不良グループ・暴走族のメンバー、16~18歳の少年計23人が凶器準備集合の疑いで警視庁に逮捕されたことが2月18日、共同通信などによって報じられた。
報道によると、逮捕された少年らは、八王子市を拠点とする「極我会」と相模原市の「睡蓮」に所属しているとみられ、昨年2月19~20日にかけて東京都福生市の路上などで、凶器を準備して集合したとして逮捕されたという。

凶器準備集合罪は刑法208条の2第1項に規定されており、「2人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処する」と定めている。
端的に言えば、実際に相手へ危害を加えていなくても、凶器を持って集まるという行為そのものが処罰対象となる点が特徴だ。

1958年に刑法に新設、時代とともに対象拡大

1958年に刑法に新設されたこの罪は、当初は暴力団や政治団体の抗争を念頭に置いていたが、その後は時代の変遷とともに、暴走族・半グレ集団などへと取り締まり対象が拡大していった。
警察庁の統計によると、2015年以降、毎年5人~54人が検挙されており、直近では2023年が22人、2024年には28人が検挙されている。
なお、集合を積極的に主導した人物には「凶器準備結集罪」(刑法208条の2第2項)が適用され、刑は3年以下の拘禁刑と重くなる。今回の23人のなかに事件を組織した中心人物がいれば、この加重規定の適用が問われることになるだろう。
また、凶器準備集合罪等は「公共的な社会生活の平穏」を保護の対象としており、暴走族の集会に興味本位で参加した場合にも、凶器準備集合罪が適用される可能性がないとはいえない。

幅広い物が“凶器”の対象に

同法の「凶器」に当てはまるのは、拳銃や刃物だけに限らない。
報道によると、逮捕された少年らはけんかのため、金属バットやスタンガンを所持していたとのことだが、同法の「凶器」には長さ1メートル前後の角棒・金属バット・鉄パイプなど「使用方法によっては人を殺傷できる物」も広く含まれると解釈されており、最高裁判例でもその範囲は確認されている。
そのうえで、凶器準備集合罪が成立するには、①凶器の存在、②2人以上による共同加害目的(相手に危害を加えようとする意思)、③時と場所を同じくした集合、の3要件が必要となる。
なお、「全員が加害目的を持つ必要はない」とする最高裁判決(昭和52年(1977年)5月6日)も存在し、関わった一部の少年に目的が認定されれば犯罪は成立する仕組みだ。

逮捕された少年たちの今後は…

凶器準備集合罪で逮捕された場合、警察は最長48時間以内に事件を検察官へ送致し、検察官はさらに72時間以内に勾留請求の要否を判断する。
裁判官が勾留を認めれば原則10日間の身柄拘束となり、「やむを得ない事由」があればさらに最大10日間の延長措置がとられる。逮捕から勾留・延長までを合算すると、起訴前だけで最長23日間にわたり外部との接触を絶たれる計算だ。

一方、今回のように少年の場合は留置場ではなく少年鑑別所に収容される「勾留に代わる観護措置」がとられることもあり、その期間は最長10日間(延長なし)と定められている。
成人であれば捜査終結後に起訴・不起訴が決まり、刑事裁判へと進む。対して、今回逮捕された少年たちには少年法が適用されるため、手続きは大きく異なる展開を見せる。
少年法は「刑罰よりも教育的手段による立ち直り」を基本としており、原則として、事件はすべていったん家庭裁判所へ送致されるからだ(少年法41条、42条)。
家庭裁判所では非行の内容や生育環境について調査が行われ、必要に応じて原則2週間(最長8週間)、少年鑑別所での調査を経たうえで処分が決まる。その処分は大きく下記の3つに分かれる。
  • 審判不開始:処分を下さず、社会内での更生を目指す
  • 少年審判:保護観察や少年院送致といった保護処分を科す
  • 検察官送致(逆送):刑事処分が相当と判断された場合に、成人と同様の刑事手続きへ移行する
今回の事件でも、今後、家庭裁判所での調査・審判を経て少年たちの処遇が正式に決まることになる見込みだが、今回は23人という大人数が逮捕された事件だけに、その行方が注目される。


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