「報道の自由の侵害であることは論を待たない」 参政党の“取材拒否”等めぐり、日本マスコミ文化情報労組会議が抗議声明
参政党が記者会見で特定の記者の取材を拒否し会見への参加に事前登録を求めたこと、また報道記事の削除を請求したことなどをめぐり、8月、日本マスコミ文化情報労組会議は抗議声明を発表した。
声明は、同党の対応が報道の自由を侵害し、国民の「知る権利」を損なうものであるとの見解を示している。

「恣意的に取材拒否をする余地」と危惧を示す

日本マスコミ文化情報労組会議(以下「MIC」)は新聞、印刷、放送、出版、映画、広告、音楽、コンピュータそれぞれの労働組合の連合会・協議会等で構成された組織。
8月18日にMICが発表した「参政党のメディア攻撃に抗議する」と題する声明によると、参政党は7月22日の定例会見で、神奈川新聞記者を含む複数の記者の取材を拒否したという。
また、同党はこの取材拒否問題を扱ったTBS「報道特集」に対しても、放送倫理・番組向上機構(BPO)へ申し立てを行っている。さらに、7月16日には『日刊ゲンダイ』に対し、公認候補への名誉毀損があったとしてデジタル記事の削除と訂正謝罪記事の請求を通知した。
加えて、8月1日の臨時記者会見を報道機関等に知らせるリリースでは「承諾を受けた方のみ参加いただけます」などと記載し、以降の記者会見についても記者に事前登録を求めた。その際「会見やイベントで妨害や迷惑行為をした人は取材をお断りする場合がある」との注意書きに承諾することを条件としたという。
上記の対応について、MICは「参政党が恣意的に取材拒否をする余地を残しており、選別が今後も行われる可能性は否定できない」と危惧を示している。
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「参政党のメディア攻撃に抗議する」声明本文から

報道の自由が侵害されていると強調

声明によると、参政党は「会見の内容はすべて公式YouTubeチャンネルでノーカット配信しており、特定の記者や報道機関を排除する意図はありません」などと表明し、報道の自由を尊重している旨を主張しているという。
一方、MICは同党が記者を退去させて質問の機会を奪っているとし、「報道の自由の侵害であることは論を待たない」との見解を示している。
また報道には「公平性・中立性」のみならず「問題意識を持った取材者が客観的な事実を提示しながら問題の本質に迫る」ことが重要であるとし、「報道の『政治的公平』は個別の取材の中で機械的に達成すべきものではない」と強調した。
声明は「単に特定の社や記者個人に向けられたものというよりも、日本のメディア全体が受け止めるべき問題とみるべきだ」と結論づけた。そのうえで、参政党に対して「その態度を改めさせ、批判の声にも真摯に耳を傾けるよう、あらゆる報道機関が働きかけるべき課題だと考える」としている。


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