A氏は北海道とマレーシアの2拠点で【元8人の女性と合意の一夫多妻制 】(本人のXより)の生活を送り、子どもは11人、 職業は「ヒモ」と明かしている。
A氏は「崩壊」の経緯について、3人の夫人らに「世界中に夫人を増やしたい」という意向を示した際、2人から強く反対され、家を出る結果となったという。夫人らは、経済不安やA氏の考えに「気持ち悪い」といった嫌悪感を抱き、子どもを守るために実家へ戻ったとのことだ。
ネット上では「一夫多妻は子供も含めた登場人物全員が安心安定満足をしなければ成立しない」「成り立っていることが不思議でしたが、女性の方は目が覚めて良かったと思う」「当事者全員が納得できてるなら一夫多妻でもその逆でもありだと思うが結局崩壊してるのでなかなか難しい」といった冷ややかな声が目立った。
なぜ日本では「一夫一婦制」が維持されているのか
日本では重婚は民法で禁止され(732条)、刑法でも「重婚罪」として処罰される(2年以下の拘禁刑、184条)。その目的は「一夫一婦制の維持」とされている。近年、多様な家族の形が議論される中で、この「一夫一婦制の維持」という法的利益が、個人の幸福追求や合意に基づく共同生活よりも、依然として優先されている。
こうした状況について、離婚・男女問題に詳しい安達里美弁護士は次のように見解を示す。
「単純に、日本社会において、少なくとも現時点では一夫一婦制を廃止するメリットが廃止しないメリットを上回っていないということではないでしょうか。
一夫一婦性を廃止するとすれば、現在ある夫婦に関連する法律の全面的な見直しが必須となりますし、法的なこと以外にも検討しなければならないことが多岐にわたります。
陳腐な例ですが、例えば、国が生活支援という観点から、『今から1年間、戸籍上の配偶者が死亡した場合、一律一時金10万円を支給します』という政策を実行しようとした際、支給にあたり2人の配偶者が出現することはありません。
しかし、何人とでも戸籍上の婚姻ができるとすれば、配偶者が4人いる人が死亡した場合、支給に40万円の予算が使われます。また、配偶者が4人いる人は、10万円を4回もらえる可能性があることになります。
これを聞いて日本国民の大半が『問題ないよ』と思うのならいいのですが、そうではないでしょう(笑)。
このように、一夫一婦制の廃止にあたって検討すべき事項が山ほどあると思うのですが、英知を終結し、万難を排してまで進めようというほど社会的に要求が高まっていないということですね」
シンプルに「1対多」の婚姻関係が認められれば、日本国民の公平を担保するために膨大な検討事項があり、非現実的ということだ。
「事実上の一夫多妻(内縁)」は違法? 不貞行為はどうなる?
A氏の【女性と合意の一夫多妻制】は、法的には「事実婚(内縁関係)」であり戸籍上の重複がない。この場合でも、刑法上の重婚罪に問われる可能性はあるのか。「刑法186条の『配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは』の『婚姻』とは法律上の婚姻を指し、内縁や事実婚は含まれないと考えられていますので、法律が改正されたり、判例などでその解釈が否定されたりしない限りは、重婚罪に問われる可能性はないといってよいと思います」(安達弁護士)
ちなみに、今日では戸籍審査が厳格なので、法律上の重婚状態が発生することはきわめて限定的とされる(離婚届を偽造して提出し受理された後に、配偶者以外の者との婚姻届を提出し受理されたケース等)。
では、一夫多妻を自称するケースで、パートナー間で「他の妻を増やすこと」に合意している場合、後にその合意が崩れた際に法的な「不貞行為」に該当することはないのか。また、特定の「妻」が後になって「やはり精神的苦痛を感じた」と主張した場合、事前に交わした「不貞を問わない」という合意はどこまで有効とされるのか。
「内縁パートナーが4人いて、仮にAさん、Bさん、Cさん、Dさんとします。この人たちが全員『内縁の妻』として法律上保護の対象になるのかという点がそもそも疑問ですが、とりあえず全員内縁の妻として保護されるということにしないと話が進まないので、そうします。
その場合、不貞行為に対しての慰謝料請求はできないでしょう。
全員が妻同然の保護を受けるので、不貞ではないからです」(安達弁護士)
今回のA氏のケースでは、夫人側が愛想をつかして去ったようだが、慰謝料請求には触れられておらず、あくまで自己責任で“離別”を決断したとみられる。
男性側の責任はどうなる?
一方で、男性側が法律婚ではない複数の内縁関係を持っている場合、父親が全ての子供に対して負う「扶養義務」や「相続権」はどうなるのか。法律婚の子どもと違いがあるのか、また、家庭崩壊時に法的な婚姻関係がない「夫人」たちが子どもの養育費を確実に確保するための法的手段について、安達弁護士は次のように解説する。
「父親が認知していれば、養育費も相続権も、法律婚でも事実婚でも変わりません。養育費については、支払われなければ給与差押などの法的手段を取れるという点も同じです。父親に財産がない、無職だと結局支払いが受けられないこともあるという現実的な回収可能性についても同じです」
法的には認められていない、あくまで自己責任の範囲における“一夫多妻”。互いに合意していれば罪には問われないものの、真の幸福を手繰り寄せるための手段としての選択なら、むしろ、その決断にはより以上に慎重さが求められるのかもしれない。

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