警視庁OBで『警察官のこのこ日記』の著者、安沼保夫氏は、「数の大小はあれど、全国に蔓延していると思います」と指摘し、その背景に「ノルマ至上主義」があると明かした。
治安を維持する警察官による、あるまじき悪質な不正検挙。元警察官の証言から、その実態をあぶりだす。
評価対象のいびつさが生む、不正の芽
神奈川県警のケースでは2700件以上もの不正な取り締まりがあったと報道されています。不正そのものもおぞましいですが、その数の多さに驚愕します。何が背景にあるのでしょうか?
安沼氏:「ノルマ至上主義が原因だと考えます。私が現職だった頃、110番通報に対応するよりも、住民から感謝の声を受けるよりも、検挙数と切符処理の件数が主な評価の対象でした。神奈川県警の事情は知りませんが、特に交通機動隊だと、実績を稼ぐ手段が交通切符しかないと思いますので、ますます切符切りに躍起になったことが原因だと推察します」
反則切符の虚偽記載に関わった巡査部長らは若手に指導する役割などもあり、本来なら止めて、戒める立場のはずです。なぜそこまでしてしまったのでしょうか。
安沼氏:「コンプラ軽視で“売上”ばかりに注力した末路だと思います。これも推察ですが、上から件数ばかりを重視されるあまり、書類作成がだんだんと面倒になり、最初は『これくらいウソ書いても大丈夫かな』という感覚だったのが、上司や同僚から何も言われず、公然と黙認されることが常態化してしまったのだと思います」調査内容も「捏造」の可能性?
巡査部長らは県警の調査に対し、「多少強引でも違反者を排除するのが仕事だと思った」「現場に行くのが面倒だった」などと話しているそうですが。
安沼氏:「この“主犯”とされる巡査部長のコメントを読んで、『本音じゃないな』と感じました。さらに言えば、『言わされているな』という印象を受けました。『間違った正義感』という、前向きな言葉に変換してこの巡査部長一人に責任を押し付けたのだと思います。
もし、『ノルマがきつくて仕方なくやってしまった』と言えば、幹部連中にも責任が飛び火しかねません。そこで、本部が作った台本に従って、その代わり、処分も可能な限りお手柔らかにしてもらった可能性もあります」
再発防止策はあるのか
問題は根深そうです。再発防止策はあるのでしょうか。
安沼氏:「警察の仕事の半分は書類作成です。被害現場に行ったら報告書、反則切符を切ったら報告書、否認されたらさらに詳細な報告書と現場見取り図が必要になります。
こうしたことも元凶の一つでしょうから、機械やシステムでできることはすぐにでもシフトすべきです。
たとえば、主要交差点に防犯カメラを設置し、違反車両を特定してナンバーと画像から違反者を特定し、呼び出して切符処理すればいい。警察官が手間暇かけて作る報告書や現場見取り図の代わりに、動画を保存しておけばいい。
オービス(自動速度違反取締装置)やNシステム(自動車ナンバー自動読取装置)があるので、技術的にも実現可能なはずです。AIに危険度を判定させ、取り締まる優先順位を決めるのもよいでしょう」
SF映画でよく見たシーンですし、現代の技術ならほぼ実現可能でしょう。
安沼氏:「ある白バイ隊員から聞いた話ですが、交通機動隊では、朝一に出動したらとにかく早く努力目標(という名のノルマ)を達成するよう、 躍起になるそうです。そうすることで切符の後処理の時間を確保し、定時で上がれるからです。午前中で充分な“獲物”があれば早々に処理を終え、午後は狩りを終えたライオンの如く、事務室でまったりしているのだとか。
こうした白バイ隊員の行動パターンと“狩場”を熟知しているドライバーは『ここなら捕まらない』と思うこともあるでしょう。結果的に“抜け穴”を与えてしまっているのです。
これが防犯カメラなら、24時間稼働していますし、ドライバーは常に見られているという緊張感を持つことで安全運転につながると思います。
機械化、DX化は警察の深刻な課題でもある人手不足の解消にもなりますから、導入するデメリットなどないはずです」
不正は全国に蔓延している可能性
神奈川県警が2700件以上もの不正検挙をしていたとなれば、自ずと他の都道府県の警察もやっているのだろうと思わざるを得ません。
安沼氏:「数の大小はあれど、全国に蔓延していると思います。切符とは異なりますが、警視庁ではバイク利用のひったくり対策として、『オートバイストップ作戦』なるものを実施していた時期があります。バイクに停車を求めて運転手の免許証やバイクのナンバーを控えるというもので、この報告件数も評価の対象の一つとなっていました。
これも一部の警官が水増しをしていました。たとえば、ある日のある時間帯でオートバイに停止を求め、報告書を書いたとします。これを日付を変えて同じ時間帯の報告書を偽造し、件数を稼ぐのです。
これはまだ内部文書であるところ(だからといって許されるものではありませんが)、一歩間違えば点数切符の偽造へ簡単に転用可能です。
点数切符というのは、通称白切符と呼ばれていて、シートベルトやバイクのヘルメット着用義務違反に対して交付されるものです。
これには反則金がなく、違反点数のみ加算(通常1点)となりますので、オートバイストップ作戦に協力してくれた善意のドライバーが『ノーヘルだった』として捏造しようと思えばできてしまいます。
事実、某警察において点数切符の捏造が過去にありました」
警察組織の倫理観が損なわれてきているということでしょうか。
安沼氏:「警察法2条1項では、警察の責務として、〈警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。〉
とあり、さらに同条2項では
〈警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。〉
と続きます。
警察官なら、警察学校で叩き込まれているはずです。
いま一度、この意味をよく吟味する必要があると思います」
■安沼保夫(やすぬま・やすお)
1981年、神奈川県生まれ。明治大学卒業後、夢や情熱のないまま、なんとなく警視庁に入庁。調布警察署の交番勤務を皮切りに、機動隊、留置係、組織犯罪対策係の刑事などとして勤務。20年に及ぶ警察官生活で実体験した、「警察小説」では描かれない実情と悲哀を、著書につづる。

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