歌舞伎俳優の中村鶴松容疑者(30)が飲食店のドアを蹴り壊した疑いで現行犯逮捕されていたことが19日、報じられた。中村容疑者は、2月に初代中村舞鶴を襲名することが決まっており、現在は「新春浅草歌舞伎」に出演中だが、1月18日の同公演を休演していた。

逮捕とは、被疑者の身柄を拘束する法的手続きを指す。逮捕された場合、その後どのような流れで事件が進行するのか、また必ず起訴されるわけではないという点は、意外に知られていない。ここでは、逮捕から裁判までの一連の手続きを整理する。

最大72時間、取り調べ対象に

逮捕とは、警察が被疑者の身柄を拘束し、警察署などの留置施設に収容したうえで事件調査を行う手続きだ。
通常は逮捕状という令状を得た上で行われるが、現行犯逮捕など令状なしでの実施もある。身柄を拘束された被疑者は、最大72時間の取り調べ対象となる。
逮捕後、警察は48時間以内に被疑者を検察官へ送検するか、釈放するかの判断を下す。
送検とは、警察が捜査を終えた事件を検察に引き継ぐ手続きであり、この段階が被疑者の身柄の分かれ道だ。
被疑者の身柄を検察に送るのが「身柄送検」、書類と証拠だけを送るのが「書類送検」である。

逮捕後の流れ

身柄送検された場合、検察官は24時間以内に「勾留」を請求するか、被疑者を釈放するかを判断する。
勾留とは、裁判官が発付する令状を得たうえで、被疑者の身柄を刑事施設に収容し、拘束を続ける措置のことだ。
勾留が認められた場合、原則10日間、延長されれば最大20日間の身柄拘束となる。
なお、勾留が認められても、それに不服を申し立てることは可能だ。逮捕・勾留された被疑者やその弁護士は、裁判所に「勾留を取り消してほしい」という異議の申し立てができる。

勾留の要件は法律で厳格に定められており、単に「犯人だと疑われる」というだけでは不十分であり、逃亡や証拠隠滅のおそれが具体的に存在することが、勾留の前提だ。
勾留期間中、検察官は警察の捜査を指揮しながら起訴・不起訴を判断する。

逮捕されても起訴されない場合がある

このように、逮捕されてから起訴・不起訴が決まるまでの期間は、身柄事件で最大23日間、在宅事件では特に期間制限はないがおおむね数週間~数か月程度である。
重要な点は、逮捕されたからといって必ず起訴されるわけではないということだ。
起訴前の段階で、被疑者や被害者との示談が成立した場合や、被疑者の反省が深く、かつ被害者の処罰感情が低いと判断された場合等には、不起訴処分の可能性がある。
不起訴となれば、刑事裁判は開かれず、前科も付かない。

起訴後も身柄拘束が続く場合

逮捕・勾留を経て起訴された場合、被疑者は「被告人」に呼び名が変わり、罪証隠滅・逃亡のおそれ、勾留の必要性があると認められれば、裁判所により勾留状が発布され、その後も身柄拘束が続く可能性がある。
ただし、保釈が認められた場合には、保釈金を払えば、拘束は解かれ、裁判期間中は自宅から法廷に出向く形となり、身柄拘束を免れることができる。

起訴後の法的手続き

起訴された場合、刑事裁判が開かれる。
法廷では検察官と被告人側が対等な当事者として争い、裁判官が証拠に基づいて有罪か無罪かを判断する流れだ。
有罪と判断された場合、量刑は犯行の悪質性や被害者との示談の有無など、複合的な事情を考慮して決定される。
なお、起訴されたとしても、必ず有罪になるわけではないが、その確率はきわめて高く、有罪率は約99%と言われている。


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