中東発の原油高騰、医療現場を直撃
今回の要望の背景には、2025年6月のイスラエルによるイラン攻撃に端を発した中東情勢の急激な悪化がある。最高指導者ハメネイ師の死亡後、イランはホルムズ海峡を事実上封鎖。世界の石油供給量の約2割が通過するこの海峡が機能不全に陥ったことで、原油価格は急騰した。原油高は、医療用ガウンやグローブ、アルコール綿、注射器、点滴バッグ、カテーテルといった原油由来のプラスチック製品を含む医療資材や医薬品の製造・供給コストを直撃する。
患者宅を訪問する在宅医療の現場でも、車両の燃料代がかさみ、その負担は最終的に患者に転嫁される可能性がある。
また、保団連はエネルギー価格や医療資材等の高騰が、医療機関の経営にも大きな打撃を及ぼすと指摘。
2026年度の診療報酬改定で、政府は「現下の持続的な物価高騰により、事業収益の増加以上に、人件費、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等といった物件費の事業費用が増加しており、事業収益が悪化している状況にある」として、物価高騰への対応を「重点課題」に位置づけた。
改定率は2年度(2026年度および27年度)平均+3.09%。うち物価対応分として+0.76%を措置し、経営環境悪化の緊急対応分+0.44%も上乗せ。また、経済・物価動向が見通しから大きく変動した場合には「令和9年度(2027年度)予算編成において加減算を含め更なる必要な調整を行う」ことも盛り込まれている。
だが、保団連は昨年12月26日の談話で報酬改定の内容について「医療界が求めてきた10%水準とは程遠い」「これでは医療現場の疲弊は止まらず、事業の継続は厳しく、地域医療の崩壊を食い止めることはできない」と反発。
「物価上昇等が想定以上に進み、経営に支障が生じた場合、2027年度に賃上げ・物価対応分などについて調整(加減算)するとしているが、具体的な中身は記載されていない」との懸念も示していた。
加えて、保団連は要望書で、診療報酬改定の物価高騰対応分は、今回の原油価格高騰を想定したものではないと指摘。
改定の施行は6月であり「状況がこのまま推移すれば医療提供に重大な影響を及ぼしかねません」と訴えた。
「医療機関が機能不全に陥る前に…」
こうした背景から、保団連は今回の要望書で政府に対し以下の2点を要請。- 中東情勢の状況を踏まえ、重要な医療資材(プラスチック製品、基礎的医薬品等)の国内在庫と、医療機関への供給を確保すること
- 6月の施行を待たず、また6月以降も更なる高騰が予想されることから、物価高騰に対応した診療報酬の期中改定、および物価高騰対応臨時交付金の大幅な積み増しなどによる直接的な財政措置を図ること

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