ひろゆき氏が提訴され敗訴判決により損害賠償責任を負った原因は、同氏が2ちゃんねる管理者当時、誹謗中傷等の書き込みを放置したことにある。
同氏の「時効」についての発言等は、民法166条1項2号で債権が「権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」に時効によって消滅すると定めていることをさすと解される。しかし、ひろゆき氏は「判決が出て裁判所が払えって言ったものに関しては払う」(※)と述べ、時効にかかわらず支払う意思を表明した。
※動画「【ひろゆき賠償金払う旅】なぜ今?ひろゆきから説明【ReHacQ】」27分20秒頃~
ところが、ひろゆき氏に対する「債権者」の一人、Aさん(40代女性)は、制作側の求めに応じて番組に出演したにもかかわらず、ひろゆき氏に「債務が存在しない」と主張され、支払いを拒否されている。
被害者と「和解」するも条項を履行せず
AさんはReHacQから乞われて番組に電話で出演し、撮影は2024年10月に行われ、番組は「【ひろゆき賠償金支払う旅⑤】前代未聞の激怒…ひろゆきの根本とは」というタイトルで、収録から約8か月が経過した2025年6月28日に放映されている。Aさんは以下のように語った。
Aさん:「私は犯罪の被害に遭い、加害者から逆恨みされてストーカー被害を受け、掲示板で個人の情報をさらされ、誹謗中傷される被害を受けた。
しかも、掲示板の管理人のひろゆき氏は削除に応じなかったばかりか、裁判上の和解をしたのに和解条項を守らず、違反に対するペナルティとして課された制裁金を踏み倒された。
その上、『ReHacQ』の番組で、私があたかも法的に誤った主張をごり押ししているかのような印象操作をされ、かつ、同氏の信者のような人たちから誹謗中傷を受けている」
2002年、当時飲食店を経営していたAさんは、X氏による無銭飲食の被害に遭い、警察に通報した。X氏は後日、警察から呼び出しを受け、罪を自白しAさんに対する被害弁償を行った。
ところが、加害者のX氏は、Aさん個人とAさんが経営する店について虚偽の風説や誹謗中傷、信用を毀損する内容を2ちゃんねるに書き込んだ。そして、Aさんは、書き込みに影響を受けた人物からのストーカー被害にも遭った。
Aさんは弁護士を立て、「2ちゃんねる」の管理人であるひろゆき氏を被告として投稿者のIPアドレスの開示請求訴訟を提起した。
【画像1】Aさんとひろゆき氏の和解調書(正本写し)の表紙(Aさんが裁判所から取得)
調書によれば、和解条項のうち、ひろゆき氏が履行義務(債務)を負う事項は以下の通り(【画像2】)。
(1)ひろゆき氏(被告)はAさん(原告)に対し、所定のIPアドレスを2003年7月末までに開示する
(2)ひろゆき氏は2ちゃんねる上の所定の投稿とスレッドを同年7月12日までに削除する
【画像2】和解条項(赤下線部はひろゆき氏が負う債務を記載したもの)
Aさんは和解条項にしたがい請求の放棄や仮処分申立ての取下げ等を行った。しかし、ひろゆき氏は期日までに文言・スレッドの削除には応じたものの、IPアドレスを開示しなかった。
「間接強制の制裁金の支払債務」が存在した
Aさんの弁護士がひろゆき氏に対し、IPアドレスを開示するよう催告したところ、ひろゆき氏は和解調書で指定された50件以上のIPアドレスのうち3件のみ開示した。この点について、ひろゆき氏は、サーバーが変わっているためIPアドレスが消えたことを理由として、IPアドレスを提出できないと主張している。
しかし、和解に至るまでの間に裁判所による「発信者情報消去禁止仮処分」が出ており、かつ和解条項では「URLが変更になった場合には、変更後のURLに対する別紙2記載(の書き込みにかかる発信者情報目録記載の情報)についても同様とする」とされている。
したがって、IPアドレスを提出できなかったことは、ひとえに、ひろゆき氏側がこれらに従わなかったことの結果であり、ひろゆき氏側の責任ということになる。
Aさん:「本人が和解すると言い、弁護士に相談したら、判決を待つよりもプロバイダーからIPアドレスを早期に開示されるということで、和解に応じた。ところが、ひろゆき氏は提出しなかった」
そこで、Aさんは、ひろゆき氏が開示しなかった残りのIPアドレスについて、同年上記の和解調書を債務名義(※)として「間接強制」の申し立てを行った。これに対し、裁判所は翌2004年1月、(決定の送達を受けた日から)5日以内に未削除の投稿(1投稿)について、IPアドレスを開示する債務を履行しない場合に「1日10万円」の制裁金の支払を求める決定を下した。
