大阪市内に所在する5店舗において違法なインターネット賭博店を営業したとして、大阪府警は今月20日、久井遊紀容疑者(43)、運営グループ幹部と店舗の従業員ら計31人を常習賭博容疑で逮捕したと発表した。府警は久井らの他にも店で賭博を行ったとして10人の男女の賭客を単純賭博容疑で逮捕しており、なかには26歳の女性も含まれていたという。

客はブース囲みでPC捜査、100万Pを100万円に換金

「久井らは令和6年8月上旬から今年1月18日にかけ、インターネット賭博店5店舗において、客にPCを操作させ、ポーカーやスロットなど常習的に賭博を行わせていました。PCはブースに囲まれ隣から見えない状況になっており、たとえば100万円なら100万ポイントと現金をポイントに交換させ、勝ち分に応じて現金に換金。店舗は24時間営業で、従業員2人が交代制で回していたようです」(府警担当記者)
久井らが運営していたインターネット賭博店は、決まってビルの3階か4階に所在しており、出入り口には警察対策の監視カメラを設置。店名などは一切掲げず、外からは賭博店だとは分からない外観だったという。
「賭客らは路上で客引きをされたり、常連客や従業員の紹介などで賭博店に来店していました。秘密保持のためか、入店時には身分証の提示を求められ、来店2回目以降、会員カードを発給されるといった厳格なシステムになっていたようです」(同前)

最大規模の42所属、300人体制で一斉摘発 

外観から入店に至るまで、巧妙にカモフラージュされていた違法カジノ――。
大阪府警は市内で「違法なカジノが存在しているという情報提供」(同前)をもとに内偵捜査を進め、全国的に見ても最大規模の300人体制で関連112か所の摘発を行った。
「捜索先からはPC55台、携帯電話機、会員カードなど約280品目と現金約5300万円が押収されています。府警がこれほど大規模な体制で摘発を行ったのは、違法カジノが〝トクリュウの典型犯罪〟だと見ているからです。
今回、久井を含む店舗にいない幹部らを逮捕し、上位者を把握できたのは、これまでにない成果だと府警は強調しています」(同前)
昨年11月に警視庁保安課が賭客ら10人を書類送検したオンラインカジノによる賭博容疑事件では、24府県警で130人の関与が把握されている。
関東地域で多発している一連の強盗事件の実行犯の中にも、安易な気持ちでオンラインカジノに手を出し借金を抱え、闇バイトに応募した者も存在しているという。賭博だけではなく、賭博から派生する犯罪を“根絶やし”にするといった意味でも今回の摘発の意味は大きいのではないだろうか。


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