従来の健康保険証が廃止され、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」への移行が進む中、全国保険医団体連合会(保団連)が1月29日午後、都内で会見。
マイナ保険証に関する最新の実態調査で、2025年8月以降も69.8%の医療機関でマイナ保険証に関するトラブルが発生していることが判明したと明らかにした。

マイナ保険証が医療機関の負担増に

保団連は2025年10月14日から12月1日にかけて、全国の医療機関を対象にマイナ保険証の利用状況に関するアンケート調査を実施。33都道府県の35保険医協会を通じて1万519の医療機関から回答を得た。調査では2025年8月以降の状況を中心に聞き取りを行った。
調査結果によると、マイナ保険証の利用率は徐々に上昇しているものの、直近の利用率が40%未満の医療機関が半数以上を占めたという。
発生したトラブルの内容を複数回答で聞いたところ、「●(くろまる)が出る」が77.2%と最多で、「資格情報が無効」50.9%、「カードリーダーの接続不良・認証エラー」48.2%、「有効期限切れ」45.2%と続いた。
なかでも「有効期限切れ」は、約1年前の調査時(20.1%)と比較して割合が倍増。
マイナンバーカードには、カード本体の有効期限(10年)とは別に、マイナ保険証として使うために必要な「電子証明書」の有効期限(5年)があり、2025年度に更新が必要なカードは2768万件、2026年度は2020万件に上るとされていることから、今後も増加が予想されるという。
こうした結果から、保団連は「マイナ保険証に関する医療機関でのトラブルの現状は、1年前から全く改善していない」と訴えている。
加えて、今回の調査で新設した選択肢「受付の混雑」も32.5%で発生。患者からのクレームも9.2%の医療機関で発生しており、マイナ保険証のメリットとされていた「事務負担の軽減」とは裏腹に、医療現場の負担が増している実態が明らかになった。
また、マイナ保険証で資格確認ができなかった際の対応方法を聞いたところ、「健康保険証による資格確認」が73.7%と圧倒的に多く、「資格確認書による確認」も61.8%に上った。

「やむを得ず10割負担」が3倍に急増

最も深刻な問題として浮上したのが、「やむを得ず一旦10割負担」となったケースだ。調査では19.6%の医療機関で発生しており、件数で比較すると、2024年10月発表の前回調査(1241件)と比較して約3倍の3686件に急増した。
保団連の竹田智雄会長が会見で紹介した事例では、長期出張中の建設作業員2人が健康診断で高血圧や糖尿病などの重大な健康問題が見つかったものの、マイナ保険証の有効期限が切れており、資格確認ができないという事態が発生したという。

幸い雇用主の会社が全額を肩代わりしたため治療を受けられたが、「このまま帰すわけにはいかない命に関わる状況」だったという。
竹田会長は「初診で、遠方の医療機関にかかるなどのケースは誰にでもあり得る。こういった時に有効期限が切れていて困る事態が今後頻繁に起こるのではないか」と危機感を示した。

マイナ保険証、各政党の考え方は?

保団連では今回の衆議院総選挙にあたり、各政党に対して健康保険証の復活に関する政策アンケートも実施。1月26日の締め切りまでに、自民党、中道改革連合、国民民主党、れいわ新選組、日本共産党、社会民主党の6党から回答を得た。その他の政党からは回答がなかった。
「健康保険証の新規発行を復活させることについて」という質問に対し、れいわ新選組、日本共産党、社会民主党の3党が「賛成」と回答。一方、自民党と国民民主党は「反対」を表明した。また中道改革連合は「その他」との回答で、明確な賛否を示さなかった。
保険証廃止を推進してきた自民党は一貫して反対の立場を維持。国民民主党も同様に反対の立場だ。一方、野党の一部は保険証復活を明確に支持しているが、最大野党である中道改革連合は態度を明確にしていない状況となっている。

記者会見で竹田会長は「今後マイナ保険証のトラブルがゼロになるということはないと思う。最低限のセーフティネットとして従来の健康保険証の復活や、当面の資格確認書の全員交付が必要ではないか」と強調し、次のように述べた。
「デジタル化自体を否定するつもりはないが、現在のマイナ保険証は高齢者、子ども、障害を持つ人にとって使いにくく、ただでさえ忙しい医療機関の負担にもなっています。
すべての国民に漏れなく遅滞なく健康保険証が交付される体制は、国民皆保険制度の土台であり、その仕組みを取り戻すためにも、今回の衆院選の争点にしてほしいです」(竹田会長)


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