一人親方やフリーランスへの安全配慮が義務化、60歳以上の労働者への配慮も努力義務に…4月から「改正労働安全衛生法」一部施行
4月1日から改正労働安全衛生法の一部項目が新たに施行され、事業者などが講ずべき安全衛生上の配慮・災害防止措置の対象に、一人親方やフリーランスを含む個人事業者等が加わった。
また、60歳以上の労働者について、その特性に配慮した必要な措置を講じることが、すべての事業者の努力義務となった。

さらに関連法である労働施策総合推進法の改正も一部施行され、がん等の疾病を抱えながら働く従業員が治療と仕事を両立させるための支援体制の整備も、事業者の努力義務として新たに位置づけられている。

個人事業者への安全配慮が義務化

今回の改正により、混在作業場所(複数の事業者や働き方の人が同じ場所で働く現場)において、元請け(元方事業者)などが講ずべき「指導・連絡調整等の措置」の対象が「労働者」から「作業従事者(個人事業者等を含む)」に拡大される。
また、政令で定められた機械・建築物を他の事業者に貸与する場合の災害防止措置について、個人事業者等に貸与するケースでも措置を講じることが義務づけられた。
厚労省は改正の趣旨について説明会を昨年12月から今年2月にかけて実施中。説明会のポスターにはお笑い芸人の「とにかく明るい安村」さんが登場しており、「個人事業者のみなさん、安心してください。“安全”見えてますよ!」と謳っている。
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「とにかく明るい安村」さんが起用された厚労省の説明会ポスター

60歳以上の労働者の労災防止が努力義務に

高齢化社会の進展に伴い、60歳以上の「高年齢労働者」が関わる労働災害は増加傾向にある。
こうした背景を受け、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善や作業管理など、労災防止のために必要な措置を講じることが事業者の努力義務として新たに定められた。
大企業に限らず、雇用形態にかかわらず高年齢労働者を雇っているすべての事業者が対象となる。努力義務であるため罰則はないが、対策を怠った状態で高年齢労働者が労災事故に遭った場合、民事上の安全配慮義務違反を問われるリスクがあることに、事業者は留意が必要だ。
さらに、4月1日から労働施策総合推進法(※)の改正が一部施行され、がん等、反復・継続した治療が必要な疾病を抱える労働者が、業務によって疾病を悪化させることなく適切な治療を受けながら就労を続けられるように支援することが、努力義務として事業者に課されるようになった。
※正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」
国は「高年齢者の労働災害防止のための指針」や「治療と就業の両立支援指針」を定めており、事業者にはこれらの指針に基づいた取り組みを行うことが求められる。
なお、改正労働安全衛生法に関しては、以下の内容も4月1日から施行されている。

  • 営業秘密である成分にかかる代替化学品名等の通知:化学物質のSDS(安全データシート)に営業秘密に該当する成分が含まれる場合、有害性が相対的に低い一定の物質に限り、実際の成分名に代えて代替化学名等での通知が認められる。
    なお、非開示とできるのは成分名のみであり、人体への影響や講ずべき措置などに関する情報の非開示は認められない。
  • 特定機械等の製造許可および製造時等検査制度の見直し:ボイラー・クレーンなどの「特定機械」について、製造許可申請の審査や移動式クレーン・ゴンドラの製造時等検査を、登録を受けた民間機関が実施できるようになる。


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