発端は、8月8日発売のファッション誌「GINZA」(マガジンハウス)9月号の表紙写真。
表紙が公開されると、SNS上では、
〈繊細な歌のイメージだから合わないわな〉
〈そういう人なんですねって目で見る〉
〈入れるのは個人の自由だけど日本でタトゥーなんて入れたらどう思われるとか考えられないのがヤバい〉
〈あんなのがかっこいいと思ってるセンスにガッカリすんだよね〉
〈温泉には入れないな〉
など、批判的な意見が相次ぎ、炎上に至った。
さらに、ラジオ番組『広瀬すずのよはく時間』(TOKYO FM)の公式インスタグラムでは、パーソナリティーを務める女優・広瀬すずと、ゲスト出演したあいみょんのツーショット写真が公開され、そこにも半袖Tシャツからのぞくタトゥーが映り込んでいたため、炎上はさらに燃え上がった。(ライター・中原慶一)
芸能人のタトゥー「炎上する人・しない人」の違いは?
一方、当の本人は19日、自身のインスタグラムで、〈秋が好きやけど夏の好きなところもあるよ〉などの文言と共に、腕のタトゥーが写った写真を投稿。こちらの写真には、「GINZA」の表紙とは反対の右腕にある複数の幾何学模様のタトゥーらしきものも映り込んでいた。週刊誌芸能担当記者はこう話す。「これがさらに火に油を注ぐ結果となりましたが、本人の“隠す気はない”という明確な意図が感じられます。炎上では“本物のタトゥーなのか、シールなのか”なども取り沙汰されていますが、彼女の楽曲も含めたイメージから、どうしても彼女のタトゥーを受け入れられない層が存在するようです」
こうしたタトゥー騒動といえば、今年7月に元欅坂46の長濱ねるが発売した写真集で、左胸の脇あたりに、小さいハート形のタトゥーらしきものが写っていて炎上したことも記憶に新しい。
「清純なイメージを持たれているアイドルは特に炎上しやすいんですよ。
歌手の浜崎あゆみ、モデルの土屋アンナ、嵐・大野智、シンガー・ソングライターの優里など、タトゥーのある芸能人は結構いますが、炎上する人としない人がいます。さもありなんという人はそんなに騒動にはなりません。
かつては安室奈美恵が息子の名前を腕に彫っていたことや、木村拓哉が妻の工藤静香と足首におそろいのタトゥーを入れていたことが報じられて話題となったこともありましたね」(前同)
タトゥーは「違法」ではないが…
しかし、別段、タトゥーは違法ではないのだが、どうしてここまで話題となるのか。芸能プロ関係者が語る。「やはり日本人のタトゥーへのアレルギーは根強いんでしょう。
ファッションとしてタトゥーを楽しむ海外のセレブやK-POPのタレントたちとは違って、日本の芸能界にはまだまだそうした意識が残っているんですよ」
さらに、あいみょんの件では、“ナレーションを担当しているNHKの『ブラタモリ』は降板にならないのか”といった話題も俎上(そじょう)にあがっている。前出の芸能プロ関係者が続ける。
「一部女性週刊誌が、NHKはタトゥーをしたタレントに否定的な対応をとっている、という世間の臆測を報じていますが、民放でも、タトゥーを嫌うスポンサーは多いです。
しかしテレビに限らず、グラビアタレントやアイドル雑誌などの撮影の現場では、タトゥーは、衣装やレタッチ技術で隠すことが多いんです。“NG”にしている事務所も多いですよ」
度が過ぎた書き込みは“匿名”でも「法的責任」負うリスク
いずれにせよ、この騒動、あいみょんとタトゥーについて侃侃諤諤(かんかんがくがく)の書き込みがいまだに続いているのだが、中には、目を覆いたくなるような、彼女に対する暴言や差別的な発言なども散見されている。これらの書き込みは、たとえ匿名であっても、裁判所への申し立てによって投稿者本人を特定することは可能だ。2022年10月には、手続きの簡略化によって利用者の負担が軽減された「発信者情報開示命令」が新設。最高裁によれば、利用者は年々増加を続けており、昨年1年間の申立件数は前年の1.7倍にあたる6779件(速報値)に達したという。
さる法律事務所関係者はこう説明する。
「インターネットに悪質な書き込みをした場合、その発信者は民事・刑事いずれの責任も負う可能性があります。
前者は民法上の不法行為に基づく損害賠償責任(709条)。後者は『名誉毀損(きそん)罪』(刑法230条)、『侮辱罪』(同231条)、『業務妨害罪』(同233条、234条)など、書き込みの内容次第で刑事上の犯罪が成立しかねません。
発信者情報開示命令などによって加害者を特定できれば、被害者は、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求、および加害者に刑事上の責任を問うために、捜査機関に対して告訴を行うことができます」
これだけ、SNS上の芸能人に対する誹謗中傷が問題化しており、さらには制度の創設によって法的責任を負うリスクが高まっている中にあっても、いまだに度が過ぎた書き込みがあふれている状況には、問題の根深さを感じさせられる。
とはいえ、芸能人はイメージ商売。あいみょんの“タトゥー公開”が、今後の彼女の芸能活動にどう影響するかは現時点ではわからない。まったく影響しないかもしれないし、それとなく露出が減るかもしれない。
いずれにせよ、タトゥーの是非はともかく、それに便乗して、言いたい放題書き込んでいると、前述の通り損害賠償請求をされる可能性があるほか、名誉毀損など刑事上の責任を問われるケースもあり得る。十分、注意が必要であることは間違いない。
■ 中原慶一
某大手ニュースサイト編集者。事件、社会、芸能、街ネタなどが守備範囲。実話誌やビジネス誌を経て現職。マスコミ関係者に幅広いネットワークを持つ。