
本来のポジションであるボランチでプレーしたい思いは当然あるだろう。ただ、残留争いに巻き込まれているチームの現状を考えると、ひとつ後ろではボールを捌くよりはじき返す力が求められる。今の藤田に期待されているのはより前での仕事であり、シャドーで結果を積み上げていくことが今後の序列を左右する。
そういう意味では、日本代表においてはクラブでの経験がそのまま武器になる。ボランチは選手層が厚い一方、シャドーは手薄な感があり、両方をこなせる藤田の価値は以前より高まっていると見ていい。今回の代表活動でシャドーとして試される可能性は十分にあり、そこで結果を残せれば、W杯行きへの道が一気に開けてくるはずだ。
安藤智哉
(ザンクトパウリ/DF)
7試合出場/0得点0アシスト
約2カ月で急激に評価を高めた。
今冬、アビスパ福岡からザンクトパウリへの移籍を実現させた安藤は、加入直後こそ言語の壁にぶつかるなど、新天地の環境に適応できずに出場機会を得られなかったが、1月27日のライプツィヒ戦を機に主力の座を奪取。そこからコンスタントに出場機会を重ね、欧州の"個"の強い選手たちへの対応に苦労しながらも、持ち前の力強いプレーで存在感を発揮している。
チームが残留争いに巻き込まれているなかで、守備的な戦いを選択していることも安藤の評価を高めた一因と言える。最終ラインで相手の攻撃を跳ね返すことが求められており、安藤も対人戦のところでフィジカル負けしないパフォーマンスを披露。加えて、簡単にボールを手放さず、ビルドアップに参加する姿も好印象を与えている。言語面でのコミュニケーションがさらに向上すれば、より練度の高い守備を見せることができるはずだ。
このパフォーマンスは、森保一監督の目にも映っているはず。これまでは確実に代表に呼ばれる存在というわけではないが、ケガ人の多い最終ラインのことを考えれば、今回の代表活動で呼ばれる可能性はある。今回の2試合がW杯行きへのラストアピールになるのは間違いなく、そこで最高の自分を見せつけて強いインパクトを与えたい。
塩貝健人
(ヴォルフスブルク/FW)
7試合出場/1得点0アシスト
今冬、20歳のストライカーは大きな決断をした。オランダのNECナイメヘンで十分な活躍を見せるなか、今夏のW杯出場を目指し、もうひとつ上のレベルに自分の身を置くことを選択したのだ。
ただ、ヴォルフスブルクで待っていたのは厳しい現実だった。ここまで途中出場を中心に起用されているが、チーム状況の悪さが加わっているとはいえ、7試合で1得点のみ。ブンデスリーガの舞台で結果を残し、一気に日本代表へという思いとは裏腹に、苦しい時期が続いている。
それでも、自身の武器のひとつである"走力"では存在感を発揮している。周りと比べてもプレッシングのスピードは段違いで速い。直近のハンブルク戦でも相手DFをスピードでぶっちぎるなど、ジョーカー的な存在としての能力は魅力的だ。これが先発でも常時見られるようになると、序列は大きく変わってくるだろう。
着実に自身のプレーを進化させている塩貝だが、今回の代表活動に呼ばれるかは、現時点では招集圏内ギリギリといったところか。上田綺世(フェイエノールト)や後藤啓介(シント=トロイデン)といった選手が結果を残しているが、そのふたりに続くストライカーないしはシャドーもできるストライカーが軒並み調子を上げていない現状がある。
彼の走力は森保ジャパンでも輝く余地があるため、チャンスはゼロではないだろう。あとは残りの試合でどれくらいの結果を残すことができるかが、ポイントになるはずだ。

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