3月31日(現地時間)に日本代表とウェンブリー・スタジアムで対戦するワールドカップ優勝候補、イングランド代表。両者は過去に3回戦っており、最初の対戦は1995年に行なわれた「アンブロカップ」という国際親善大会だった。

「未知数」(当時のイングランド代表・テリー・ベナブルズ監督)と表現された日本はいま、かの地でどう映っているのか。現地のジャーナリストに聞いた――。

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 それから31年。旧ウェンブリー・スタジアムで行なわれた日本戦の観戦プログラムでは、「中盤深部からの攻め上がり」が特長として紹介されている元代表MF森保一が、代表監督として新ウェンブリーに乗り込む日が来ようとは――。

 そのプログラムでは、"カズ"こと三浦知良(現福島ユナイテッド)が、日本サッカーにおける時代の寵児として見開きで紹介されてもいる。ただし、メンバー紹介ページに掲載された別の写真は、実兄で元代表DFの三浦泰年のもの。それぐらい国際的には"知られていない"チームだった。

「日本サッカーは、イングランドでもはるかにリスペクトされるようになっているよ」と、イングランドのライター、ジョナサン・ウィルソンは言う。

「2000年のアジアカップを現地で取材したことがあるけど、当時の日本も非常にいいチームだった(GKには川口能活、MFには稲本潤一中村俊輔など、のちに英国でプレーする顔ぶれがおり、通算2度目の優勝を果たす)。サウジアラビアを4-1で下したグループ初戦はよく覚えている。当時と今を比べれば、海外での経験値もダンチの差だ」

 そう言って、田中碧(リーズ)、鎌田大地(クリスタルパレス)と、今季のプレミアの日本人を挙げ始めると、彼に話を聞いたチェルシー戦のメディア用ラウンジで隣にいたイングランド人のレポーターが、「おいおい、忘れてもらっちゃ困るな」と突っ込んで、三笘薫(ブライトン)の名前を挙げる。そしてジョナサンが続けた。

【テクニックとハードワークはすばらしいが...】

「もちろん遠藤(航、リバプール)もいるし、選手が大陸側に散らばっていることも知っている。日本というチームは20~30年前とは違って、エキゾチックでもなければ、得体の知れない存在でもない」

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1995年の観戦プログラムで紹介された三浦知良。違う選手の写真が掲載されていた
 今季のプレミアは、計20クラブに所属する選手の7割強を非イングランド人が占める。30人台のフランス人やブラジル人と比べれば少数だが、日本人の数は3名のウルグアイを上回ってもいる。21世紀に入った時点ではひとりもいなかったのだから、複数名が当たり前となりつつあるインパクトは大きい。

 そこで、対外的にも「強い」と認められているイングランドとの違いを訊いてみた。

 35名と大人数のスカッドで3月の2試合に臨むイングランドでは、「ナンバー10」の人選が大きな争点になっている。人材は豊富だが、指揮官トーマス・トゥヘルが、同タイプは「スタメンにひとりで十分」としていることから、フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)やコール・パーマー(チェルシー)にも最終メンバー漏れの可能性がある。

 ジョナサンは、「日本の試合を追っているわけではないから、今でもそうなのかはわからないけど」と前置きしたうえで、次のように語った。

「2000年のアジアカップをレバノンで取材中、フィリップ・トルシエ(当時の日本代表監督)や、イビチャ・オシム(2006~07年の日本代表監督)と話をする機会があってね。ふたりとも、日本人選手について同じようなことを言っていた。『フィットネスと仕事を全うする姿勢は抜群。ただ、どういうわけか、決めきれない部分とイマジネーションに欠ける部分がある』と。

 プレミアにいる今の4人を見ても、テクニックとハードワークはすばらしい。三笘の1年目(2022-23シーズン)なんてセンセーショナルだったし、大学の卒論テーマがドリブルだったことは、こっちでも知られている。それでもやはり、試合でのフィーリングというか、瞬間的な閃きというか、何かが足りないような気はする。自分に、それを判断する資格はないけどね。そういう意味でちょっと"違っていた"日本人選手というと、今でも中田(英寿)が思い浮かぶ」

 かく言うジョナサンも、決して楽ではないワールドカップのグループFからの日本の勝ち上がりは、十二分に可能性があると見ている。

「チュニジアほど弱気なチームは珍しい。日本が勝てない理由などないさ。オランダも無敵なんかじゃない。残るプレーオフ経由のもう1チームは、それなりのチームだということ。チュニジア戦で勝てば、グループステージ突破の確率は俄然高まるわけで、次の32強はクジ運を含めて何が起こっても不思議じゃない。(代表史上初の)8強入りするだけでも立派な成果だと思うけど、大目標の達成に向けて幸運を祈るよ」

 イングランドでも、確かな実力を持つチームとして認識されている日本。互角以上の戦いを見せてしかるべきスコットランド戦、ワールドカップ優勝候補との腕試しに挑むイングランド戦を経て、もう一段階、英国人が持つ"日本像"の殻を破ってもらいたい。

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