ことし9月に東京で開催される世界陸上。
男子200メートルで3大会連続出場を目指す、三重県松阪市出身の上山紘輝選手(26)の挑戦を追いました。
アジア最速の男は今、崖っぷち。陸上男子200メートル 上山紘輝選手。
(上山選手)
「このままでは戦える立ち位置にはいないと思うので、下から勝負するしかない。大事な日本選手権があるので、そこで一発かましたいと思います」
おととしのアジア王者は去年、男子200メートルで初のオリンピックに挑みましたが、結果は自己ベストを大きく下回り、順位は43人中37位。敗者復活ラウンドではさらにタイムを落とし、全く歯が立ちませんでした。
(上山選手)
「しっかり準備できていたと思っていたので、その結果が伴わなくて悔しい思いもしましたし『なんでだろう…』という悩みもありましたし、いろんな気持ちがありました」

前の3人を信じて臨んだリレー
そして、4×100メートルリレーにはアンカーとして出場。狙うのはもちろん「金メダル」。
(上山選手)
「アンカーのメンバーを見れば、100mの決勝に残っているメンバーしかいないですし、『どうやってこの人たちに勝てるんだろう』というところはありましたけど、結局リレーは4人の力なので、他の3人がつないできてくれて僕のところに来るので、僕は本当に前の3人を信じて…」
上山選手は1位でバトンを受け取るも、終わってみれば順位は5位。またしても世界のトップランナーたちとの差をまざまざと見せつけられました。
(上山選手)
「僕は一番で(バトンを)もらうことを想定して、レースに臨んでいたので、想定通りではありましたし、そこをどれだけ耐えられるか、どれだけ粘れるかっていうところで、一番でもらってそのままゴールすれば金メダルだった。それを5番まで下げてしまったのは、すごく悔しい。本当に悔しい気持ちが残りました」

パリオリンピックで自らの弱さを痛感。「世界でも通用する力」を身につけようと、冬季練習ではハードなトレーニングにも耐え続けました。
悩み抜いた末にたどり着いた先は

そして、迎えた今シーズン。
(上山選手)
「一言で表すと苦しいシーズン」
ここまで、5つのレースに出場するも、思うような結果を未だに残せていません。
(上山選手)
「練習の動きも調子がいい時よりも走れているんですけど、試合のレースがいざスタートする時に体が重くなったり、動きが鈍くなったり、うまく走れないという状態が続いています。もどかしい。どうしていいかわからない部分があって。内心はめっちゃ悩んでいます」

それでも、陸上に向き合い続け、悩み抜いた末にたどり着いたのは至ってシンプル。「初心」に立ち返ること。
(上山選手)
「コツコツ基礎をやっていけば、ベースは絶対にあると思うので本来の自分の走りが戻ってくると思う。そこだけ最低限すれば、何かしら(復調の)きっかけはつかめると思う。(初めて)オレゴン大会に出て、すごく楽しかった思い出があるので、それをもう一回思い出したい。本当に楽しく競技ができたら。

3大会連続の世界陸上出場へ。7月4日に開幕する日本選手権が決戦の舞台です。
世界への挑戦権は誰にも譲らない。

CBCテレビ「チャント!」2024年6月24日(火)放送より