※強制執行を申し立てる際に必要となる文書。
その理由は、ひろゆき氏が、上記債務が「履行不能であること」を立証しなかったことにある(【画像3】参照)。
【画像3】間接強制の決定
これにより、ひろゆき氏は、債務の履行を完了するか、間接強制の執行停止が認められるまでの間、制裁金を支払う法的義務を負ったことになる。
ところが、ひろゆき氏はこの間接強制による制裁金の支払い債務も履行しなかった。
そこで、Aさんは、この間接強制の制裁金の支払債務についてさらに強制執行(直接強制)を行ったが、その際にIPアドレスが存在しないことが確認された。
この事実経過からすれば、ひろゆき氏は、少なくともIPアドレスの不存在が確認されるまでの期間の分について、間接強制の制裁金を支払わなければならない義務を負っていたことになる。
また、調書が作成された和解は確定判決と同一の効力をもち、かつ、その和解条項の違反を理由に間接強制が行われ、制裁金等の支払いが命じられたことからすれば、ひろゆき氏に「債務」が存在したことは客観的事実である。
ひろゆき氏は「債務」自体が存在しないと主張したが…
ところが、ひろゆき氏は収録時(2024年10月)にAさんに対する「債務」自体が存在しない旨を繰り返し主張している。また、放映時(2025年6月28日)にリアルタイムチャットで「判決は出ておらず、和解正本は出てこないというのが、現状」との投稿を行っている(【画像4】参照)。
【画像4】ひろゆき氏のリアルタイムチャットでの書き込み
しかし、現実には上記の通り、確定判決と同じ効力をもつ和解が行われ、その調書が存在している。
Aさんが和解調書を裁判所から取り寄せていることはReHacQ側に伝えており(調書の取り寄せが番組収録当日までに物理的に間に合わなかった理由については後述)、収録から8か月後に番組が放映されるまでのやりとりも、和解調書が存在することを前提に行われた。
ところが、Aさんが弁護士を介して調書をReHacQ側に送付しようとしたところ、ひろゆき氏と直接やりとりしてほしいとの理由で受け取りを拒否されたとのこと。
他方で、ひろゆき氏は法的根拠とみられる法律の条文や裁判例等を示していない。ひろゆき氏自身の言葉を借りれば「それってあなたの感想ですよね」ということになる。
また、間接強制の決定書5にも「本件和解条項に従った履行が不能であることを債務者において証明していないから、同URLにかかる発言の発信者情報を求める間接強制には理由がある」と明記されている。
なお、Aさんは事前に番組収録時に独自に録音した音声を全編確認し、弁護士を通じ、ひろゆき氏の発言の中で法的観点から誤りを含む箇所、視聴者が誤解しそうな箇所を逐一指摘して、テロップを付けることを要望したとのこと(ReHacQ制作側は、Aさんの弁護士へのメールの文中で、ひろゆき氏の主張について「事実でないことは認識する」と認めているという)。
数秒のみ「ひろゆき氏の独自の見解です」のテロップが小さく表示
この点について、ReHacQ側は、弁護士JPニュースの取材に対し、「公平性の観点から、両者の見解が異なることが視聴者に明確に伝わるよう、該当箇所にテロップをつける対応を行いました」と回答している。しかし、上述の通り、そもそもAさんに対する債務が存在していたことは客観的事実であり、それを裏付ける和解調書等の存在も、収録から放映までの間に、ReHacQ側に対し伝えられている。「見解の相違」の問題ではない。
また、放映された動画では、ひろゆき氏が主張を開陳しているシーンで、テロップの右上に数秒間のみ、小さい文字で「ひろゆき氏独自の見解です」と表示されているのみである(32分42秒~46秒)。
「ひろゆき氏の代理人弁護士」と連絡つかず
結局、番組収録時には話がつかず、ReHacQのプロデューサーの高橋弘樹氏は「(2024年)11月末までに西村(ひろゆき)氏側が代理人を立て連絡先を伝えます」と述べた。その後、Aさんは、ReHacQ側から、「ひろゆき氏の代理人」というB弁護士の連絡先を伝えられた。しかし、AさんがB弁護士に連絡をとったところ、「ひろゆき氏から受任していない」という回答があった(この回答は文書でなされている)。
そして結局、「ひろゆき氏の代理人弁護士」とも、ひろゆき氏本人とも、連絡はつかなかった。
