秋は「死亡事故増加」の危険なシーズン…ドライバー“うっかり交通違反”に潜む落とし穴
9月30日まで「秋の全国交通安全運動」が実施中だ。秋分の日も過ぎ、日の入り時間がますます早まるこれからのシーズンは、交通事故のリスクも高くなる。
警察庁の統計上も、例年秋から冬にかけて死亡事故が増加する傾向があることが示されている。
交通ルールについて、ドライバーは普段どのような意識を持っているのか。JA共済連(全国共済農業協同組合連合会)が22日に公表した調査結果で、日常的な運転シーンに潜む「うっかり違反」のリスクが明らかになった。

うっかり違反しそう…最多は「後部座席のシートベルト着用義務」

同調査では、全国の20~69歳の運転経験者500人を対象に「うっかり違反してしまいそう」と感じる交通ルールについて質問。その結果、もっとも多かった回答は「後部座席のシートベルト着用義務」(24.8%)で、次いで「泥はね運転」(24.6%)、「ハイヒールなど不安定な履物での運転」(19.6%)が並んだ。
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JA共済連「交通ルールに関する意識調査」より

この調査結果を運転免許の保有年数ごとに集計すると、ベテラン層(免許保有20年以上)とビギナー層(免許保有1~3年)での意識の違いも見えてきた。
ベテラン層の回答として多かったのは「後部座席のシートベルト着用義務」(29.5%)、「非常時以外のクラクション使用」(19.5%)。これに対して、ビギナー層では「泥はね運転」(28.0%)、「スマホのながら運転」(20.0%)、「乗合自動車(バス等)発進妨害」(16.0%)、「緊急車両への進路譲り」(12.0%)が上位に並んだ。
調査を行ったJA共済連は、ベテラン層の回答には慣れによる油断が、ビギナー層の回答には周囲への配慮・経験不足が影響していると分析している。
さらに、調査結果を運転頻度別に集計すると、ほとんど運転しない層では「泥はね運転」(30.7%)や「乗合自動車進路妨害」(18.7%)が、毎日運転する層では「ハイヒールなど不安定な履物での運転」(23.8%)や「スマホのながら運転」(22.2%)が上位となった。

実際に多く発生している「違反」は?

警察庁によれば、昨年発生した交通事故は29万895件(前年比1万7035件減)。死者数は2663人(前年比15人減)、負傷者数は34万4395人(前年比2万1200人減)となっている。
死亡事故件数を第1当事者(最初に交通事故に関与した事故当事者のうちもっとも過失の重い者)が犯した法令違反別に見ると、もっとも多かったのは「漫然運転」(336件)で、「運転操作不適」(307件)、「脇見運転」(272件)と続く(いずれも安全運転義務違反)。

また、事故の発生を問わず、道路交通法違反によって告知・送致された件数は420万4155件。最多は「一時不停止」(117万7924件)、次いで「通行禁止」(55万1589件)、「信号無視」(40万4034件)となった。
なお、前出の調査で「うっかり違反してしまいそう」との回答がもっとも多かった「後部座席のシートベルト着用義務」関連では、後部座席に限定したデータではないものの「座席ベルト装着義務違反」による行政処分の点数告知が27万7744件となっている。
後部座席におけるシートベルト着用は2008年6月1日の改正道路交通法施行によって義務化された。しかし昨年、警察庁とJAFが合同で実施した「シートベルト着用状況全国調査」によれば、後部座席のシートベルト着用率は高速道路等(自動車専用道路を含む)で79.7%、一般道路では45.5%にとどまっている。
後部座席でシートベルトを着用していなかった場合、その致死率(死傷者数に占める死者数の割合)は着用時と比較して高速道路で約16.6倍、一般道路で約2.7倍に上昇するとのデータもあり、警察庁はすべての座席で必ずシートベルトを着用するよう、呼びかけている。
繰り返しになるが、夕暮れが早まるこれからの時期は、交通事故のリスクも高くなる。事故は「自分は大丈夫」という油断や過信から生まれるものだ。秋の全国交通安全運動を機に、運転に自信がある人こそ、今一度ハンドルを握る自分の姿勢を見つめ直し、安全への意識を新たにしていくべきだろう。


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