同高裁は被告(大学)側の控訴を棄却するとともに、原告について「期間の定めのない労働契約上の権利を有する地位にある」と一審(東京地裁)判決を支持したうえで、原告が控訴審で拡張した賞与分の請求についても認める判決を言い渡した。
突然の「雇い止め」、不更新条項付きの契約書…
それは、いわば青天のへきれきだった。経済産業省で一般行政職職員として勤務していた荒川正頼氏は2020年3月、同省上司に勧められ、定年の10年前に同省を退官。同年4月、千葉工業大学に入職し、国際金融研究センターに上席研究員として着任した。
入職にあたっては、大学側から「当初3年間は1年ごとの更新となるが、余程の不祥事でもない限り更新され、3年経過後は任期の定めのない身分(無期雇用契約)となる」との説明を受けていた。
しかし、入職2年目の2021年11月、センターの廃止と、それに伴い2023年度以降は契約を更新しないとの通告が一方的になされた。
荒川氏は大学と交渉したが、「期間満了後は更新しない旨の不更新条項つき」で2022年3月末までの契約案を手渡されたという。
荒川氏は、不更新条項は認められないとして、当初の約束通り、4年目以降を無期雇用契約とした雇用契約書を提示するよう大学側に求めたが、「不更新条項付きの契約書を提出しないのであれば、2022年3月末をもって雇用を終了する。今後、雇用に関する協議を行うことはない」とした同大学常務理事名義の回答書が届いた。
これにより、2022年4月から雇い止めの状態となった荒川氏は同年8月、地位確認および未払い賃金の支払いを求め東京地裁に提訴。同地裁は今年3月、原告勝訴の判決を言い渡した。
これを受け、大学側が控訴。荒川氏も賞与分の請求について金額を拡張して控訴した。
契約更新を拒絶「社会通念上相当であると認めることはできない」判決
東京高裁の判決後、都内で開かれた会見には荒川氏と、同氏の元上司で「荒川さんを支援する会」代表ら3人が出席。これまでの経緯を語るとともに、原告勝訴の判決を評価した。判決は、荒川氏の訴えに対し「一審原告(荒川氏)の一審被告(大学)に対する地位確認及び賃金支払の各請求はいずれも理由があり、また、一審原告の賞与の支払請求も理由があるものと判断する」とした。
地位確認の理由については、契約時に「(採用後3年間に)特段の問題がないと判断された場合には、4年目以降の雇用契約については期限の定めのないものに移行する旨の説明を受けている」ことなどを挙げた。
さらに、大学が荒川氏からの契約の更新の申込みを拒絶したことについて、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認めることはできない」として、労働契約法(19条)に従い、荒川氏の有期労働契約は雇い止めが発生した2022年4月以降も更新されたと認めた。
賃金・賞与の支払いについては、雇い止めが発生した2022年4月以降、控訴審判決確定日までの毎月分の賃金と、毎年分の賞与の支払い、さらにそれぞれ年3%の割合の遅延損害金の支払いを命じた。
研究センター廃止「手続き的な不備がある」指摘
今回、大学側が雇い止めの直接の理由としたのは、荒川氏が勤務していた「国際金融研究センター」の廃止だった。しかし、判決では、「研究センターの廃止それ自体についての議論が尽くされたことを認めるに足りる証拠はない」「被告は、理事会の決議を経ることなく、理事長や常任理事らで決めた研究センターの廃止を推し進めているにすぎず、研究センターの廃止について理事会の決議を経ていない点において、手続き的な不備があるものといわざるを得ない」と、研究センター廃止の合理性そのものに疑問を呈した。
会見に出席した「支援する会」代表は、「(センター廃止を理由とした雇い止めに)疑問が残るとした一審判決からさらに踏み込み、センター廃止に関する決定自体に手続き上の不備があったと、的確に事実認定および判断を加えていただいた」と判決を評価した。
荒川氏「大学に復職し、研究を続けたい」
国際金融研究センター在職中は、官学産連携で再生可能エネルギーを地域に根付かせるプロジェクトを担当していた荒川氏。「研究が継続できなくなるのではないか、ということが一番不安だった」と雇い止めにあった時のショックを語った。
現在、荒川氏は、センター上席研究員としての雇用契約とは関係なく、研究の深化のために千葉工業大学大学院(社会人博士課程)においてマネジメント工学の博士号の取得を目指しているという。
同大学の社会人博士課程では、仕事と両立しながら研究を行っている学生が多いとしたうえで、支援する会の代表は「荒川氏の研究職復帰を一日も早く実現していただきたい」と大学側に改めて訴えた。
また、今回の判決について、「他の雇い止め訴訟に対しても、良い影響を与えてほしい」とも語った。
一方、千葉工業大学は筆者の取材に対し、「今後の対応につきましては、判決文を読み判断致します」とコメントを寄せた。
■榎園哲哉
1965年鹿児島県鹿児島市生まれ。私立大学を中退後、中央大学法学部通信教育課程を6年かけ卒業。東京タイムズ社、鹿児島新報社東京支社などでの勤務を経てフリーランスの編集記者・ライターとして独立。防衛ホーム新聞社(自衛隊専門紙発行)などで執筆、武道経験を生かし士道をテーマにした著書刊行も進めている。

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