今年上半期の芸能界を大きく揺るがした永野芽郁(25)と田中圭(41)の“ダブル主演級”不倫疑惑(人物名は敬称略、以下同)。
双方の事務所とも不倫は否定しているが、4月の「週刊文春」によるスクープからわずか数週間で、永野が契約していた9社のCMは完全消去。

今月28日(日本時間29日)には、カナダで開催中のファンタジア国際映画祭に急きょ登場して話題になったが、世間の風当たりは依然として強い。起用されていた来年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』や自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組からも、永野サイドの「辞退」によって名前が消えた現状は、“開店休業状態”と言えるだろう。
対する田中はどうか。同じくCMから姿を消し、今後のドラマや映画への出演予定はないものの、7月には、映画『三谷幸喜「おい、太宰」劇場版』の舞台挨拶に登壇。さらにラスベガスで開催された「世界ポーカー大会」で3位に入賞し、賞金1700万円を獲得したという“悠々自適”を思わせる近況が女性週刊誌にキャッチされている。
露出は減ったものの、テレビ局のキャスティング担当も田中の起用について「現在、様子見です」(ドラマ関係者)と話す通り、永野に比べ、いささかダメージは小さいように見える。このように、不倫騒動を起こした男女のタレントの「格差」はなぜ起こるのか。(ライター・中原慶一)

不倫騒動後、男女の「格差」

広告代理店関係者が口を開く。
「田中はベテラン俳優としてのキャリアもあり、所属事務所もこれまで浮気や不倫に対して比較的寛容な対応をとってきました。そもそも事務所社長である俳優の小栗旬(42)もかつて、山田優(41)と交際中に写真週刊誌に『美女お持ち帰り』を報じられていますからね。
一方、永野はまだ若く、CMでは清純派のイメージを前面に押し出していた。さらに韓国人俳優との“二股”疑惑があったことも致命的で、クライアントは一斉に手を引いた。
しかし、所属事務所が不倫を否定している以上、その多くは『契約解除で違約金』という動きにまではなっていないようで、CM動画やポスターなどの露出を見合わせ、『再契約はしない』とする流れです。

基本的に今どきは、SNSで不買運動が起きるなど炎上リスクが大きいため、不倫疑惑が噴出すると、クライアントがまず恐れて、男女ともにCMは一斉にアウトになります」
しかし、永野&田中の件に限らず、既婚男性×未婚女性の不倫の場合、大抵、より大きなワリを食うのは女性のほうが多いイメージがある。
2020年の東出昌大(37)×唐田えりか(27)のケースでも、妻・杏(39)の出産直後に唐田と3年近くの関係を持っていたことが報じられると、東出はCM契約を次々と解除された。
一方、唐田もレギュラーのモデル契約が打ち切られ、地上波ドラマから降板。以後1年半以上、メディアから一切姿を消した。
「唐田に関しては、当時は、東出より格下だったこともあり、まるで“芸能界追放”のような空気がありました。一時期は、国内で居場所を完全になくし、韓国進出を模索していた時期もあった。
本格的に復帰できたのは、騒動から4年後、24年9月に配信されたネットフリックスの『極悪女王』でクラッシュギャルズを熱演してからです」(スポーツ紙芸能担当記者)
一方の東出は、その後、すったもんだの挙げ句、杏とは離婚。山籠り生活で自給自足の生活を始めたが、細々とながら、単館系の映画などのオファーが絶えなかった。
恋人を撮影現場に同行させ、これにあきれた所属事務所から契約解除となり、山籠り生活で知り合った女性と再婚するなど芸能マスコミをにぎわせ続けていたが、叩かれる割にはどこか飄々とした不敵さを漂わせていた。唐田ほどの悲壮感はなく、最近は「ダメ男ぶり」が面白がられる域に達し、風向きは変わっているようにさえ見える。
「唐田のバッシングがあまりにも苛烈だったのは、東出の妻だった杏も女優で、好感度が高く、相手の家庭を壊した“悪い女”というステレオタイプな見方が過剰に投影されたからでは。東出も失ったものは大きいが、唐田のほうがより厳しい状況だったのは明らかです」(前同)

芸能界には依然として「性別格差」存在か…

こうした、女性タレントの方が復帰に時間がかかり、バッシングにも遭いやすい傾向について、背後には、やはり芸能界に依然として「性別格差」の影響があるのは否めないというのは、さるワイドショー関係者だ。
「かつての芸能界のような『女遊びは芸の肥やし』という考え方はさすがになくなっていますが、男性芸能人の場合、謝罪会見して“禊”を済ませ、ある程度、時間がたてば、周囲から『反省してるならいいんじゃないか』という目線で見てもらえることも多い。

