
オンラインカジノをめぐる状況が深刻化したことを受け今年6月に改正された「ギャンブル等依存症対策基本法」は、9月25日から施行されている。
SNSでオンラインカジノを紹介する行為も違法に
今回の改正により、ギャンブル等依存症対策基本法には以下の項目が追加された。(1)違法オンラインギャンブルのウェブサイトなどを提示する行為の禁止
(2)インターネットを利用して不特定多数を対象に違法オンラインギャンブルなどに誘導する行為の禁止
(3)国および地方公共団体による違法オンラインギャンブルなどが禁止されていることの周知徹底
上記(1)と(2)により、具体的には以下のような行為が違法なものとして禁止された。
- オンラインカジノサイトの開設、運営
- オンラインカジノアプリの、アプリストアへの掲載
- SNSなどで、オンラインカジノサイトへのリンクを貼り付けて投稿したり、オンラインカジノサイトの宣伝や広告をしたりすること
- オンラインカジノサイトを紹介するまとめサイトを作ること
- オンラインカジノを紹介する動画を投稿すること
通報する場合には、IHCの通報フォームに、該当する情報が掲載されたウェブページのURLを入力すればよい。詳細情報は1000字以内で、任意に記載することができる。また連絡先の入力も任意であるため、匿名での通報も可能。
なお、たとえ通報目的であっても、「違法情報のスクショやアーカイブをとってネット上で誰もが閲覧可能な状態にすると、それ自体が違法情報になる可能性がある」(警察庁)ため、注意が必要だ。
通報を呼びかける警察庁のポスター
50万円以下の罰金や3年以下の拘禁刑が科される可能性も
ギャンブル等依存症対策基本法はいわゆる「理念法」であるため、同法自体には罰則は直接規定されてはいない。しかし、競馬や競艇などの法律で認められた公営のものを除けば、ギャンブル行為は刑法上の犯罪として、罰則が設けられている。
具体的には、1回であってもギャンブル行為は「賭博罪」(刑法185条)の対象となり、50万円以下の罰金または科料が科される可能性がある。また、反復・継続してギャンブルを行った場合には「常習賭博罪」(同186条1項)に該当し、3年以下の拘禁刑を科されるおそれがある。
また、 海外で合法的に運営されているオンラインカジノであっても、日本国内から接続してギャンブルを行うことは賭博罪に当たる。
警察庁は「バカラ、スロット、スポーツベッティング等、その名称や内容にかかわらず、オンライン上で行われる賭博は犯罪」であるとして、有料版はもちろん、無料版であってもオンラインカジノの利用は絶対に止めるよう注意喚起している。
1月に書類送検された、東京五輪卓球男子団体の銅メダリストである丹羽(にわ)孝希選手は、取り調べの際に「インターネット上の広告を見てカジノを利用した」「違法だと知らなかった」と話していたという。
また、2月に任意聴取を受けた、当時は吉本興業に所属していたお笑いコンビ「令和ロマン」の高比良くるまさんは、自身のYouTubeチャンネルで海外オンラインカジノの広告があがっていたことから「違法ではないという認識だった」と釈明している。
過去にはテレビやラジオでもオンラインカジノのCMが流れていたことから、スポーツ選手や芸能人に限らず、市井の人でも「オンラインカジノは違法ではない」と認識している人は多い。
だからこそ、オンラインカジノのサイト・アプリや紹介動画などを発見したら警察に通報することは、世の人々が自覚なく罪を犯してしまうことを防ぐ手だてになるといえよう。