施行から3年が経過したいま、法令遵守を貫くAVメーカーの制作現場は、どうなっているのか…。
メーカーサイドへの取材からみえてきたのは、実態とかい離した厳格な規制と、それに伴う膨大な事務的・人的コストの増大であり、淘汰を通り越して弱体化という苦難にあえぐ姿だった。
AV新法施行により強いられた重すぎる事務的負担
メーカーの特設ルームに十数人の演者が集まり、巨大スクリーンの映像を鑑賞。完成した作品の試写会の場面ではない。スクリーンに映し出されているのは、AV出演の契約に関する内容を説明する映像だ。なぜ、こんなプロセスが必要なのか…。新法施行前は制作・公表側に作品ごとの契約締結義務、契約書と内容説明書面の交付義務がなかった。そこで新法施行後は、メーカー側が出演者個々と対面で説明を行うようになった。
ところが、この対応には平均すると1人1時間は要する。大手メーカーにもなると、出演者を月に700人から800人は抱える。まともに対応すれば膨大な手間となるため、できるだけ効率化を図るための施策だ。
だが、この方式にも問題がある。一度に出演者のスケジュールを合わせるのは困難で、また、現場以外で顔を合わせたくないという演者もおり、日程調整に苦慮。
もっともこの工程は契約全体のなかでは予備的段階。この後さらに、出演者と個別の契約が待っている。
なお、これら一連のフロー・手続きはすべて録画される。その目的は、記録の意味合い、そして後日、「聞いていない」という訴えを防ぐためのメーカー側の対策でもある。
これが何を意味するのか。たとえば、700人の演者を抱えていれば、動画データを販売停止までの数年は保存しなければならない。これまでなかったところに、新たな、そして膨大な事務的負荷が加わったということに他ならない。
説明のための人的負担、撮影にこぎつけるまでの時間的負担、データ保存のための管理コスト負担…。AV新法施行により、制作サイドに圧し掛かる負荷は一気に増大。「業界潰しだ」との声も業界からは聞こえてくる。
そのボリューム感を、ある業界関係者は「対応工数が4~5倍」という数字で示す。
法の抜け穴を悪用する「解除ビジネス」と強引な取り下げ要求
これだけの負担を強いられているところに、新法を都合よく解釈し、メーカー側に圧力をかける動きも見られるようになってきているという。たとえば、「無条件解除権」。これは、出演者を保護するためのものだが、発動されるとメーカーにとって極めて大きな経済的リスクとなる。それを見透かすように、規定を悪用しようとする動きが散見されるという。
あるメーカーの法務担当者によると、無条件解除の事例は2023年秋頃から出始め、合計約20件程度が実際に発生。特に深刻なのは、解除の際に発生する金銭的な不均衡だ。
契約解除が申し出られた場合、AV新法では当事者双方が、原状回復義務(契約がなかった状態に戻す義務)を負うものとされている。だが、メーカーが配信停止や販売停止といった原状回復義務を実施しても、出演者が受け取ったギャランティ(出演料)の返還(原状回復義務)を行わないケースも存在するという。つまり、ギャラ泥棒だ。
さらに、出演者側の依頼を受けた弁護士によっては「出演者が聞いてない」をメーカーへの通知内容の全面に押し出し、そもそも出演料の返還義務回避を前提に動いているところもあると指摘されている。
前述の全録画は、これらに対する予防線だ。
また、第三者(親や知人)からの圧力により作品を取り下げざるを得なくなり、制作にかかった数百万円から時には1000万円を超える費用がすべて無駄になる事態も発生しているという。
撮影に参加した男優などが「取り下げたい」と申し出て、メーカーを困惑させ、ギャラの釣り上げを狙う“解除ビジネス”の横行も危惧される。
本来、出演者保護が目的だったはずのAV新法が、その本懐を遂げるどころか、現場でこれだけの混乱を招いている。それだけでなく、規制の“悪用”までを誘発。もはやメーカーにとっては、四肢に鉛をつけられたような不自由さを強いる“悪法”となっているのが、施行から3年の現在地だ。
「踏み台悪用」事例と地下化の流れ
メーカーだけでなく、業界の秩序にも少なからぬ影響を及ぼしている。厳格過ぎるAV新法を逃れ、規制に従わない「地下化」した業者への出演者流出だ。法律を遵守するメーカーでは、販売まで時間がかかる上に手続きが煩雑。一方、ルールを持たない地下の業者では「煩わしいことはない」「即金で支払い」といった誘い文句で誘引し、出演者を呼び込む。
甘言に乗れば、当然、そのリスクは大きい。こうした構造の歪みによる地下化の加速は、業界を健全にするはずのAV新法が産み落とした招かれざる副作用といえる。
AV出演を「箔付け」として利用し、その後に海外で売春行為などを行う事例も報告されている。日本のAV女優は国際的には「アダルトスター」として高い評価を得ている。にもかかわらず、国内の厳しい規制が、せっかくの価値を活かしきれず、かえってこうした悪用の温床や、違法業者への流れを呼び込む矛盾を生じさせている。
1か月・4か月ルールの弊害
ストレートに弊害をもたらしている条項もある。「契約から撮影まで1か月、撮影から公表まで4か月を要する」という、いわゆる「1か月・4か月ルール」だ。契約締結から作品公表までの長い熟考期間は、新人女優の慎重な判断機会を付与する点で評価できる。だが、このためにメーカーから新人女優への出演依頼がされにくくなる側面があり、加えて、デビューを決めた新人女優から早期の活躍の機会を奪うことにもなる。
さらに、問題はこのルールによって現場の柔軟性が失われることだ。出演者の急な体調不良やスケジュールの都合で撮影を断念した場合でも、代役を立てるための再契約に1か月を要するため、急な対応ができない。
その結果、責任感の強い出演者ほど、「現場に迷惑をかけられない」と無理をして体調不良のまま撮影に臨まざるを得ない状況が生じ、本来の法律の目的である「出演者保護」とは逆行する事態を招いている。
新法はAV業界を産業として認めていない
あるAVメーカーの法務担当が切々と訴える。「全ての元凶は、(新法下では)AV業界を『産業』として認めていないこと。それが透けているんです。監督する省庁が存在しないという現状が、演者や制作など関わる人がひとりの職業人として『自立』することを、構造的に阻害しています。
被害者救済という現行法の目的は非常に大事ですが、現場の演者さんは基本、自らの意思でAV出演を決めており、強制されているわけではありません。
私どもは健全性や自立性を証明する意味でも、法律に全面的に遵守して対応しています。
新法を見直す際には、業界で活躍している出演者の意見にもしっかりと耳を傾けながら、アダルトコンテンツのポテンシャルを最大化し、産業を発展させるという観点をぜひ取り入れて欲しいです」
施行3年で業界にこれだけのきしみをもたらしたAV新法。「成長痛」と呼ぶにはピントがずれすぎており、このままではその骨格さえも破壊しかねない…。
新法の附則の通り、「見直し」を検討するにしても、まずは立法に関わった全議員が一度現場に足を運び、全方位の声に耳を傾け、「何を護る法令であるべきか」を考える。それをなによりも優先することが、第一歩といえそうだ。

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