
また、昨年施行された改正大麻取締法で「使用」も処罰対象に加わったことから、今後の裁判の行方が注目される。
保釈とは?
保釈とは「お金を支払えば自由の身になる」制度ではない。裁判所への確実な出廷を条件に、判決が出るまでの期間、身柄を一時的に釈放する仕組みだ。保釈が許可されるために、被告人には保釈保証金の納付のほか、逃亡や証拠隠滅を防ぐため、条件が課される。
事件や被告人の状況に応じて条件は異なるが、たとえば、監督者の選任、裁判所の許可なく一定期間以上住居を離れられない制限、事件に関係する証人・共犯者などとの面会や連絡の禁止などがある。
こうした条件が守られなかった場合には、保釈が取り消され、再度身柄が拘束され、保釈保証金の全額または一部が没取される。さらに、刑事罰(2年以下の拘禁刑)が課される場合もある(刑事訴訟法95条の3参照)。
保釈保証金の相場
条件のうち「保釈保証金」は、問われる罪の重さ(想定される判決の重さ)や被告人の経済力等を踏まえて金額が決まり、判決後には全額返還される。一般的な相場は「150~300万円」とされるが、参考までに、過去に大麻取締法違反で起訴された芸能人の保釈保証金の額等を以下の表に示す。
清水被告の「200万円」は平均的な相場の範囲内だが、他の芸能人と比べるとやや低めの水準ともいえる。なお、これには清水被告が所持していた大麻の量が少量(0.392g)であったことも関係している可能性がある。
清水被告の裁判の行方
裁判を待つ清水被告について、検察は認否を明らかにしていない。しかし各社の報道等によれば、逮捕後の調べにおいて清水被告は「アメリカへの語学留学中に大麻を吸うようになった。稼ぎが増えた24歳くらいから大麻を吸う量が増え、今年に入ってからは、月数回のペースで吸うようになった」などと供述しているといい、大麻の所持・使用について争いはないとみられる。
ただし、清水被告が罪を認めて裁判に挑んだ場合でも、先に挙げた芸能人らの裁判とは大きく異なる点がひとつだけある。
それが、昨年12月12日に施行された「改正大麻取締法」の存在だ。
施行により、これまで禁止されていた大麻の「所持」や「譲渡」等に加え、新たに「使用」についても禁止された。さらに、これまで「5年以下の拘禁刑(懲役刑)」とされていた単純所持罪の罰則も「7年以下の拘禁刑」へ強化された。

政府広報オンライン「大麻の所持・譲渡、使用、栽培は禁止!法改正の内容も紹介します」より
現時点で、「大麻使用罪」での起訴が行われているかは不明だが、前述の通り清水被告が使用を認めているという報道もあり、「所持」に加え「使用」でも裁かれる可能性がある。改正法がどのように量刑に影響を及ぼすのか。施行後の初期事例としても裁判に注目が集まっている。