入院患者3名が亡くなったのはいずれも2019~23年。
遺族らは、葬儀代や亡くなった被害者本人への慰謝料、遺族への慰謝料など合わせて約8850万円の支払いを請求している。
遺体に「床ずれ」「壊疽」
訴状等によれば、亡くなった3名のうち、2名(Aさん、Bさん)にはそれぞれ5cm×5cmを超える大きな褥瘡(じょくそう ※1)が、1名(Cさん)には右足の壊疽(えそ ※2)があったという。※1 いわゆる「床ずれ」。圧迫による血流障害が原因となってできる。患部から細菌が入ると、敗血症などの感染症を引き起こす。※2 血流障害や感染症などの病気が原因となって細胞組織が壊死(えし)する疾患。
弁護団によれば、AさんとBさんの褥瘡は「適切な予防をしていなかったことが明らかだった」といいう。一般に褥瘡は、ベッド上での体位を変換し体圧を分散させるなど適切な予防をすれば重症化は防げるとされる。
これに対し、Cさんの壊疽は、初歩的な診察すら行われなかったことが原因で生じたとみられるという。Cさんは旧滝山病院に入院して3か月後(2023年7月頃)に「足が痛い」と訴え、急性下肢動脈閉塞症が疑われる症状が発現。しかし、病院は内服薬のみを処方した。翌8月頃には重症下肢虚血に至り、壊疽が生じたとみられる。
薬剤の誤投与、チューブの誤挿入…「カルテにも残っておらず謎のまま」
Bさんは上記の褥瘡が原因とみられる敗血症を引き起こし、2019年6月に亡くなった(2018年12月入院)。これに対し、AさんとCさんの直接的な死因は褥瘡・壊疽とは別にあるという。
弁護団の調査によれば、Aさんの死因は多臓器不全、Cさんは窒息による低酸素血症だった(※病院側は死因について、Aさんの遺族には心不全・多臓器不全、Cさんの遺族には肺炎と伝えていた)。
原告らは、死因となった症状が引き起こされたのは、いずれも、旧滝山病院による医療過誤が原因と訴えている。
具体的には、Aさんに対するウロキナーゼ(血栓溶解薬)の誤投与、Cさんに対する胃管チューブの誤挿入だ。それぞれ詳述する。
Aさんに誤投与されたウロキナーゼ(血栓溶解薬)は、急性心筋梗塞などに稀に用いられる薬剤だ。ただ、Aさんは投薬された当時、心筋梗塞の症状(激痛、心電図の異常、心筋マーカーの上昇など)はなかった。
それどころか、肺胞の毛細血管が破綻しており、どちらかといえば止血が必要な状態だったという。しかし、そんなAさんに病院はなぜかウロキナーゼを投薬した。代理人の笹川麻利恵弁護士は「病院側は何を根拠に心筋梗塞と判断したのか、カルテにも残っておらず謎のまま」と説明する。
弁護団は、この投薬をきっかけに肺胞の毛細血管からの出血が助長され、血液が胸腔に貯まる血胸(けっきょう)を引き起こし、心臓を圧迫。心臓の機能に障害を及ぼし、他機能不全で亡くなったと主張している。
一方のCさんは、亡くなった12月当時、栄養剤投与のため胃管チューブを使用していたが、弁護団によるとこの挿入位置を誤ったまま栄養剤を投与していた疑いがあるという。
代理人の神谷竜光弁護士は、「胃管チューブが胃に入っていない誤挿入の事故は比較的多く、医療事故調査機関から注意喚起もされている。病院はCさんのレントゲンを亡くなる前に撮っており、その時点で誤挿入に気づけたはずだ。しかし、中止せずに続けた」と指摘。
弁護団は、正しい位置に取り付けられなかった胃管チューブから栄養剤が逆流し、気管に流入。窒息からの低酸素血症でCさんが亡くなったと主張している。
「父は治療されずに殺されてしまったんじゃないか」
提訴後の会見で、原告側代理人の髙橋正人弁護士は、旧・滝山病院が行っていた行為を「反医療的行為」と強く非難。「本来、人を助けようとした医療行為の過程でミスをしてしまったことを医療過誤というが、旧・滝山病院は医療行為すら行っていない。医療過誤訴訟ということすらはばかられるような内容だ」(髙橋弁護士)
また、同代理人の相原啓介弁護士は、今回明らかになったケースのほかにも被害者がいる可能性があるとして、旧・滝山病院が抱える問題の深刻さを訴えた。
「旧・滝山病院は虐待問題で注目を集めたが、もっと大きな問題が隠れていた。病院という名前はついているが名ばかりで、行われていた医療は『ずさん』という言葉では語りつくせない。人が亡くなっていく方向に働きかけるような行為ばかりだ。今回提訴に至った被害者は3名だが、こうした『反医療的行為』の被害を受けていた患者さんは膨大な数いるだろう」
Aさんの息子で原告のXさんは会見に出席し、「父が生きていれば、来月が誕生日だった。
「父は治療されずに殺されてしまったんじゃないか。父が死に至った原因を一番知りたい。法の裁きを公平にしていただきたいと願うばかりです」
被告となった医療法人社団新山会は、弁護士JPニュース編集部の取材に対し回答を拒否した。
事件後に名称変更・理事等全員交代も…被害者救済進まず「過重な負担が生じている」
旧・滝山病院では、2023年2月、患者を殴る、頭をベッドに押さえつけるといった暴行が発覚。関与していた看護師や准看護師ら5人が暴行容疑で起訴され、罰金刑が確定した。第三者委員会が同年12月に公表した報告書によれば、5件の暴行事件のほかにも、院内ではさまざま不適切行為が横行していたという。
たとえば、複数の病棟で、シャワーを利用する患者に裸に近い状態で廊下を歩かせたり、おむつ交換も他の患者から見える状態で行ったりしていた。第三者委員会はこうした行為が「性的虐待に当たる」と指摘した。
違法な身体拘束も常態化していたほか、看護師が患者の額に心電図の吸盤を付けたり、首を絞めたりする行為も確認されたという。患者からのヒアリングでは「顔に熱いお茶をかけられた」「『デブ』『豚』などの暴言を浴びせられた」という情報もあった。
第三者委員会は、職員の人権意識の欠如やそれを助長した病院特有の組織的問題があると分析。
病院は監督機関である東京都の改善命令を受け、2024年1月に院長らの辞任を盛り込んだ改善案を提出。24年8月には管理責任を問われた旧経営陣が辞任した。翌9月から新体制に移行、11月には「希望の丘八王子病院」と名称を変えた。
運営する医療法人社団孝山会も「新山会」と名称を変え、理事や社員計7人の全員が交代した。
しかし本件の弁護団は、東京都が病院に対し被害実態の自主調査、被害者説明会の開催、被害者への賠償等を促す指導を行っていないことも指摘。
会見では「各被害者が自力で全ての調査・提訴を行わざるを得ず、過重な負担が生じている」として、東京都に対し指導を徹底するよう求めた。

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