サッカー日本代表を「母国」イギリスの記者はどう見ているか 「...の画像はこちら >>
 3月28日(現地時間)にスコットランドと、3月31日(同)にイングランドと対戦する日本。果たしてサッカーの母国、イギリスの人々はこの試合をどうとらえ、日本代表にどんな印象を抱いているのか。
スコットランド、イングランドのジャーナリストに聞いた――。

 3月も後半に入り、2025-26シーズン最後の代表ウィークが訪れる。開幕まで約2カ月半と迫るワールドカップを前に、事実上、最後のテストマッチ2試合。英国における"ホームネイションズ"のうち、本大会出場を決めているイングランドとスコットランドは、「日本戦」が共通項だ。

 ひと足早く3月28日(現地時間)に対戦するスコットランドにとっては、日本戦は今や格上との対戦とも言える。FIFA世界ランキングという格付けに従えば、スコットランドの38位に対し、日本は19位(3月25日時点)。ワールドカップにおける歴史的な「格」でも、もはや上位とは言い難い。

 スコットランドは1954年初出場、過去の出場回数では8対7で上回っているものの、5大会連続で出場した1974年大会~90年大会を含めても、16強入りの経験がない。これに対して日本は、今回が8大会連続出場となるワールドカップで、"5度目の正直"となる16強突破が最低目標だ。

 そんな日本の印象を、ふだんの現場でよく一緒になるベテランのスコットランド人記者、ジュリアン・テイラーに尋ねてみた。

「強いチームとまでは思っていないが、技術レベルの高いハードワーカー揃いの優れたチームという印象がある。以前は、多くのスコットランド人がそうだったように、日本人のサッカー選手自体をほとんど知らなかったのだけどね」

 そう切り出した彼は、セルティック時代(2005~2009年)の中村俊輔に目を開かされたと言う。

当時、お膝元のグラスゴーに住んでいたジュリアンは、素顔は市内のライバルであるレンジャーズのファンであったにもかかわらず、こう言っている。

「華奢に思えたが、関係なかった。あれだけのタッチとビジョンがあれば、タックルが飛んでくる前に決定的な仕事ができる。近年、(古橋)亨梧(現バーミンガム/イングランド2部)や、(前田)大然のパフォーマンスも目の当たりにしてきた地元の人々は、もう日本人選手が活躍しても驚かない。実力があるとわかっているから」

【イングランドは優勝が「至上命令」】

 現在はイングランドに拠点を移し、オンラインメディアの『キャピタル・フットボール』などに寄稿する彼は、今季は日本人10名がいるチャンピオンシップ(2部)の試合会場にも足を運ぶ。

「サウサンプトンのカウンターの速さには驚いたが、(右)ウイングにいた彼(松木玖生)は球際に強いし、ヘディングでも負けていなかったな」と言うと、「本番を前に、日本のように組織力も個々のクオリティもある相手と対戦しておくのはいいことさ」と、付け加えた。

 では、強豪国の立場で日本に上から目線を向けるイングランドは? 

 世界ランク4位の"スリーライオンズ"は、スコットランドの3日後、「聖地」とも呼ばれるウェンブリー・スタジアムに"サムライブルー"を迎える。日本は「優勝」を大目標に掲げてワールドカップに挑む。一方、イングランドは優勝が「至上命令」に等しい。

 ガレス・サウスゲイト前監督のもと、前回ワールドカップでは準々決勝で敗れ、続くEURO2024では2大会連続の準優勝に終わったイングランドは、一時的に母国人監督路線を捨て、クラブレベルでは欧州主要リーグやチャンピオンズリーグで優勝歴を持つトーマス・トゥヘルを指揮官に迎えている。外国人のなかでも、歴史的な宿敵ドイツから監督を呼び寄せており、1966年大会以来となる通算2度目の優勝以外は失敗とみなされるワールドカップだ。

 そのイングランドから見た「日本像」を、旧知の英国人ライター、ジョナサン・ウィルソンに尋ねてみた。

すると、最終準備段階での対戦相手として、やはり日本に違和感を抱いていなかった。

「国際親善試合では、各地区のチームと対戦しておきたいというニーズがある。たとえば、去年の6月にはセネガル戦があった。内容も結果(1-3)もイマイチどころではなかったにせよ(苦笑)、アフリカ勢とのテストマッチは済んだことになる。3月27日に対戦するウルグアイは南米勢。そしてアジア勢ということになるわけだけど、試合を組む以上は、観衆の興味も引かなくてはならない。その点でも、現時点では日本が最も魅力的なアジア勢だと言えるんじゃないかな」

「ワールドカップでもよく見かけるようになって、イングランドでプレーする選手も複数いる。この手のテストマッチは、いつもノルウェーやポーランドが相手のような気がするしね。ノルウェーには従来とは違うチームカラーがあるにしても、日本戦のような新鮮なカードのほうがいい。対戦相手に選んだ意味は理解できる」

 日本との初顔合わせは1995年。母国開催だったEURO1996への準備として行なわれた「アンブロカップ」という国際親善大会で実現を見た。

 この時の日本の存在意義は、仮想"サプライズ集団"といったところか。

招かれたほかの2カ国はブラジルとスウェーデン。前者は言わずと知れたサッカー王国で、当時ランキング1位。後者はランキング6位だったが、その前年、イングランドが予選突破に失敗していた94年アメリカワールドカップで3位につけていた。

 世界ランキング35位で、国内で2年前にプロリーグが始まったばかりだった日本については、当時、イングランドを率いていたテリー・ベナブルズ監督も「未知数」と表現していた。
(つづく)

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