原告らは、請求を棄却した一審判決(東京地裁)を不服として控訴している。
マイナ保険証については利用率が10月末時点で40%に届いていない。これを受け、厚生省は、従来の健康保険証(カード、紙)を本来の有効期限である12月1日が経過しても2026年3月末まで条件付きで使用できるとする特例措置を打ち出している。
そんな中で行われた控訴審の第1回口頭弁論で、原告側は、一審判決に対する批判を行った。
医療機関に「オンライン資格確認の義務」を課すことが「法律による行政の原理」に違反すると主張
本件訴訟で原告が主張する最も重要な争点は、医療機関等に「オンライン資格確認」の義務を課す法的根拠が存在しないというものである。被告国側は、閣議決定に基づいて定められた「療養担当規則」(厚生労働省令)を根拠規定と位置付けている。
原告はこの点について、「国会は(中略)唯一の立法機関である」と定める憲法41条と、「療養の給付」の内容を具体的に定める健康保険法70条1項に違反するとしている。
憲法41条の解釈についてはいずれの見解も、最低限、国民の権利を制限し、義務を課するには、国民の選挙により選出された構成員(国会議員)からなる「国会」で審議・議決して「法律」によらなければならないという点では一致している。「国会中心立法の原則」「法律による行政の原理」などといわれる。
ただし、法律で「個別・具体的な委任」を行った場合には、その範囲内で、法律の下位規範である政令・省令等で、ルールを定めることが認められている(最高裁昭和49年(1974年)11月6日判決、最高裁平成25年(2013年)1月11日判決等参照)。
一審判決は「正面から向き合っていない」と批判
一審判決は、まず、「法律による下位規範(政令・省令)への委任」があったか否かについて、健康保険法70条1項が「資格確認の方法」のルール制定について「療養担当規則」(省令)に「委任」していると判示した。その理由として、健康保険法70条1項が、医療サービス(療養の給付)そのものに限らず、それにあたって「遵守することが必要な事項の定めを厚生労働省令(療養担当規則)に委任していると解するのが自然である」と説明している。
また、その「必要な事項」の判断については「必ずしも国会での審議になじむものとはいえず、(中略)厚生労働大臣の専門技術的な裁量に一定程度委ねている」とした。
さらに、医療機関の側で、オンライン資格確認に対応するための体制整備に伴う経済的負担が生じる点については、「療養の給付そのものの内容や態様に係る制限ではなく、それが保険医療機関等に対して事業継続を困難にするようなものに相当すると直ちにはいうことができないから、(中略)職業活動の自由の制約の程度が大きいということはできない」とした。
以上を前提とすると、一審判決は次のように整理される。
①立法による政令・省令への委任を緩やかに認める
②内閣をはじめとする行政部門の「裁量」を広く認める
26日の口頭弁論で陳述を行った原告事務局長でクリニック院長でもある佐藤一樹医師は、一審判決の大筋について、開口一番、以下のように批判した。
佐藤医師:「(一審判決は)原告の主張に正面から向き合っていない。原告の主張が認められない理由についてほとんど判示せず、無視した」
判断過程が「専門技術的」でないと主張
佐藤医師は、被告国側がオンライン資格確認を「事務的な行為」と位置付けておきながら、その義務化について厚生労働大臣の「専門技術的な裁量」の範囲内にあるとして正当化した点が「誤り」だと指摘した。佐藤医師:「『骨太の方針2022』発表直前の同年5月25日に、厚生労働省社会保障審議会 医療保険部会で、突然、医療機関に2023年4月からオンライン資格確認システムの導入を義務付け、将来的に従来の保険証の廃止を目指す方針が提案された。
このオンライン資格確認の義務化は、厚生労働大臣による『専門技術的な裁量』による決定ではない。医療界のメンバーがひとりもいない『経済財政諮問会議』の提言を反映した閣議決定によるものだ」
本訴訟に限らず、裁判所は行政訴訟においては、基本的に行政(内閣)の「専門技術的な裁量」を尊重する姿勢を示してきている。
その理由は、裁判所は具体的事件の解決に必要な限度で、かつ当事者が収集・提出した事実・証拠を基に判決を下す役割しかないこと、および、あくまでも裁判所は法律の専門家であって行政の専門家ではないという点にある。
ただし、「裁量」といえば何でも通ってしまうのでは、行政の専横を許すことになりかねない。そこで、裁判所は近年、以下の要素を吟味することにより行政の判断の過程に不合理な点はないかを審理し、裁量の逸脱濫用の有無を判断するようになってきている(判断過程審査)。
①処分の前提となった事実の認識、または評価に重大な誤りがないか
②考慮すべき事項を考慮しているか
③考慮すべきでない事項を考慮していないか
佐藤医師の主張は、この判断過程審査の枠組みを前提として、特に②③につき、オンライン資格確認の義務化の決定に「専門技術性」のある者や機関が関与していないことを指摘するものであるといえる。
さらなる大量漏えい事件の懸念も
佐藤医師は続いて、個人情報保護の観点から、制度的側面と技術的側面においていずれも問題があると説明した。まず、制度面では、2005年4月に個人情報保護法が施行されてから20年以上経過したにもかかわらず、関連の法律が整備されていないという問題点を指摘した。
佐藤医師:「法律家に守秘義務があるように、医師は古来、職業倫理上も法律上も、患者の個人情報について守秘義務を負っている。
一方、2005年4月に施行された個人情報保護法の制定時、衆議院および参議院における附帯決議として、『医療等、国民から高いレベルでの個人情報の保護が求められている分野については,個別法を早急に検討する』と記載されたが、個別法は何も検討されていない」
さらに、技術面では、2022年に発覚した以下の2つの事件を挙げ、情報漏えいリスクへの憂慮を示した。
- 厚生労働省が指定難病患者5640名分の氏名・生年月日・住所等の個人情報を流出させた事件
- NTTデータ社が、約9万5000人分の患者医療情報を利活用するにあたって事前に患者本人に通知せずに取得した事件
『骨太の方針2022』では、オンライン資格確認義務化で開通させたNTT回線を利用して、将来の標準化電子カルテによる患者医療情報を民間企業に利活用させることになっている。これによってさらに大量の漏えい事件が発生すると容易に想定される。
現時点の日本の医療情報セキュリティレベルでは信頼性、安全性が高いとは言えない。機微性が高い患者の診療情報を守れるはずがない」
国家公務員のクリニック通院者の利用率は「80分の1」
続いて佐藤医師は、自身のクリニックに通院する国家公務員のマイナ保険証の利用率がきわめて低いことを指摘し、陳述を以下のように締めくくった。佐藤医師:「私のクリニックの近傍には約1100世帯が入る国家公務員官舎があり、約80人の国家公務員が通院している。(マイナ保険証について詳しいはずの)厚生労働省の職員も多いが、マイナ保険証の利用者は1人しかいない。
国家公務員であっても、一患者・一国民の立場になれば、マイナ保険証のオンライン資格確認は利用したくないと考えている方が大多数であることが示されている。
多くの国民から評価を得られていない段階、しかも、国会でも意見が割れ、厚生労働審議官が義務化について『個別の状況を勘案せず』『関係する皆様の理解と協力を得ることは困難』と答弁したにもかかわらず、(国会での審議・議決を経て制定する法律に基づかず)閣議決定で決めてしまう国は、民主主義国家とはいえない」
控訴審第2回口頭弁論は年が明けて2026年2月25日(水)の11時30分から開かれる予定である。
期日後に記者会見する原告代表と代理人弁護士ら(26日 東京都千代田区/弁護士JPニュース編集部)

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