根強い人気はあるが、たびたびお騒がせトラブルを起こすのが、デヴィ夫人ことタレントのデヴィ・スカルノ氏(85)。
今度は、女性に向けてシャンパングラスを投げつけたとして、4月16日、警視庁に暴行容疑で書類送検された。
(中原慶一)

大けがを負わせ傷害容疑で逮捕の過去も

報道によれば、送検容疑は2月中旬の夜、東京都渋谷区の飲食店で、自身が代表を務める芸能事務所の女性従業員に向けてシャンパングラスなどを投げつけたという。
当時、今後の活動方針をめぐり女性と口論になったというが、女性が渋谷署に相談し、事件が発覚。女性にグラスは当たらず、けがはなかったらしいが、デヴィ夫人は書類送検されるに至った。デヴィ夫人は「グラスなどは投げつけておりません」と容疑を否認しているという。
しかし、デヴィ夫人のこの手の騒動は枚挙にいとまがない。
「ニューヨークに住んでいた1992年、パーティーの席で、フィリピンのオスメニャ元大統領の孫娘ミニーさんの顔をシャンパングラスで殴打し、37針を縫う大けがを負わせ傷害容疑で逮捕されています。当時、禁錮60日、罰金750ドルの判決を受け、実際、34日間収監されています」(スポーツ紙芸能担当記者)
また2009年には、北朝鮮のミサイル発射を巡る発言に反発し、自宅に抗議に来た右翼団体の街宣車に植木鉢を投げ付けて警察沙汰になったこともあった。
さらに、2014年1月には、『奥様はモンスター2』(TBS系)の収録中に、デヴィ夫人に挑発してきた一般出演者女性に対して、3発平手打ちを喰(く)らわせた。女性は警察に被害届を出したが、その後、示談が成立し、取り下げている。
「当時、デヴィ夫人は、取材に対し、『平手打ちを3回したことは確かなので、潔く相当の罰は最初から受ける気でした。書類送検も構いませんし、罰金も払いましょうという気持ちでした』、『私は、彼女と示談するつもりは毛頭ございませんでしたが、私の弁護士や芸能界の重鎮らに説得され、現在に至りました』とコメントしましたが、間に弁護士が入ったことで冷静になったようです」
しかし、当時も書類送検になった可能性は十分あるのだから、懲りないというべきか、“カッとすると手が出るタイプ”なのは違いない。

「シャンパングラスを投げつけ」は暴行罪?

ところで今回の夫人の容疑は「暴行罪」だが、そもそも暴行罪とはどんな罪状か。刑法第208条の条文は以下だ。
(暴行)刑法第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処す。

一方、相手にケガをさせた時などに適用される「傷害罪」に関する条文(刑法第204条)は以下だ。
(傷害)刑法第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
つまり、「暴行罪」は「暴行によって相手がけがを負わなかった場合」、「傷害罪」は、「相手がけがを負った場合」に適用されるという区分になる。暴行罪の例について、法律事務所関係者はこう説明する。
「いろいろな例がありますが、衣服をつかんで引っ張る、羽交い締めにする、髪の毛を引っ張る、脅す目的で相手の目の前に石を投げつける、狭い室内で日本刀を振り回す、ネクタイを引っ張る、ツバや水、塩、農薬などを振りかける。これらはすべて暴行罪にあたる可能性があります。
ですから、シャンパングラスを投げつけることは暴行罪になり得ます。一方、殴る蹴るの類は、暴行罪にもなりますが、相手にけがをさせれば、傷害罪となり、さらにそれによって相手を死なせてしまった場合などは、傷害致死罪となり(刑法第205条)、さらに重い罪が科されます」
われわれ、一般人の場合は、暴行や傷害の疑いで相手に警察に駆け込まれた場合は、とにかく速やかに弁護士に相談したほうがいいとこの関係者は付け加える。

「現場のスタッフ受けはすごくいい」が…

翻って何度もこうしたトラブルを起こしているデヴィ夫人だが、その今後はどうなるのか。前出のスポーツ紙芸能担当記者はこう話す。
「かねてよりミッチー(浅香光代)、サッチー(野村沙知代)、細木数子など、歯に衣着せずにズバズバ言う中高年の女性タレントはもてはやされており、デヴィ夫人もその系列です。しかし、デヴィ夫人以外は、口汚く相手をののしっても、決して手は出さなかった。
それが犯罪になり得ることをみんな知っていたからです。
デヴィ夫人は現場のスタッフ受けはすごくいいそうですが、こうたびたびトラブルを起こすと、今までは、“キャラ”として許されていたとしても、今後は使う方も使いにくくなってくる。今回、示談が成立しても、今後、新規での起用はしにくいんじゃないでしょうか」
この記者は続ける。
「少なくとも、今夏の参院選に、犬や猫の愛護を訴える新党『12(ワンニャン)平和党』として比例で立候補する意向を表明していましたが、今回のトラブルで黄色信号がともったことは間違いないです(4月25日公式ホームページを通じ、同党の解散を発表※編集部注)」
毎度、お騒がせのデヴィ夫人だが、主張やキャラクターはともかく、すぐに手が出る悪癖は改善したほうがよさそうだ。


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