原付バイクよりも速い「速すぎる自転車」がいま、問題となっています。違法改造の電動自転車を扱う「ウラの自転車屋」にも直撃し、その実態に迫ります。

■5月3日【名古屋・栄】繁華街。
(記者)
「片手にスマートフォンを持って通話しながら走っている。」
「かなりのスピード…。赤信号を無視していきました」

いたるところで法律違反の自転車が。さらに、別の日…
■5月12日
(記者)「(ペダルを)こいでいない。全くこがずに進む」
ペダル付き電動バイク「モペット」です。

ルール無視の「モペット」利用者に直撃
■2024年11月の歩道にて
(警官)「止まってもらえますか。警察です」
ペダルをこがなくても進むモペットは、電動アシスト自転車と違って法律上は原付バイクやオートバイと同じ。ナンバープレートやヘルメットが必要で、歩道を走ることもできません。

警察も厳しく目を光らせていますが、栄の街では…
(記者)「歩道を走っている。右側の車道を逆走…」
歩道を走ったかと思えば、車道を逆走するこのモペット。その後…
(記者)「目の前の信号は赤。当たり前のように渡っていきました」

このままでは危険だと止めに入ると…。
(モペットに乗る人)
「(Q:(乗っているのは)モペット?)分かんないっす」
「(Q:ハンドルをひねると進む?)進みます」
「(Q:ナンバーやヘルメットが必要だが?)ニュースか何かでちらっと見た気もします」
モペットは知人から借りたもので、法律のことはよく分からないと話します。

(モペットに乗る人)
「(Q:車道の右側を走ったり、赤信号を無視してたが?)赤信号を無視していました?意識していなかったんで…。じゃあ…押して帰る」
また、こうしたモペット以外にも…
違法に改造された「電動アシスト自転車」 その危険性
ロードバイクを追い抜く自転車。撮影者によると、時速40キロは出ていたといいます。

さらに国民生活センターが行った実験では、ペダルを軽くこいでいるだけでみるみるスピードを増していき、あっという間に時速44キロに。原付バイクも…あっさり抜き去ります。

これはペダルをこがずに進むモペットではなく、違法に改造された「電動アシスト自転車」。自転車店で危険性について聞くと…
(イトウサイクル 伊藤泉さん)「スピードが出過ぎてもアシストするので、いざという時にブレーキをかけても止まらない。ブレーキの力がアシストの力に負けてしまう」

電動アシスト自転車は、時速10キロになると徐々にアシストが弱まり、時速24キロになると無くなるよう作られています。
違法改造の自転車は、スピードを感知する部分に手を加え電動アシストが続くようにしているといいます。

(イトウサイクル 伊藤泉さん)「年に1回点検をすることで、自転車保険が付いてくる。改造している物は、自転車保険の対象外」
また、自転車保険も適用されないため、事故を起こせば賠償金も全額自己負担に。
リスクだらけの改造自転車ですが、実際にフリマサイトをのぞいてみると…
フリマサイトへの書き込み…販売者らは
(記者)「こちらにある自転車には、『警察に止められたことは一度もありません』と書かれています」

「めちゃ速」「爆速」などと書かれた改造自転車や、そのパーツが表示されます。中には、子どもの送り迎えに使っていると思われる書き込みも。
販売者に違法ではないかと尋ねると…
(販売者からのメッセージ)「ナンバープレートがないと全て違法になります」
なぜ違法なものに乗るのか尋ねると…
(販売者からのメッセージ)「便利だからです。

さらに、こちらの電動アシスト自転車。
(記者)「『電動自転車(爆速)』と書いてあります」
この販売者を直撃しました。

“違法”と分かっていながら、なぜ?
■5月7日【大阪】
(記者)「名古屋のテレビ局の者でして」
(違法な電動自転車の販売者)「ああ、はい」
一見どこにでもある電動アシスト自転車ですが…。


(違法な電動自転車の販売者)
「(Q:パッと見改造だと分からない)絶対に分からない。警察に持って行っても気付かれない」
「(Q:どこが変わってる?)モーターの中。ギアを大きくしている。いじっているから、アシストが止まらない」

堂々と改造を認めます。
(違法な電動自転車の販売者)
「(Q:厳密にいうと違法ですよね?)違法。お巡りさんがいない所では、ビャーっと時速30~40キロ出す。出そうと思えば時速50キロぐらいいく」
「(Q:原付バイクより速い?)原付バイク抜きますね」

男性はこの自転車で配達員をしていると話します。
(違法な電動自転車の販売者)
「(Q:電動アシスト自転車でも十分では?)(配達の依頼が)40件あったとして、電動アシスト自転車なら30件受けられる。改造自転車なら40件受けられる。3000円~4000円売上が変わってくる」
あまりにも堂々としているため、率直な疑問をぶつけると…
「(罪の意識は)全然ない」そもそもどこで入手?
(違法な電動自転車の販売者)
「(Q:罪の意識はある?)ない。全然、全くない。

呆れた言い訳ですが、何より危険です。
(違法な電動自転車の販売者)
「(Q:やめてくださいと言われてもやめない?)捕まるならやめなしゃーない。実際いまの状況だとすり抜けられる」

そもそもこの自転車をどこで手に入れたのか、尋ねると…
(違法な電動自転車の販売者)
「3月ぐらいに『裏』の自転車屋さん。そういうのがある。それが、2万7000円ぐらいする」

「裏の自転車屋さん」に改造してもらったと話します。メッセージを送ると…
(「裏の自転車屋さん」からのメッセージ)
「お気軽にお声かけくだされば、ご案内させていただきますので、よろしくお願いいたします」

そこで…
『裏の自転車屋さん』に直撃 その回答は…
■5月15日【大阪】
(記者)「指定された場所は、この辺り…」
すると、車に自転車のパーツを大量に積み込んだ男性が…


(記者)「『裏の自転車屋さん』がいると聞いて…CBCテレビの者ですが…」
個人で自転車を仕入れ、販売しているという男性。違法改造について尋ねると…
(『裏の自転車屋さん』)「法律の範囲内で部品の交換などの依頼を受けることはあるが、違法な改造を請け負ったことはない」

一方で…
(『裏の自転車屋さん』)「仕入れたものの中にそういうものが紛れていた可能性はある。今後はそういったものは仕入れない」

危険な「速すぎる」電動アシスト自転車。今回「爆速」自転車を販売する男性が使っていたフリマサイト「A社」にこうした商品への対応について尋ねると、CBCの問い合わせなどを受けて、今後は同様の商品を「出品禁止」にすると回答がありました。

(改造自転車に乗る人)「保険会社も(改造自転車だと)分からない。
人知れず街中を走っている、違法改造の電動自転車。普及していくと、道路は更に危険な場所になっていきます。