気候変動を理由とする国家賠償請求訴訟は日本初。
「日本の温暖化対策は不十分で国際条約違反」
島弁護士の説明によると、本訴訟は個々人の被害の救済ではなく国の政策に対する是非を問い新しい政策を提起することを目的とした「政策形成訴訟」であるという。そのため、請求する賠償額は原告1人あたり1000円。気候変動(地球温暖化)が実際に進行していることについては、国際的にも科学的な合意が形成されている。国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、最新の第6次評価報告書で、人間活動による温室効果ガス排出が地球温暖化の主因であることは「疑う余地がない」と結論づけた。
日本国内でも影響は顕在化している。気象庁によれば、日本の年平均気温は長期的に上昇傾向にあり、猛暑日や熱帯夜の増加、豪雨の頻発など、極端な気象現象が各地で観測されている。
2015年に京都議定書の後継となる国際的枠組みとして合意され、日本も2016年に批准した「パリ協定」は、地球の平均気温の上昇を2℃より十分低く抑え1.5℃未満にすることを努力目標(1.5℃目標)としている。そして、同協定は締約国に対し、温室効果ガス排出削減に向けた目標を定め、必要な国内措置を講じることを求めている。
また、訴状では「先進国は、排出削減に関して発展途上国と比べより重い責任を負うもの」として、日本の義務は重いものと指摘している。
しかし、日本政府が今年2月に閣議決定した温暖化対策計画でも目標とする削減率は1.5℃目標を達成するには足りていないことから、パリ協定が定める義務に違反していると原告らは訴える。
国の「立法不作為」により人権侵害が放置されている
原告らが強く主張するのは「影響や被害は、単に生活上の不都合を招くにとどまらず、重大かつ深刻な人権侵害を生じさせている」という点だ。具体的には、以下のような権利が現に侵害されていると訴える。- 生命・健康についての権利:熱中症による救急搬送者数・死亡者数が急増していること等から
- 子どもの成長発達権:公園など外で遊ぶことも困難になっていること等から
- 営業の自由:農林水産業や観光業等に重大な経済的被害が生じていることから
- 財産権:農作物への影響で生産者や消費者が被害を受けていることから
さらに「気候変動に伴う極端な高温や異常降水、災害、農作物の不作等により生命・身体・財産を奪われる不安や恐怖を抱くことなく安定した気候の下で平穏に生活する権利」が侵害されているとして、憲法上の人格権の一種である「平穏生活権」も侵害されていると訴える。
そして島弁護士によると、いま日本にある「地球温暖化対策の推進に関する法律」は目標や手順・手続きを定めることで規制の目的を達成しようとする「枠組み法」に過ぎず、法的な拘束力を伴わない。
そのため気候変動によって引き起こされてきた上記の人権侵害は実質的に国によって放置されてきたのであり、これは立法不作為(国家が法律を制定すべきところをその義務を怠り、そのために国民に損害を与えたこと)にあたるから国には賠償責任がある、と原告らは主張する。
国際司法裁判所が「各国には排出量削減の義務がある」と明言
入廷行動を行う原告ら(12月18日都内/弁護士JPニュース編集部)
今年7月23日、オランダ・ハーグにある国際司法裁判所(ICJ)は「各国には排出量を削減し、気候を守る法的義務がある」とする勧告的意見を発表した。
訴状を作成するにあたって、気候対策や環境保護の義務が国にあるとまで言えるかどうかは弁護士の間でも意見が分かれていたが、島弁護士いわく「世界の司法の頂点」であるICJの勧告的意見が決め手となったという。
気候変動に関する国内訴訟としては、これまでにも、複数の電力会社を原告とする「シロクマ訴訟」や「若者気候訴訟」が提訴されてきた。しかし国を相手にする訴訟は今回が初。
原告の一人であり建設業界で働く秋山喜一さんは、現場では暑さに苦しむ労働者が多く、また暑さ対策のコストも非常に大きくなっていることから深刻な影響が生じていると語る。
「建設で働く仲間を巻き込んでいくため、参加した。国を敵にするのではなく、私たち社会を代表するものである国に『状況を何とかしてほしい』と訴えるための訴訟だ」(秋山さん)
原告の一人であり気候正義訴訟の呼びかけ人である、哲学者・経済思想家の斎藤幸平さんは「学者というより、自身にも2人の子どもがいる一人の市民として参加した」と語る。
「(気候変動の対策をする)チャンスはあと10年くらい。これを逃すと、本当に取り返しのつかない事態になる。
日本の政府は、とくにヨーロッパと比較すると、十分な対策を取っていない。このままいけば、経済的な被害も人的な被害も未来の世代に残してしまう」(斎藤さん)
島弁護士はすでに第二次提訴も計画しているという。日本の国会議員が気候問題に取り組まないのは国民の関心の薄さに起因していると指摘して、訴訟を通じて問題提起をしていき原告の数を増やしていきたい、と語る。
「気候正義・環境正義とは、先進国が経済を発展させて快適な生活をしているのに最初の影響を受けるのは脆弱(ぜいじゃく)な地域であるという構造的不平等、また現行世代の影響を受けるのが将来世代であるという世代間の不平等を問うもの。
国を相手にした裁判はハードルが高く、ためらう人も多いだろう。しかし、極端な話、国から補助金をもらいつつ国とたたかえるというのが健全な民主主義の社会だ。30年先をどうするか、ということも考えられるような裁判にしたい」(島弁護士)

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