物事の確信に迫る「大石が聞く」、今回は新型コロナワクチン接種後の体調不良が続く人たちがテーマです。症状が出始めてから3年余り、その実情を取材しました。

ワクチン接種から3年、左半身のしびれに悩む36歳男性

「150回の受診でも何もないと言われ続ける」コロナワクチン接...の画像はこちら >>

(篠原信彦さん)
「普段はかなり寝起きでも痛みがあるんですけど、ちょっと早く起きたのもあって、少し落ち着いているっていう状況ですね」

岐阜県笠松町に住む篠原信彦さん(36)。

(篠原信彦さん)
「(新型コロナワクチンを)2回目に打ってから年をまたぐのですが、左半身に何かしびれみたいな違和感みたいなものが出てきたのが、年明けすぐぐらいだったですね」

「150回の受診でも何もないと言われ続ける」コロナワクチン接種後に…3年以上続く痛みや震えなどの体調不良 原因究明や治療法の研究も進まぬ後遺症の実情【大石邦彦が聞く】
CBC

しびれが出たのは2022年1月。2回目の接種から3か月が経ってから。これまでほとんど医者にかかるような病気をしたことがなかったため、ワクチンの影響を疑いました。

(篠原信彦さん)
「今も左半身、主に胸部から腰、鼠径部(そけいぶ)、座骨までビリビリとした電気が走るようなしびれと痛みが。2~3年くらい経つんですけど、ずっとしびれている」

150回の受診でも「何もない」と言われ続ける苦しみ

「150回の受診でも何もないと言われ続ける」コロナワクチン接種後に…3年以上続く痛みや震えなどの体調不良 原因究明や治療法の研究も進まぬ後遺症の実情【大石邦彦が聞く】
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原因を知りたいと、これまでに11の医療機関を延べ150回ほど受診。しかし…

(篠原信彦さん)
「何もないって言われるんです。健康そのものって。でも僕はずっと痛い。何でだろうっていう繰り返しの毎日ですね」

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(篠原さんの母)
「いつも痛い痛いって、苦しいって。気持ち悪いっていうのが、ずっと続いているので、やっぱりワクチンの影響が大きいよねっていうのを。こうなってきて、すごく思うようになりました」

仕事は不動産の営業でしたが、痛みやしびれがひどくなり、去年退職しました。医師の1人は新型コロナワクチンとの関連の疑いがあると診断。3年間続く症状で医療費もかさみ、経済的にも苦しい状況です。



(篠原信彦さん)
「(医療費は)40万円~50万円ぐらい、この2年間でかかっている状況ですね」

国の救済制度に頼ろうと書類集めに2万円

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篠原さんが今頼ろうとしているのが国の救済制度。ワクチン接種と体調不良との因果関係が否定できないと判断されれば、医療費や死亡一時金が支給されます。この制度を篠原さんが知ったのは先月のこと。どの医療機関でも教えてもらえず、慌てて申請を決めました。

(篠原信彦さん)
「これが3医療機関分ですね。取れるものだけ取ってきた」

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申請にはカルテや診断書など大量の書類が必要で、3つの医療機関だけでも相当な量。集めるのにかかった費用は2万円近くに上ります。

(篠原信彦さん)
「(残りの書類を全部集める)そこからがスタートかなというのは思う。この制度で承認されたとしても、症状が良くなるわけではないので。いつ治るんだろうっていうのが正直なところで、どうしたらいいのかなというのが、ずっと思っていることですね」

国はワクチン後遺症を公式には認めておらず、原因究明も治療法の研究も進んでいないのが現状です。

足の震え、息苦しさなど症状が悪化する女性も

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長年、体調不良に苦しむ人はここにも・・・。名古屋市に住む井澤由紀子さん(54)。

(井澤由紀子さん)
「(Q:左足が震えていますね?)はい。(Q:震えは止まらないんですか?)いや、止まる時もあるんですけど、きょうはダメです。

抑えても止まらない」

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井澤さんを初めて取材したのは2年半前。

(井澤由紀子さん)
「(Q:ワクチンを打つ前に痛みはなかった?)なかったです。特に何かしてるわけでなくても痛いし、歩いたりしてもそうだし」

その時も左胸の痛みや息苦しさなどに苦しんでいました。症状は軽くなるどころか、むしろひどくなっているといいます。

ビタミンD補充療法で改善を期待する患者たち

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今は横になって過ごす時間が増えたという井澤さん。

(井澤由紀子さん)
「元の生活に戻りたいんだけど、戻り方も分からないというか…。ごめんなさい。ちょっと待って、頭が働かないので。考えるのが難しいのかな、今」

記憶障害ですぐに忘れてしまうため、その日の行動や頭に浮かんだことを毎日SNSに綴っています。

(SNSの文章)
「2回目のワクチン接種から1357日経過。少し無理して動いたら胸が痛くて苦しくて」

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(井澤由紀子さん)
「息が…」

取材中、突然に胸に手を当てた井澤さん。

(井澤由紀子さん)
「息が吸えない」

ワクチン接種から4年近く経った今も、様々な不調に悩まされています。

「希望を持っていいのかな」3年8カ月の闘いに疲れる患者

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(こだま病院 児玉慎一郎 医師)
「食事はどうですか?ビタミンDを意識した食事は」
(井澤由紀子さん)
「サケをがんばって食べています」

明確な治療法がない中、井澤さんが今試しているのがビタミンDの補充療法。

ワクチンの後遺症を研究する医師の学会は、患者にビタミンDを補充することで症状が改善するという複数の研究結果に注目し、補充療法を試験的に始めています。

(こだま病院 児玉慎一郎 医師)
「仕事ができていなかった人でも、できるようになった方もいる」

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以前、井澤家のシンボルツリーだと嬉しそうに話していた庭のクスノキは、剪定ができないため枝のほとんどが切られてしまいました。

(井澤由紀子さん)
「やりたいことはいっぱいあるので。それができるまで体が戻ってくれるなら最高なんだけど。そこまで希望を持ってていいのかなって…怖い。長いからね、もう3年8か月」

過去のものになりつつある新型コロナやワクチン接種後の体調不良。しかし、後遺症に苦しむ人々にとっては今も続く現実です。

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