“4WD不倫”の原田龍二(54)、“アパ不倫”の袴田吉彦(52)などが典型です。そうした意味では、会見を開かず活動休止に入った元KAT-TUN・中丸雄一(41)などは、ほとぼりが冷めるにはまだまだ時間がかかりそうですが…。
また“多目的トイレ不倫”の渡部建(52)は、会見を開いたものの、単なる不倫に比べて印象が悪すぎるので、以前のように地上波で活躍するのはまだ無理でしょうね」
話は続く。
「ともあれ、業界には『男尊女卑』的な考え方はまだ残っています。男性の場合、世間の反応を見ながら、復帰させようとする周囲の力が働きますが、女性の場合は不倫のイメージがついてしまうと、なかなか払拭しづらい。
特に、若い女性芸能人は“清廉さ”が求められる分、スキャンダルの反動が大きい。清純派で売っていた永野芽郁のようなケースではダメージは無限大です」(前同)
過去には、田中哲司(59)や宮迫博之(55)といった男性芸能人も不倫報道後、一定期間の謹慎を経て仕事に復帰している。旧ジャニーズ事務所所属だった東山紀之(58)も、結婚後にスキャンダル報道があったものの、報道番組のキャスターや司会を何食わぬ顔で長年務めていた。
確かに、不倫騒動を起こしても“何事もなかったかのように”復活している男性芸能人は枚挙にいとまがない。

不倫騒動からの復帰に影響を与える三大要素

女性芸能人でも年齢的に「清純派」のカテゴリーではなくなっている場合は話が変わるという。
斉藤由貴(58)などはその典型だ。2017年、50代医師とのW不倫の「キス写真」などが流出。1991年の尾崎豊、93年の川崎麻世など、すっかり“不倫キャラ”が定着している斉藤は、NHK大河ドラマ『西郷どん』や複数のCMを降板したものの、唐田のように「芸能界追放」のようなバッシングにさらされることはなかった。

「高岡早紀や広末涼子なども同様だと思いますが、“捨てる神あれば拾う神あり”で、女優でも、自身が既婚で、W不倫などの場合、その妖艶なイメージを逆手にとって、使ってみたいという制作者が現れることがある。
こうした女優は、最初からCMや地上波ドラマは無理でも、映画や舞台などで、“魔性の女”として、じわじわと人気が復活し、時間がたつとまた地上波ドラマなどに出ていたりするのです」(前同)
ここまでの話をまとめると、「スポンサーの意向」「芸能界に残存する男尊女卑的な考え方」「(元々の)イメージとのギャップ」が女性芸能人の不倫騒動からの復帰に影響を与える三大要素と言えそうだ。
「ちなみに“イメージとのギャップ”でいえば、2016年のベッキー(41)と、ゲスの極み乙女。の川谷絵音(36)の不倫も最悪でした。問題は、不倫そのものではなく、その後のウソにあります。
元々、明るく元気で爽やかで、女性からの好感度も高かったベッキーが、謝罪会見の前日に川谷とやりとりしていたとされる『友達で押し通すつもり』『センテンススプリング!』などのLINEの文面が暴露された。
不倫そのものより、その後の対応が致命傷になったケースです。あまりにパブリックイメージとかけ離れた“ウラの顔”のインパクトが大きすぎて、ベッキーはいまだに以前のような活躍はできていません」(前同)

女性芸能人「復帰」への最善の方法

それでは、女性芸能人が復活の道筋をつけるための「最善の方法」はあるのだろうか。
前出のスポーツ紙芸能担当記者は、「CM」や「地上波ドラマ」に出演できなくなった“不倫俳優”たちが、復活のための活路を見出せる場所は男女とも、まずは舞台や映画、配信ドラマだという。
「無料で視聴できるテレビやラジオに対して、制作側も『観る側は、そういうことも織り込み済みで、お金を払って見るんだから文句はないだろう』という大義名分があり、“なんでこんな人を出すんだ”というクレームをつけられようがないというのがポイントです。
最近は、舞台や映画に加え、ネットフリックスなどの配信系が復活の足がかりとなる例も増えています。また、ミュージシャンなどは、不倫が発覚してもライブなどでは復活しやすいです」
もとより不倫は刑事上の犯罪行為ではなく、夫婦間そして当事者間のトラブルである。

「独身の女性芸能人が既婚の男性芸能人と不倫疑惑を起こした場合には、初動で、不倫を認めるかはさておき、即座に疑われるような行動をとった自分の非を認め、相手とスッパリ縁を切ることを明言する会見を開くというのが、本来は一番いいやりかたのように思います。しかし、相手の男性に対して未練がある場合などは、心情的にハードルが高いでしょうね。
となれば、今回の永野芽郁のように、事務所の公式発表で不倫関係は否定し、しばらく表舞台から退き、騒動が収まるのを何年かの長期スパンで待ち、徐々に舞台や映画に出演しながら、完全復活の糸口を窺うというのが現実的なところではないでしょうか」(前同)
ちなみに今どきは、「人のうわさも七十五日」ということは全くなく、芸能人のスキャンダルも、「デジタルタトゥー」として、何度でも蒸し返される傾向があるため、騒動が収束する期間はどんどん長くなっている気がするとこの記者は付け加える。
「それでも、芸能スキャンダルは“飽きられる”という特性もあるため、次の大きな不倫スキャンダルが噴出し、相対的にインパクトが弱まったり、唐田のように、“女優魂”を見せつけるなど、不倫イメージを上書きするアクションを起こしたりすることで、悪いイメージを払拭できることはあります」(前同)
いずれにせよ、復活までに相当の長い時間を要することは、不可避のようだ。
■中原慶一
某大手ニュースサイト編集者。事件、社会、芸能、街ネタなどが守備範囲。実話誌やビジネス誌を経て現職。マスコミ関係者に幅広いネットワークを持つ。


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