5月13日、一般社団法人Famiee(以下ファミー)が民間型パートナーシップ証明書発行アプリ「Famiee(ファミー)」の新バージョンをリリース。同性カップルに加え、異性間の事実婚カップルも証明書の発行対象に拡大した。
一方で、姓を変えたくないなどの理由から事実婚を選択している異性カップルについては、パートナーシップ制度の対象としない自治体も多い。
また異性カップルを対象とする自治体であっても、法律婚とは異なり「同居」が要件とされている場合が多く、カップルの職業や事情によってはパートナーシップ制度を利用できないケースがある。
さらに、自治体の発行するパートナーシップ証明書には市区町村を転居すると無効になる、カップルのプライバシーが侵害される可能性があるなど、さまざまな課題が存在する。
そうした中、ファミーはブロックチェーン技術を利用した民間型パートナーシップ証明書発行アプリを開発し、2020年から発行を開始。従来は同性カップルのみを対象にしていたが、今回の新バージョンでは事実婚の異性カップルも対象とした。
自治体の発行する証明書と異なり、住んでいる場所を問わず発行でき、転居などをしても無効にならない。また、同居も要件としない。
多くの企業は、事実婚した社員を結婚祝い金や結婚休暇、育児休暇や配偶者のための介護休暇などの対象としていない。しかし証明書を発行すれば、Famieeを受け入れしている企業の夫婦・既婚者向けの福利厚生サービスが利用可能に。また、一部の自治体や保険会社の制度やプランも利用できる。
現在、Famieeの事実婚向けパートナーシップ証明書を受け入れている企業は約20社、自治体は千葉県の市川市と木更津市のみ(※)。
※同性向けパートナーシップ証明書を含めると、Famieeを導入している企業・自治体は100以上。
5月13日に都内で開かれた会見で、ファミーの共同代表である内山幸樹氏は、今後も対象の企業や自治体を拡大していく意気込みを示した。
「通常、世の中を変えるためには法律を変える必要があるが、それには時間がかかる。国が動くのを待つ前に、自分たちで変えられるところを変えていく」(内山氏)
二人は姓を変えたくないという理由から、事実婚を31年間続けてきた。
しかし一昨年には田中さんの手術の同意書で小泉さんのサインが認められず、昨年には小泉さんが生命保険に申し込んだ際に田中さんを代理請求人に指定しようとしても断られるなどの体験をしたことから、「これ以上事実婚の関係を続けるのは難しい」と感じていたという。
小泉さんは実際にFamieeで証明書を発行した所感について「登録は簡単、画面の指示に従うだけで申請の手続きが進められる」「簡単でありながら、戸籍謄本や独身証明書が必要になることから証明の信頼性も高いと思う」と語り、「別居になっても関係が証明できるのは心強い」と続けた。
具体的には、配偶者の財産を相続する権利がないことや所得税の配偶者控除が受けられないこと、また田中さんと小泉さんが経験したように医療行為への同意ができない場合がある点などが、事実婚のカップルが経験している不利益の典型例だ。
さらに、不動産の購入時にペアローンが組めない、配偶者居住権がないなど、住宅に関する不利益も大きい。
それでも、「あすには」の調査によると国内の20歳~59歳の人口のうち約2%(122.6万人)が事実婚状態にあると推定されている。
そのうち58.7万人は選択的夫婦別姓制度の実現を待って結婚を待機している状態だという。
内山氏も「同性婚や選択的夫婦別姓の実現を心から望んでいる」と、最終的には法制度そのものが変革される必要があると認識を示した。
事実婚カップルは「パートナーシップ制度」の対象外
同性カップルなどの家族関係を公的に認める「パートナーシップ制度」は、近年、多くの自治体に広がっている。一方で、姓を変えたくないなどの理由から事実婚を選択している異性カップルについては、パートナーシップ制度の対象としない自治体も多い。
