
「市場の同クラスの製品と比べると、かなり安価」
刑務所作業製品は「キャピック商品」と呼ばれ、その売り上げの一部は公益財団法人矯正協会を通じて、犯罪被害者支援団体の活動に助成されており、2005年度から2024年度までに、累計8500万円の支援が行われている。また、キャピック商品には「安くて品質が良い」という強みがある。
今回の新宿矯正展で出品を予定している商品の中で、もっとも高価なものは栃(とち)の一枚板で69万3000円。また、屋久杉一枚板はもっとも高いものが55万円、もっとも安いものでも46万2000円。さらに牛革製トートバッグは7260円、千葉刑務所の紳士靴でもっとも高いものは1万1000円だ(全て税込み)。
屋久杉一枚板(8月19日 新宿矯正展/弁護士JPニュース編集部)

千葉刑務所の紳士靴(8月19日 新宿矯正展/弁護士JPニュース編集部)
今回、矯正協会とともに新宿矯正展を開催する府中刑務所の担当者は「これらの商品は決してお手軽な価格ではありませんが、市場の同クラスの製品と比べると、かなり安価でおすすめです」と太鼓判を押した。
人気の「ブルースティック」や「マル獄シリーズ」も販売
こうした高額商品以外にも、人気商品が販売される。横須賀刑務支所の「ブルースティック」は、固形の洗濯せっけんで、ワイシャツの襟や泥汚れなど、頑固な汚れが落ちるとSNS等でも度々話題となる商品。先述の府中刑務所の担当者も「まさに低価格・高品質の代表」と語った。→刑務所で作られた「洗剤」が人気すぎて高額転売も? 知られざる“キャピック製品”の魅力
ほかにも、函館少年刑務所で作られ、特徴的なデザインが人気の「マル獄シリーズ」や、京都刑務所のたたみスツールなども販売される。

「マル獄シリーズ」は矯正展の人気商品(8月19日 新宿矯正展/弁護士JPニュース編集部)
これらの商品を矯正展で展示・販売する背景には、犯罪被害者支援団体への助成だけでなく、ほかにも重要な社会的意義がある。
府中刑務所の担当者はその意義について「改善更生及び円滑な社会復帰を図るため、必要な受刑者に対し、職業能力・勤労意欲を付与するための作業を実施していると広く皆さまにご理解いただくことを主な目的としている」と説明した。
拘禁刑への移行、キャピック商品生産への影響は?
今回の新宿矯正展では、商品の展示・販売に加えて、被害者等の心情等の聴取・伝達制度の紹介、および、今年6月から従来の懲役刑・禁錮刑が一本化され「拘禁刑」へと移行したことに関するパネル展示も行われる。従来、受刑者の身体を拘束する刑罰である自由刑は、受刑者に刑務作業を義務付ける「懲役刑」と、それがない「禁錮刑」とに画然と区別されていた。
この拘禁刑への一本化は、今後、刑務作業によって作られた製品である「キャピック商品」にどのような影響を与える可能性が考えられるか。
先述の担当者は「これまで作業をしていた時間に指導を行う可能性が多々あり、受刑者一人当たりの作業時間は従前と比較して減少が見込まれるため、キャピック商品の生産量は減少に向かうことも考えられます」とコメント。
一方で「社会に復帰した後、自律的に考えることができるように」と、受刑者が自らデザインを考え、彩色をした「クレヨンアートポーチ」という商品が誕生。担当者は「このような試みはまだ始まったばかりで、全体的な潮流となりうるものではありませんが、変化の一部として紹介させていただきます」と付け加えた。
開催は8月24日(日)まで。夏休み期間中のおでかけ候補にいかがだろうか。
開催概要
【会場】新宿駅西口広場イベントコーナー(JR新宿駅西口、京王線改札口、小田急線西口改札すぐ)
【時間】
8月19日(火)12時~20時
8月20日(水)~23日(土)9時~20時
8月24日(日)9時~16時
【入場料】無料