これに対しSNS等では、「送検って拒否できるの?」「反省してないのでは」「メリットある?」と疑問の声が上がった。
「送検拒否」とはどのような行為なのか。弁護士の実務においては“よくある”ケースなのだろうか。
逮捕から送検の流れ…送検拒否にはどんな意味が?
まず、逮捕から送検への流れをおさらいしておこう。容疑者(被疑者)が逮捕されると、警察は48時間以内に被疑者を取り調べ、「送検か、釈放か」を決めることになる。
送検する場合、警察は事件に関する書類・証拠物、そして必要に応じて被疑者の身体(身柄)を検察に引き継ぐ。この手続きこそが「送致」または「送検」と呼ばれるものだ。
では、この送検を被疑者が拒否するケースはよくあるのか。
荒川香遥弁護士(弁護士法人ダーウィン法律事務所代表)によれば、「実務上そこまで多くなく、珍しいケース」だという。
そのうえで、考えられる“拒否の理由”について、荒川弁護士はこう推察する。
「今回の事件で、被疑者がどのような主張をしているのかはわかりませんが、たとえば取り調べ拒否(黙秘権行使)として、送検を拒否するということはあり得る話です。黙秘権を徹底するためには取調べ自体を拒絶することが有効ですから」
「送検拒否」にメリットはあるのか?
被疑者による「送検拒否」が、今後の刑事手続きに影響を及ぼすことはあるのか。荒川弁護士は、「被疑者にとって、基本的にはメリットもデメリットも生じない」としつつ、事情によっては身体拘束が長期化する可能性があると話す。
「黙秘権の行使は憲法上の権利ですから、その権利を行使し、送検や取り調べを拒否したからといって、不当な扱いを受けることはありません。
とはいえ、送検を拒否しても、取り調べは行われますし、そこで黙秘権を行使していても、別の捜査結果等から起訴できると検察が判断すれば、当然起訴され刑事裁判に付されます。
また、証拠が固く誰がどうみても犯行をしているのに、ただただ不合理な理由で取り調べを拒否しているような場合には、『逃亡のおそれあり』などとして勾留が長引くことが考えられるでしょう」
今回の事件については、今後「検察官が警察署に出向いて手続きを進めるとみられる」と報じられている。岩崎容疑者の身柄が“送検”されなかったとしても、書類は送検され、粛々と刑事手続きが進むようだ。
容疑者は「殺意」を否認…今後の刑事手続きは
事件は14日、大阪の道頓堀で発生。報道等によれば、岩崎容疑者は事件直前、被害者の男性らと一緒にいた女性に迷惑行為をして、男性らから注意を受けていたという。この後、岩崎容疑者が刃物をもって男性らを襲撃。会社員の男性(17)の胸や首などを刺して殺害した疑いが持たれている。
岩崎容疑者は「威嚇するつもりでナイフを使用したが、男性が向かってきたため胸付近を刺した。殺意はなかった」などと容疑の一部を否認している。
今後、警察署へ赴いて取調べを行った検察官が、「勾留請求」か「釈放」か、岩崎容疑者の“この先”をまずは判断することになる。
検察官による勾留請求が裁判官によって認められれば、起訴・不起訴の判断がなされるまで、最大20日間(勾留は10日間で、1回のみ延長可能)、刑事施設で身柄を拘束される。
起訴された場合には、起訴後勾留に移行し、原則としては刑事裁判で判決が下るまで身柄の拘束が続く。
岩崎容疑者が逮捕時と同じく殺人容疑で起訴された場合、法定刑は「死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑」である。

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