また異性カップルを対象とする自治体であっても、法律婚とは異なり「同居」が要件とされている場合が多く、カップルの職業や事情によってはパートナーシップ制度を利用できないケースがある。
さらに、自治体の発行するパートナーシップ証明書には市区町村を転居すると無効になる、カップルのプライバシーが侵害される可能性があるなど、さまざまな課題が存在する。
そうした中、ファミーはブロックチェーン技術を利用した民間型パートナーシップ証明書発行アプリを開発し、2020年から発行を開始。従来は同性カップルのみを対象にしていたが、今回の新バージョンでは事実婚の異性カップルも対象とした。
企業や自治体のサービスが利用可能に
アプリ「Famiee」はスマートフォンにアプリをダウンロードして、オンラインで利用。利用者は申請の際に自治体で取得した戸籍謄本や独身証明書を提出する必要があり、厳密な本人確認のうえで、証明書が発行される。自治体の発行する証明書と異なり、住んでいる場所を問わず発行でき、転居などをしても無効にならない。また、同居も要件としない。
多くの企業は、事実婚した社員を結婚祝い金や結婚休暇、育児休暇や配偶者のための介護休暇などの対象としていない。しかし証明書を発行すれば、Famieeを受け入れしている企業の夫婦・既婚者向けの福利厚生サービスが利用可能に。また、一部の自治体や保険会社の制度やプランも利用できる。
現在、Famieeの事実婚向けパートナーシップ証明書を受け入れている企業は約20社、自治体は千葉県の市川市と木更津市のみ(※)。
保険会社も、アクサ(生命保険・損害保険)のみが利用できる状況だ。
※同性向けパートナーシップ証明書を含めると、Famieeを導入している企業・自治体は100以上。
5月13日に都内で開かれた会見で、ファミーの共同代表である内山幸樹氏は、今後も対象の企業や自治体を拡大していく意気込みを示した。
「通常、世の中を変えるためには法律を変える必要があるが、それには時間がかかる。国が動くのを待つ前に、自分たちで変えられるところを変えていく」(内山氏)
「手術の同意書」や「生命保険の申し込み」で不利益を実感
会見には、Famieeでパートナーシップ証明書を発行した初の事実婚カップルとなる、田中浩さんと小泉祐里さんも参加。二人は姓を変えたくないという理由から、事実婚を31年間続けてきた。
しかし一昨年には田中さんの手術の同意書で小泉さんのサインが認められず、昨年には小泉さんが生命保険に申し込んだ際に田中さんを代理請求人に指定しようとしても断られるなどの体験をしたことから、「これ以上事実婚の関係を続けるのは難しい」と感じていたという。
小泉さんは実際にFamieeで証明書を発行した所感について「登録は簡単、画面の指示に従うだけで申請の手続きが進められる」「簡単でありながら、戸籍謄本や独身証明書が必要になることから証明の信頼性も高いと思う」と語り、「別居になっても関係が証明できるのは心強い」と続けた。
約60万人が選択的夫婦別姓の実現を待っている
選択的夫婦別姓制度やジェンダー平等を求める一般社団法人「あすには」代表理事の井田奈穂氏は、事実婚の関係には法律婚に比べて経済面でも健康面でも多大なリスクがあると指摘。具体的には、配偶者の財産を相続する権利がないことや所得税の配偶者控除が受けられないこと、また田中さんと小泉さんが経験したように医療行為への同意ができない場合がある点などが、事実婚のカップルが経験している不利益の典型例だ。
さらに、不動産の購入時にペアローンが組めない、配偶者居住権がないなど、住宅に関する不利益も大きい。
それでも、「あすには」の調査によると国内の20歳~59歳の人口のうち約2%(122.6万人)が事実婚状態にあると推定されている。
そのうち58.7万人は選択的夫婦別姓制度の実現を待って結婚を待機している状態だという。
内山氏も「同性婚や選択的夫婦別姓の実現を心から望んでいる」と、最終的には法制度そのものが変革される必要があると認識を示した。
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