福田正博 フットボール原論
■イギリス遠征で2連勝したサッカー日本代表。これでW杯メンバー発表前最後の強化試合を終えたことになる。
【よさを見せたボランチのふたり】
日本代表はスコットランド、イングランドとのアウェー2連戦を共に1-0で勝利した。今回強く感じたのは、選手たちが萎縮せずに堂々と戦っていたことだ。相手にボールを持たれても慌てる様子がない。
理由は明快だ。ヨーロッパに拠点を置いて日々を過ごす選手たちにとって、あの雰囲気はすでに「日常」なのだ。
その象徴が、イングランド戦終了後に伊藤洋輝がハリー・ケインと話し込んでいた光景だ。日本戦はケガの影響で欠場したが、ケインという世界屈指のストライカーは、伊藤にとってはバイエルンのチームメイト。
ケインやジュード・ベリンガムといった主力選手を欠いたことが、日本代表の勝利につながった可能性はあるが、彼らがピッチにいたとしても日本代表の戦いぶりは変わらなかったのではないかと思う。
スコットランド戦はベストメンバーではなく、いわゆるW杯メンバー入りの「ボーダーライン上の選手たち」が与えられたチャンスをしっかりものにした。W杯を見据えた時、この選手たちが日本代表躍進のカギを握っていると言っていい。
W杯は全試合をベストメンバーで挑めるわけではない。
W杯グループステージは初戦にオランダ、次戦でチュニジア、3戦目にスウェーデンと戦う。大事になるのがチュニジア戦だ。初戦をベストメンバーで挑む場合、この2戦目は主力を温存しながら勝利をつかみ取りたいからだ。
その視点を持ってスコットランド戦のボランチに先発起用された田中碧と藤田譲瑠チマを見たのだが、彼らはとてもいいプレーをしていた。田中碧は前回W杯経験者のため想定内だが、藤田が自分らしさを発揮できていたのはよかった。
以前までの藤田は、日本代表になると今ひとつ自分の持ち味を出せない試合が続いていた。ただ、スコットランド戦では落ち着きがあり、ゲームコントロール力が格段に向上していた。持ち前の縦につけるパスを臆せずに何度も入れるなど、藤田らしさを随所に見せてくれた。ドイツに移籍して約1年、経験が積み重なったことで自信がついてきたのだろう。
【ボランチに5枠を使うか】
ボランチのファーストチョイスの鎌田大地はゲームをつくれるし、佐野海舟はボール奪取力で遠藤航と双璧と言えるまでに成長している。
これでボランチ陣は、33歳の遠藤航、29歳の鎌田大地、27歳の田中碧、25歳の佐野海舟、24歳の藤田譲瑠チマの5人となった。若い選手に経験を積ませて、日本代表のバトンを次につなぐ重要性を理解している森保監督なら、ここに5枠を使うのではないか。
ただし、現状では遠藤が足首を手術して復帰が微妙な状況にあって、今回の遠征に未招集だった30歳の守田英正がいる。所属クラブでポジションを再奪取し、チャンピオンズリーグも戦っている守田は、実績も実力もあり、日本代表のことも知り尽くしている選手だ。もし代表メンバー発表でサプライズが起きるとしたら、それは「守田」の名前が呼ばれる場合なのではないかと思う。
>>後編「イギリス遠征最大の収穫は?」につづく

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