タレントのデヴィ・スカルノ氏(85)が、元マネージャーの女性に暴行を加えて負傷させたとして、傷害の疑いで警視庁に書類送検されたと報じられた。
報道によれば、事件が起きたのは昨年10月。
デヴィ氏は飼い犬の体調が悪化したとの報告を受け、東京都渋谷区にある動物病院を訪れた際、先に到着していた元マネージャーの女性と、病院の処置などを巡ってトラブルになったという。
当時、デヴィ氏は飲酒した状態にあったとされ、女性に対して殴る、蹴るなどの暴行を加え、ケガを負わせた疑いが持たれている。
なお、デヴィ氏は昨年4月にも、渋谷区の飲食店で別のスタッフに対しシャンパングラスなどを投げつけたとして、暴行容疑で書類送検されていた。

「暴行罪」より「傷害罪」の方が罪が重い

今回の事件で適用された傷害罪(刑法204条)は、人の身体を傷害した者に科される罪で、法定刑として「15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が定められている。
これに対し、人の身体に対し不法な有形力を行使し、相手を負傷させるに至らなかった場合に適用されるのが暴行罪(刑法208条)だ。こちらの法定刑は「2年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」となっており、傷害罪の方がより重い罪として規定されている。
つまり、両者の区分は以下の通りだ。
  • 傷害罪: 暴行によってかその他の方法によってかを問わず、相手がケガを負った場合に適用
  • 暴行罪: 暴行によって相手がケガを負わなかった場合に適用
殴る蹴るなどの行為は、それ自体が「暴行」にあたるが、結果として相手にケガを負わせれば、そのつもりがなくても傷害罪となる。さらに、それによって相手を死亡させてしまった場合は、傷害致死罪(刑法205条、3年以上の有期拘禁刑)というさらに重い罪が科されることになる。
また、暴行罪にあたる行為としては、以下のような多岐にわたる例が挙げられる。
  • 衣服やネクタイ、髪の毛を強く引っ張る
  • 羽交い締めにする
  • 脅す目的で相手の至近距離に石を投げる
  • 水や塩、唾液、あるいは農薬などを振りかける
  • シャンパングラスを投げつける

「書類送検」と「逮捕」は何が違うのか

今回のように「書類送検」と報道された場合、「逮捕」と混同して受け止められるケースも少なくない。しかし「書類送検」は、被疑者の身柄を拘束する「逮捕」とは法的な手続きの性質が大きく異なる。
まず「逮捕」は、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された際、被疑者の身柄を強制的に拘束する処分だ。
警察署に留め置かれ、最大で23日間にわたり自由を制限されることもある。犯罪の重大性・悪質性とは必ずしもリンクするとは限らない。今回、デヴィ氏が逮捕されなかったのは、逃亡や証拠隠滅のおそれが少ないとみられたためと考えられる。
一方、「書類送検」は身柄を拘束せず、捜査資料や証拠品だけを検察庁へ引き継ぐ手続きだ。被疑者は自宅で普段通りの生活を送りながら、必要に応じて呼び出しに応じる「在宅捜査」の形式がとられる。
ただし、逮捕ではなく書類送検だったからといって、罪が軽くなるわけではない。警察から書類を受け取った検察官は、内容を精査して「起訴」するか「不起訴」にするかを決定する。
起訴された場合は、刑事裁判が開かれ、有罪か無罪かが判断される。一方で証拠不十分の場合や、被害者との示談成立などが考慮された場合は不起訴となり、裁判が行われない。この場合は、前科もつかない。
検察が暴行の悪質性や被害者の傷害の程度、処罰感情などをどう評価し、どのような最終判断を下すのかという点が、今後の焦点となるだろう。


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