2025-26シーズンのSVリーグ女子は、4月5日にレギュラーシーズンの全日程が終了し、いよいよ舞台はチャンピオンシップ(CS)へと移る。

 2024年末の皇后杯全日本バレーボール選手権での初優勝に続いて、ヴィクトリーナ姫路は悲願のリーグ制覇を目指す。

今シーズン移籍加入したアウトサイドヒッターの野中瑠衣もまた、その思いを強くしている。

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「私のバレーボール人生は、全国大会のセンターコートや日本一、それこそ優勝とは程遠いものでしたから。ですが、頼れる仲間とここまで来ることができました。どんな立場であれ、しっかりと準備して、まずはこの舞台に立つことに感謝しながらプレーしたいと思います」

 そう胸の内を吐き出したのは昨年末、12月19日の皇后杯・準決勝前日のことだった。結果としてチームは翌日のNECレッドロケッツ川崎戦で敗北し、野中も途中出場でチームの逆境を打破できずに終わった。それでも自身の決断によって、望んでいたステージへと自分を引き上げることを実感する機会となったのは確かである。

 そもそも5シーズンを過ごしたAstemoリヴァーレ茨城から移籍したのは、自身のステップアップを願ったからだ。Astemoに在籍していれば、地元・秋田で開催されるホームゲームもあった。そこでのプレーはいつも格別なものだったが......。

「Astemoの一員として秋田に帰って何度も試合をした時、私の成長した姿を見せることで、少しでも恩返しはできたかなと思います。応援してくださるみんなに一番喜んでもらえるのは、私が活躍している姿を見せること。

 なので、もっともっと大きい舞台で活躍することが、これからは一番の恩返しになると考えました。

もちろん、秋田での試合はアットホームな雰囲気で、それを味わえない寂しさはあります。ですが、自分のバレーボール人生において、今回の決断は間違っていなかったと思っています」

【1年前と同じ大阪マーヴェラス】

 固い決意を持って選んだ新天地の姫路では、それまでのオポジットからアウトサイドヒッターへ転向し、いざレギュラーシーズンでは攻守で高い貢献度を示す。総得点534、サーブレシーブ成功率47.6%はいずれもチーム2番目の成績で、さらにサーブ効果率はリーグ全体3位となる15.0%をマークした。

 そうして臨む今季のチャンピオンシップ。Astemo在籍時の昨季も出場したとはいえ、その頃は野中自身が「コンディションもパフォーマンスもまるでダメだった」と振り返るほどの出来だった。

 大阪マーヴェラスとのクォーターファイナルは1勝も挙げられずに敗退。野中はGAME1が4得点、GAME2はフル出場ながら2得点で、アタック決定率は10%(10本中1本)と低調に終わった。なお、レギュラーシーズンを5位で通過して臨む今回のクォーターファイナルの相手は、奇しくも1年前と同じ大阪MVだ。

「ですが、それほど苦手意識は持っていません。ただ、やはりディフェンス力が高くて、何よりキャプテンの田中瑞稀選手がコートに入るとがらりとチームが変わる印象です。そういう存在がいるチームは強いなと感じますし、対戦相手ながら学ぶところは多いです」

 その口ぶりからは頼もしさすら感じさせる。チャンピオンシップへの意気込みも同様だった。

 「私自身、今シーズンはアップダウンがありながらも毎日、バレーボールに打ち込んできました。

優勝を狙うチームの一員として、負ければ終わりのトーナメントを本気で勝ちにいくこと自体が、人生で初めてに近い経験です。

 そういう舞台に立った時に、自分がどういう気持ちになるのか、どういう気持ちで戦えるのか、それにどれくらい力を発揮できるのか。これから競技人生を続けていくなかでも、とても大事な経験になると思いますし、いろんなものを感じながらがんばりたいです」

【秀でたスタッツを叩き出すよりも】

 Astemoを退団し、ひとりのプロバレーボール選手としてのキャリアを踏み出した。自分の立場との向き合い方も、ひとつのモチベーションにつながっている。昨年末の皇后杯に際して、野中はこう語った。

「自分が秀でたスタッツを叩き出すよりも、たとえばディフェンスでのちょっとした粘りといった、数字に出ないプレーでチームが勝てるのであれば、そこに全力を尽くしたいです。このチームのために自分の役割をしっかりと果たすことが、今のプレーヤーとしての自分の価値を上げていくと考えています」

 これまでの自分を築いてきたことへの恩返しと、これからの自分を築いていくために──。野中が「活躍したい」と願う理由がそこにある。まだ味わったことがない大舞台へ、いざ。

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