田久保氏は他にも虚偽事項公表罪(公職選挙法235条1項)で刑事告発されている。
卒業証書の現物は代理人弁護士が事務所で保管しているとされる。そして、これまで代理人弁護士は「押収拒絶権」を主張してきている。他方で、起訴状では、田久保氏が東洋大学の学長名の印鑑と学部長名の印鑑をインターネット上で注文したとの事実が指摘されている。
今後の刑事訴訟の場で、裁判所が処分として「卒業証書」の押収を行うことが考えられるが、その場合に代理人弁護士の押収拒絶権は認められるのか。刑事弁護の専門家であり、刑法・刑事訴訟法の理論と実務のいずれにも通じる岡本裕明弁護士(弁護士法人ダーウィン法律事務所代表)に聞いた。
田久保氏の代理人弁護士は押収拒絶権を「行使できる」
押収拒絶権とはどのようなものか。刑事訴訟法上、弁護士は、業務上委託を受けて保管している物で他人の秘密に関するものについては、原則として押収を拒むことができる(刑事訴訟法105条本文)。
ただし、これには例外がある。「押収の拒絶が、『被告人のためのみにする権利の濫用』と認められる場合(被告人が本人である場合を除く)」には、押収を拒絶できない(同法105条但書参照)。なお、この規定は被疑者にも準用される(同法222条1項参照)。
岡本弁護士は、田久保氏の代理人弁護士はこの刑事訴訟法105条但書の適用の対象とならず、押収拒絶権を行使して「卒業証書」の引き渡しを拒むことができると説明する。
岡本弁護士:「『被告人のためのみにする権利の濫用』とは、被告人とは別に『秘密の主体』の人が存在するケースを前提としています。
その状況で、『秘密の主体』としては押収を拒絶しなくても構わないにもかかわらず、弁護士が、被告人の防御活動のためだけに押収拒絶権を行使しようとする場合をさします。
しかし、『被告人が本人である場合』つまり、被告人自身が『秘密の主体』本人である場合は、そのまた例外として押収拒絶権の行使が認められます。
なぜなら、被告人が自分自身の秘密を守ろうとすることは、権利の濫用とはいえないからです」
本件では、被告人である田久保氏自身が「秘密の主体」にあたる以上、田久保氏の代理人弁護士は、押収拒絶権を行使し、「卒業証書」の引き渡しを拒むことができるという。
弁護士には押収を拒む以外の選択肢がない?
刑事訴訟法105条の定めに従う限り、被疑者・被告人が弁護士に証拠物等を「秘密」として委託すれば、常に押収拒絶が許されることになり、不当ではないか。岡本弁護士:「たしかに、学界でも一部に根強い批判があります。
刑事訴訟法のコンメンタール(逐条解説書)等でも、『立法論としては相当の疑問がある』と指摘されています(松尾浩也監修『条解刑事訴訟法 第5版』(弘文堂)ほか)。
しかし、これは、刑法上、被告人自身の証拠隠滅行為を罰する規定がないこと(※)との整合性を考えれば、やむを得ない面もあると考えられます。
被告人自身が証拠隠滅行為をしても罰せられない理由は、証拠隠滅を思いとどまることを期待できないからです」
※証拠隠滅罪は「他人の刑事事件に関する証拠」の隠滅行為のみを対象としている(刑法104条参照)。
上記コンメンタールを参照すると、弁護士が被疑者・被告人から重要な証拠を預かって押収拒絶権を行使した場合は、弁護士法による懲戒の対象となり得るとする見解もあると記載されている。
しかし、岡本弁護士は、「むしろその逆で、弁護士は、押収拒絶権を行使しなければ、かえって懲戒請求の対象となるリスクを負うことになる」と指摘する。
岡本弁護士:「弁護士は被告人の利益のために行動しなければならず、かつ、守秘義務を負っています。
したがって、弁護士が被告人の意思に反して証拠物を捜査機関に引き渡すことは、それらの義務に違反することになります。結局、押収拒絶権を行使せざるを得ません。
本件でも、田久保氏の代理人弁護士は、押収拒絶権を行使するしか手段がなく、それが弁護士法の懲戒の対象となるとは考えにくいでしょう」
結局、「卒業証書」は永久に出てこない?
そうなれば、直接の物的証拠である「卒業証書」は永久に出てこないことにもなりかねない。今後、公判で検察側はどのような立証活動をすることになるのか。岡本弁護士:「状況証拠を積み上げることにより、有罪の立証を試みることになります。ちなみに、一般に、直接の物的証拠がなくても、そのような立証活動により有罪判決が出された事例は数多くあります。
現状、田久保氏が、伊東市議会の議長と副議長に対し、卒業証書らしき書面を提示したことが判明しています。このことから、何者かが『卒業証書』を作成したこと、それを田久保氏が真正なものとして提示した(行使した)事実が裏付けられます。
また、東洋大学が田久保氏への卒業証書を発行していないとコメントを出しています。東洋大学には嘘をつくメリット・理由がありません。このことから、真正な『卒業証書』は実在せず、何者かが偽造したことが推認されます。
加えて、起訴状によれば、田久保氏が東洋大学の学長印をネット上で注文していた事実が確認されているとのことです。これが真実だったとして、田久保氏がなぜ学長印を発注したのか、合理的な説明がつけられなければ、『卒業証書』の偽造に用いられた蓋然性が高いという判断材料になりえます」
田久保氏の代理人弁護士が押収拒絶権を行使し続ける限り、本件の最大の物的証拠である「卒業証書」が出てくることは期待できないことになる。そして、それは刑法との整合性、被告人の防御の利益の保障の観点から、やむを得ない面もあるといわざるを得ない。
この状況の下、検察は、冤罪のリスクに配慮しつつ、慎重かつ地道に状況証拠を積み上げて立証を行っていくほかないことになる。どのような立証がなされ、裁判所はそれをもとにどのような判決を下すのか。注視する必要がある。

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