ファンたちは夏服を着用しており、最近の動画ではないことがわかる。
ステージで、1980年発売の大ヒットシングル「ハッとして!Good」を、往年と変わらぬキレで歌い上げるトシちゃん。
だが、その背後の上りエスカレーターではファンがこぞって身を乗り出してスマホをかざしたり、手を振ったりとトシちゃんに没頭。そこで、にわかにエスカレーターのバランスが崩れたか、エスカレーターがガタンと緊急停止したようだ。
これに気づいたトシちゃんは、「ん、どした!? 事故のないようにお願いしますヨ」と余裕の対応。
さらに驚くべきは、エスカレーターが止まって一瞬驚いただけで、ファンたちがニコニコ黄色い声を上げ続けていることだ。動じないその様子に、ネット上は《昭和の現場か》《熱量がすごい》とザワついた。
だが、ちょっと待ってほしい。とにかく相手は、あのトシちゃんである。
1980年代、「たのきんトリオ」時代に全国の中高生を狂喜乱舞させた、言わば伝説の人物だ。テレビ番組の公開収録には女性ファンが殺到し、学園祭に登場すれば校門が押し寄せるファンで埋まる…。そんな“元祖・爆発的人気アイドル”なのだ。
大きな事故には至らなかったこともあいまって、今回の動画は「ああ、あの頃の熱量って、まだどこかに残っているんだな~」とホッコリする部類の騒動ともいえる。
思えば、昭和から平成にかけては、アイドルファンは“ちょっとやりすぎ”てきた…。(ライター・中原慶一)
家族総出でチケット争奪
まず思い出されるのは、昭和~平成初期のジャニーズ公演チケット争奪戦。いまの若い世代は「ネット抽選が外れた」と嘆くが、当時はそんなハイテクなものはない。あらかじめ正確な現在の時刻を知らせる「117」を聞いて、秒単位まで時間をあわせた時計の秒針を凝視しながら、発売開始時刻きっかりに回線が繋がるように、家庭の電話のダイヤルを回す肉弾戦だった。のちにそれはプッシュホンに変わっていったが、回線に繋がる数秒を競い合った。
ちなみに当時は、「電波時計」などという自動的に時間が合う時計もまだ普及していなかった。
家族総出で電話機を囲み、「お母さん今よ!」「切れた!」「もう一回!」と娘のために家族総出で叫ぶ光景は、もはや滑稽でもあった。
「中には公衆電話で、10円玉を山ほど積み上げて“電話陣地”を築く猛者もいました。たのきんトリオのチケットの発売日は、長蛇の列ができる電話ボックスもあり、回線がパンクすることもしばしばありました」(ベテランの芸能担当記者)
いま振り返れば、あれは推し活というより耐久レースのようだったという。
女性アイドルのファンも負けてはいない。1980年代前半、松田聖子が登場すると、女子中高生は一斉に“聖子ちゃんカット”に走った。コンサート当日には、学校を“体調不良”で早退する生徒が急増したというエピソードも当時の報道に残っている。
もはや教師側も「ああ、今日は武道館か……」と察していたが、止められなかったようだ。なにしろ相手は“聖子ちゃん”。推しへの情熱が生活リズムを変える、今で言う「有給推し活」の原型だろう。
アイドルは高嶺の花から“会える”存在へ…
時代が進み、平成に入ると、アイドルはあこがれの的から“会える存在”へと進化する。「モーニング娘。」のリリースイベントや握手会は、朝から行列ができた。ここで出現するのが“列の主(ぬし)”たちであった。
「『そこ、詰めてくださーい』『整理券何番ですか?』などと、なぜかファンが自主的に交通整理を始め、もはやイベントスタッフ顔負けの仕切り力でした。
もちろん熱量が高まれば、『さっきここにいた』『いや並び直しだろ』などと小さな揉め事も起きますが、多くは大事には至らず、最後はアイドルを前にして、全員が無条件でニコニコして帰る。どことなくアナログな連帯感が残っていたんですね」(前同)
アイドル業界関係者がこう続ける。
「2000年代初めのモー娘。くらいまでは、アイドルを追いかけることは、どこか中高生や大学生がやることで、社会人になって今で言う“推し活”をしている人は、馬鹿にされていました。それが変わってきたのは、AKB48の登場からだと思います」
それは、AKB48が“会いに行けるアイドル”というコンセプトを全面に掲げていたからだとこの関係者は言う。そしてAKB48は爆発的人気を博し、握手会やそれに続く「総選挙」などのイベントは、社会現象化。
その一方、2014年には岩手での握手会でメンバーがファンに扮した男性から襲撃される事件が発生。大きな衝撃を与えた。男性はのちに傷害などの罪に問われ懲役6年の判決を受けている。
これは笑えない事例だが、ファンと推しの「近さ」がもたらす光と影を象徴する出来事でもあった。
令和の推し活事情
昭和は遠くから憧れていた推しが、平成以降は近づきすぎた。では、令和の推し活事情はどうか。SNSを通じた交流が盛んになり、コロナ禍では「リモート握手会」なども登場。こうした“推し活”の多様化に伴い、未成年の地下アイドルや、本当の姿をさらさないVTuberアイドルなど、“アイドル像”にも変化が生まれた。
前出のアイドル業界関係者はこう話す。
「やっぱり、アイドルは疑似的な家族や恋人のような身近な存在なんでしょうね。確かに、行きすぎてトラブルになるのは困りものですが、ちょっと空回りするくらいの情熱が、昭和のアイドル文化を支え、平成の巨大グループを育て、令和のSNS時代にも受け継がれているのは事実です。
時代は変わっても「推し活」のエネルギーは変わらない。人は今日も、ちょっとだけ我を忘れて、アイドルを追いかけるのかもしれない。
■中原慶一
某大手ニュースサイト編集者。事件、社会、芸能、街ネタなどが守備範囲。実話誌やビジネス誌を経て現職。マスコミ関係者に幅広いネットワークを持つ。

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