2月24日、千葉県・香取市の豊(ゆたか)排水機場が、ポンプに電力を供給するための銅線ケーブルや、バルブなどの盗難が原因で稼働できなくなっていることが判明した。
排水機場とは、大雨時に排水路などから水をくみ上げ、河川へ強制的に排水することで農地や住宅地の浸水を防ぐ防災施設。
報道によると、25日時点では復旧の見通しは立っていないという。
県は被害額などを算定したうえで、香取警察署に被害届を提出する方針だ。

昨年から「金属盗対策法」が施行されているが…

警察庁の発表(2025年1月)によると、太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗をはじめとする「金属盗」は、2024年の認知件数が2020年の約4倍になるなど大幅に増加している。また同年の被害額は約140億円で、窃盗全体の約2割を占めた。
急増の一因は「銅」の価格高騰だ。2023年における金属盗の被害状況(認知件数)を見ると、品目別では金属ケーブルが約55%、材質別では銅が約52%を占めていた。
この状況をふまえ、昨年6月に「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」(通称:金属盗対策法)が成立し、同年9月からは、同法のうち「特定金属製物品の盗難の防止に関する情報の周知」(16条)および「指定金属切断工具の隠匿携帯の禁止」(15条)が施行されている。
「指定金属切断工具の隠匿携帯の禁止」は犯行用具の規制であり、ケーブルカッターやボルトクリッパーといった大型の切断工具を正当な理由なく隠して持ち歩く行為について、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金という罰則を設けるなどした。
また、今年6月までには買い取り業者への規制である「盗難特定金属製物品の処分の防止のための特定金属くず買受業に係る措置」(3条~14条)も施行される。銅線・銅スクラップなどの「特定金属くず」を購入する事業者は施行日から3か月以内に「特定金属くず買受業」の届出を行わなければならず、届出を怠ったまま銅スクラップを購入した場合には処罰の対象となる。
今回の事件が起こった千葉県でも、太陽光発電設備の電線や道路に設置されたマンホールなどの金属製の物品の盗難が多発していたことから、昨年1月に「千葉県特定金属類取扱業の規制に関する条例」を施行し、特定金属類取扱業者を許可制として、本人確認や取引記録の作成、不正品の申告などを義務付けている。
なお、昨年4月から「茨城県特定金属類取扱業に関する条例」を施行した茨城県では、報道によると2025年の金属盗の認知件数が前年比で約50%減と大幅に改善し、今年に入っても減少傾向が続いているという。

上述したように金属盗対策法は犯行用具の所持・隠匿について規制しているが、本件のように実際に銅線ケーブルを切断するなどして盗難を行った場合には、通常の窃盗と同じく「窃盗罪」が適用される(刑法235条)。
本件では盗難被害の結果、排水機場が機能停止に陥っている。これは、災害が起こった場合には地域の人の暮らしに深刻な損害をもたらしかねず、単なる窃盗では済まされない行為といえる。過去には太陽光発電施設のケーブルが盗まれたことにより、長期間にわたる発電停止などの経済的損失が発生したケースもある。
金属盗は私たち一般市民の生活にも無関係ではない問題であり、今後もさらなる対策が望まれるだろう。


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