この点について、ReHacQ側に確認したところ、回答は以下の通り。
「収録時にAさんと制作側との会話の中で、制作側からひろゆき氏に代理人とする弁護士の連絡先を確認し、Aさん側にお伝えする旨をお約束いたしました。
後日、制作側よりひろゆき氏に代理人とする弁護士の連絡先を聞き、Aさん側に連絡先をお伝えいたしました。
私どもは弁護士ではないのでどちらかの立場を代理することはできず、その後の交渉に関与できる立場にはないものと考えております」
ReHacQ側のこの回答内容が真実であるとすれば、ひろゆき氏がReHacQ側に「自身の代理人はB弁護士である」と伝えたことが虚偽であるか、B弁護士がAさんに「ひろゆき氏から受任していない」と伝えたことが虚偽であるか、どちらかということになる。
Aさんは、B弁護士が実際にはひろゆき氏から受任しておらず、同氏の代理人ではなかったことから、「収録時にReHacQ側から示された『ひろゆき氏の代理人』の連絡先を伝えてもらうという約束は、履行されていない」と述べる。
番組制作側の対応に「疑念」を表明
Aさんはその他にも、ReHacQの制作スタッフ側の対応に疑問を呈している。Aさん:「私は番組出演にあまり乗り気ではなかったが、番組制作側から繰り返し『代理人でもいいし電話でもいい、出てほしい』という感じで強く働きかけられた。
私が『判決ではなく和解条項(※)の不履行に基づく間接強制の制裁金と強制執行費用でもよいのか』と確認したら『それでもいい』というので出演を承諾した。
撮影日程を伝えられてから撮影日までに平日が2日しかなく、裁判所に問い合わせたところ、和解調書を保管場所から取り寄せるのに1週間かかると言われた。間に合わないのでその旨を番組制作側に伝えたところ、それでも構わないと言われた。
ところが、撮影の際、ひろゆき氏は和解調書がないことを強調して債務自体が存在しないかのような物言いをし、その主張にあたかも法的な正当性があるかのような編集が行われた」
※和解は調書が作成されることにより確定判決と同一の効力を持つ(民事訴訟法267条参照)
さらに、Aさんの声にはボイスチェンジャーをかける約束だったとのことだが、ひろゆき氏の声と重なるところでボイスチェンジャーが外され、Aさんの地声が聞こえている箇所が見受けられる。
この点についてReHacQ側は、弁護士JPニュースの取材に対し、以下のように回答している。
「Aさん側の音声マイク(①)にはボイスチェンジをかけていますが、ひろゆき氏の音声マイク(②)にはかけていないため、その箇所においては①と②の音声が合わさった音声となっております。
当該箇所は、①のみの音声とは音質が異なっており、地声がそのまま流れているかのようなご指摘がありましたので(ボイスチェンジのかかった音声と合わさっていますので、実際は、地声そのままではございません)、その後②にも追加でボイスチェンジをかけてより①に近づけております」
この点についてAさんに確認したところ、Aさんは通話の際に音声マイクを使用していなかったとのこと。
また、AさんとReHacQ側とのやりとりはメールと電話のみであり、Aさんへ収録用の音声マイクが郵送されてきた等の事実も確認されなかった。
番組冒頭でジャーナリストが「怒鳴る」シーンの裏側
Aさんは番組に顔出ししたくないということで、番組制作側との合意の上で、ジャーナリストの清義明(せい よしあき)氏に書類を届けることのみ依頼し、Aさん自身は電話で出演することになった。清氏は和解調書の内容等の詳細を把握していないため書類を届けるだけで立ち去ろうとした。
実際に、放映された映像で清氏がひろゆき氏に対し発言している内容を確認すると、同氏はたびたび、自身が事実の詳細や法律論について知らないこと、書類を渡しに来ただけであること等を説明し、「しつこい」という言葉も発している。
本件に限らず、動画メディアは人の視覚聴覚にダイレクトに働きかけるので、編集のあり方によって受け手の視聴者の印象は大きく影響を受ける。その意味で、私たちの情報リテラシーが試される。
特に、今日では、放送法や自主ガイドラインといった制約の下にある「オールドメディア」とよばれるマスメディア以外にも、YouTube等のSNSが発達し、基本的に誰でも自由に動画を投稿できる環境下ではなおさらである。本件は、その点を改めて強く意識させるものといえるだろう。

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