東京拘置所で「矯正展」 確定死刑囚も暮らす“塀の中”のイベント…被収容者に提供される「プリズンカレー」の販売も【9月27日開催】
9月27日土曜日、東京拘置所(東京都葛飾区)で「第12回 東京拘置所矯正展 ~『まち』とともに~」が開催される。
9時30分からのテープカットには、かつしか観光大使に任命されている俳優の内山信二さんが登場。
全国各地の刑務所作業製品や、拘置所レシピで作られたカレーの販売、近隣自治会による飲食ブースの出展、矯正関連の広報などを通じて、「地域と共生する開かれた施設運営」を目指す。
東京拘置所で「矯正展」 確定死刑囚も暮らす“塀の中”のイベン...の画像はこちら >>

第12回 東京拘置所矯正展のポスター(法務省公式サイトより)

「東京拘置所」とは、どんな場所?

刑事施設には刑務所、少年刑務所、拘置所があり、そのうち拘置所には未決拘禁者(刑罰が確定していない被疑者、被告人)や確定死刑囚が収容されている。
矯正統計調査によると、全国に8カ所ある拘置所のうち、東京拘置所はもっとも規模が大きく、2024年末時点で1873人(男性1721人、女性152人)を収容。うち49人(男性47人、女性2人)は確定死刑囚だ。死刑を執行する刑場も備えているが、その具体的な場所は職員であっても一部の人しか知らないと言われている。
矯正展は年間を通して全国各地で開催されており、その多くは受刑者らが刑務作業で制作した刑務所作業製品を駅などの公共スペースで販売するもの。今回のように、「閉ざされた空間」である刑事施設で、さまざまな催しが行われる矯正展は、われわれ一般人にとって貴重な機会と言えるだろう。
今年で12回目の開催となる東京拘置所の矯正展は規模も大きく、毎年多くの人が訪れる。昨年はあいにくの雨模様だったが、8800人超が来場した。

人気の「マル獄シリーズ」「ブルースティック」も販売

刑務所作業製品の販売ブースでは、濃紺の帆布に大きな「〇獄(まるごく)」の屋号がデザインされた「マル獄シリーズ」製品(函館少年刑務所)や、頑固な汚れが落ちるせっけんとしてSNSでも話題の「ブルースティック」(横須賀刑務支所)など、全国の矯正展で人気の商品も販売される。
そのほか、富山刑務所で制作されたお神輿(みこし)の展示、笠松刑務所による七宝焼の制作体験なども行われる予定だ。
刑務所作業製品の売り上げは、製品の原材料購入資金として使用されるほか、犯罪被害者支援団体への助成金としても活用されている。
なお刑務作業はこれまで、懲役刑受刑者に課された義務だったが、今年6月の改正刑法施行によって、そのあり方が大きく変わった。
改正前の刑法12条2項が「懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる」と定めていたように、懲役刑の本質的要素は刑務作業であったため、どの受刑者も一定の時間を割かなければならなかった。
しかし、受刑者の特性によってはそれが困難な場合もあった。
また受刑者の中には、改正前の刑法上、刑務作業が義務とされていない禁錮刑を言い渡された者もいるが、こちらは改善更生や円滑な社会復帰に有用であっても、本人が希望しない限り刑務作業を実施させることができないとの課題を抱えていた。
これらを解決するため、改正刑法では懲役刑と禁錮刑を「拘禁刑」に一本化。拘禁刑では刑務作業を義務とせず、受刑者の改善更生・再犯防止のために有用と考えられる場合に実施を検討できるようになり、より柔軟な矯正処遇の展開が期待されている。
東京拘置所で「矯正展」 確定死刑囚も暮らす“塀の中”のイベント…被収容者に提供される「プリズンカレー」の販売も【9月27日開催】

法務省資料「拘禁刑下の矯正処遇等について」より

飲食ブースには「プリズンカレー」「プリズンコッぺパン」

飲食品の販売ブースには近隣自治会などが出展するほか、拘置所レシピによる「プリズンカレー」や、拘置所の被収容者に提供されている「プリズンコッペパン」なども販売される。いずれも毎年人気のため、確実に購入したい場合は早めに来場したほうがいいだろう。
東京拘置所で「矯正展」 確定死刑囚も暮らす“塀の中”のイベント…被収容者に提供される「プリズンカレー」の販売も【9月27日開催】

昨年の矯正展で販売された「プリズンカレー」(弁護士JPニュース編集部)

東京拘置所といえば、収容棟がX状に伸びた重厚な外観が印象的だが、敷地内に立つ重要文化財「旧小菅刑務所庁舎」も名建築として知られており、矯正展ではその一部が公開される予定だ。
旧小菅刑務所は、東京拘置所の前身。司法省の建築家だった蒲原重雄(かんばらしげお)氏が設計した庁舎は、昭和4年(1929)に完成した。正面から見た姿は、その美しさから「翼を広げた鳥のよう」とも評され、各国の刑務所を訪問したという喜劇王・チャップリンも、ここを訪れた際に絶賛したとの逸話が残っている。
東京拘置所の担当者は、矯正展について「地域のご理解を得て実施しているイベント」と話す。
当日は、刑務官の職務演習や、警備隊の車両展示なども行われる。

「(刑事施設には)普段は目立たない地味な仕事も多いですが、いろいろな活動があるということを実際に見て、知っていただく機会になればと思います」(担当者)
■ 第12回 東京拘置所矯正展 ~「まち」とともに~
開催日時:2025年9月27日(土)9時30分~15時
開催場所:東京拘置所(東京都葛飾区小菅1-35-1)
アクセス:東京メトロ千代田線・綾瀬駅(西口)徒歩15分、東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)小菅駅徒歩5分
※駐車場なし


編集部おすすめ