エースをねらえ! ヤクルト再建を託された4人の投手(後編)
前編:ヤクルト再建を託された先発陣 吉村貢司郎と奥川恭伸が挑む143イニングの壁>>
3年連続でBクラスに沈むヤクルトにとって、大きな起爆剤となり得るのが先発投手陣だ。前編で紹介した右腕の吉村貢司郎と奥川恭伸に続き、後編では左腕の高橋奎二と山野太一に、今季にかける思いを聞いた。
【課題は右打者への投球】
山野は今季のテーマについて、「右打者ですね」と語った。プロ5年目となった昨季は、肩のケガで離脱もあったが、14試合に登板して自己最多の5勝をマーク。プロ入り後初となる貯金もふたつ残した。
「右打者への被打率が高かったので、そこへの意識を強くやっています。インコースで仕留める技術や球種のコンビネーション、決め球の使いどころを見直したい。あとは完璧を求めすぎず、余裕を持って投げたいです」
沖縄・浦添キャンプでは「落ち球の被打率も高く、そこで抑えられないと勝てないので決め球に使っていけたら」と、新球の"スプリットチェンジ"にも取り組んだ。
「球速が130キロ前後なので、真っすぐとの相性はいいのかなと感じています。ストレートは昨年、自己最速の150キロを計測したので、今は意識的に上げようと思っています」
シーズンをフルに戦ったことのない山野にとって、先発ローテーションの柱やエースとは、どのようなイメージなのだろうか。
「カードの頭を任され、相手投手より先に点を与えないこと。この人に任せたいと思わせるオーラや雰囲気も重要で、マウンドで弱気な姿は見せてはいけない。以前はそういう部分もありましたが、今は積極的に攻める気持ちで臨んでいます。調子が悪くても流れを渡さず、試合をつくる。それがエースだと思うので、まだその段階ではありませんが、いずれはそこを目指したいです」
キャンプでは「チームとして先発の物足りなさを指摘され続けていますし、常に中継ぎ陣に負担をかけている。
「昨年は規定投球回に届いた投手がいない状況で、自分も80イニングほどしか投げられませんでした。完投や完封には試合前やイニング間を含めて200球近くが必要になるので、球数を投げるなかでしかわからない"疲れてからの体の使い方"を知るために投げ込みました」
今季の目標については、「チームで一番の成績を残したい」と言葉に力を込めた。
「昨年より1勝でも多く、最終的には二桁勝利を目指したいです。規定投球回は意識しすぎず、まずは目の前の一試合に集中する。先発としては防御率2点台を目標に、ローテーションを守り続けたい。チームとしても優勝、日本一を目指し、その思いで一日一日を過ごしていきます」
山野は今キャンプでブルペンのトリを務め、オープン戦でも安定した投球を継続。開幕2戦目での先発が有力視されている。
【二軍戦で152キロをマーク】
高橋は下半身のコンディション不良の影響で、二軍キャンプからのスタートとなった。今季のテーマについては「自分に過度な期待はせず、やるべきことをしっかりやる」と語った。
「これまでは自分に期待しすぎることで力みにつながっていた部分もあると思うので、そのくらいのスタンスでやりたいですね。期待しすぎると『10勝しなアカン』と考えてしまうので......。もちろん目標として頭の片隅にはありますが、力まずやっていきたい」
プロ入り後の通算成績は33勝33敗。
「いいシーズンもあり、日本代表にも選ばれたこともありました。ただ、ケガで離脱することが多く、そこは大きな課題です。納得はまったくしていませんし、まだ自分の体を把握しきれていない。100%の状態で1年間ローテーションを守る難しさは、11年やっても正解が見つからない。つかみかけては離れる......その繰り返しですね(苦笑)」
若さを前面に出していた高橋も、気がつけば多くの後輩が入っていた。
「若手の頃は、石川(雅規)さんや小川(泰弘)さんを驚かせてやるくらいの気持ちでやっていました。そういう意味では、二軍から『コイツいいぞ』という選手がどんどん出てきて、僕たちもうかうかしていられない。投手陣でそうした競争が生まれれば、いい循環につながると思います」
3月21日、二軍の日本ハム戦(鎌ヶ谷)で、高橋は今季初の実戦登板。最速152キロを計測し、「少し出来すぎなくらいでしたが、しっかり出力を出せたのはよかった」と、2回を無安打無失点、31球と上々の内容だった。
「次回からは球数もイニングも増えてくると思うので、体力面を確かめながら、しっかり打者と勝負していきたいです」
今季のイメージについて聞くと、少し考えてから「ケガなく終えたいです」と小さく笑った。
「ケガをすると本当に何もできないので。今年は10年目を終えての"新たな1年目"という気持ちで、1月から体を見つめ直し、もう一度スタートしています。これまで期待に応えられないシーズンもありましたが、一軍で投げることがいちばんの恩返し。チームに勢いをもたらせるような成績を残したいですし、そのためにも焦らず取り組んでいきたいです」
【もうやらなきゃいけない年齢】
石川雅規は、これまで高橋や山野とキャッチボールを重ねながら、さまざまな助言を送ってきた。大ベテラン左腕の目に、ふたりの成長はどのように映っているのだろうか。
「山野は完璧を求めすぎている印象がありますね。もう少し遊び心を持って投げられれば、さらに殻を破れるのではないかと期待しています。
奎二は年間を通して投げれば『これくらい勝てる』という期待値があると思います。だからこそ、ケガが続くなかで今の自分に合うやり方を見つけることが大事。自分の体と向き合いながら、日々の取り組みを工夫していけば、リスクも減らせるはずです」
そして石川は、高橋、山野、吉村、奥川の4人について、「もうやらなきゃいけない年齢ですよね」と言い、このように語った。
「僕はエースというよりイニングイーターでしたが、この4人にはエースになれるポテンシャルがあります。勝ち負けを繰り返すなかでも連続して崩れなければ、ローテーションを守って25試合以上、143イニングはクリアできるはず。
ヤクルト再建のカギは、この4人に託された。その覚悟が試されるシーズンが、いよいよ幕を開ける。










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