東京で積雪が観測された8日午前5時過ぎ、東京・築地大橋で事故処理中のパトカーにランボルギーニが突っ込み、運転手の男が逃走していた事故で、翌9日、警視庁は中国籍の41歳の男を逮捕した。
この事故で、パトカーの車内にいた男性警察官2人と、ランボルギーニに同乗していた外国籍の20代女性が重傷を負った。
事故を起こした運転手の男は同乗者の女性を残したまま現場から逃走し、警視庁は重傷ひき逃げ事件として捜査を進めていた。
報道によれば、その後、容疑者の男は夜になって現場から1キロほど離れた月島署に出頭。危険運転傷害とひき逃げの容疑を認め、「病院に向かうために事故現場から立ち去った」などと供述しているという。
容疑者の運転していたランボルギーニは、ノーマルタイヤで、法定速度の60キロを大幅に超えて走行していた可能性が高いとされている。

「法律を知らない」は通用しない

同乗者まで見捨ててその場を立ち去る身勝手な行動には、SNS上でも批判の声が集まっている。
ひき逃げ(救護義務違反)は、交通事故で成立し得る犯罪の中でも、もっとも重い類型のひとつだ。
交通事故に多く対応する鷲塚建弥弁護士も、「救護義務違反は、救護をしていた場合と比べて重い刑罰(最大で10年以下の懲役または100万円以下の罰金など)が科される可能性が高まります。また、民事上、慰謝料が通常の交通事故事案に比して増額されるということも十分に考えられます」と指摘する。
また、今回のように加害者が外国籍であっても、「『日本の法律を知らなかった』という言い訳は通用しない」(鷲塚弁護士)という。
これは、刑法38条3項が〈法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない〉と定めているためである。

救護は加害者にとって「防御策」

鷲塚弁護士は「救護」について、「加害者が、事故を起こしてしまった場合にできる唯一の防御方法」だと強調する。
「救護義務を怠ることは、被害者の被害を拡大させるだけでなく、加害者自身にとってもあらゆる面で不利に働く要素となります。
他方で、事故直後の適切な救護措置は、被害者の生命・身体の安全を守るだけでなく、加害者自身の刑事・民事責任の軽減にもつながります。

交通事故の現場では、加害者も動揺するものですが、まずは被害者の安全確保と迅速な救護を行いましょう」(鷲塚弁護士)
2025(令和7)年版「犯罪白書」によれば、ひき逃げ事件の発生件数は、2005(平成17)年以降減少傾向にある。一方で検挙率は72.4%であり、死亡事故に限ると90%を超える。これは刑法犯の検挙率(38.9%)と比べても極めて高い水準だ。
事故を起こした際、決して「逃げられるかも」などとは考えず、救護義務を徹底することが重要だ。救護は義務であると同時に、生じてしまった被害と自身の不利益を最小限に食い止めるための“最後の選択肢”であることを忘れてはならない。


編集部おすすめ