メジャーリーグも注目する、愛知県立高校のピッチャー。強豪の私立校に挑んだ夏を追いました。
7月6日、高校野球愛知大会の2回戦。スタンドは大勢の観客で埋まりました。お目当ては…
(場内アナウンス)「ピッチャーは芹澤くん」
県立高蔵寺高校の先発芹澤大地投手(17)。その初球、150キロを計測。
スタンドからはどよめきがあがりました。中学までは無名の芹澤投手。驚きの方法でその才能を開花させました。
(芹澤投手)
「ネットとかで見たことは意識して自分に合ったものだけ取り入れようかな」
Q.どんなことをネットで見る?
「“球が速くなるコツ”みたいな」

YouTubeなどの動画を見て球速の出る投げ方を研究。
さらに教育実習にきたOBの指導でフォームを修正。その結果、この春には150キロを計測するまでに。
メジャーリーグも注目 練習環境は“いたってふつう”の公立校
4月に行われた18歳以下の侍ジャパン代表候補の合宿では、甲子園常連校の選手が揃うなか、公立で唯一、芹澤投手だけが選出されました。
そんな中…自慢のストレートで同世代の強打者たちを次々ねじ伏せた芹澤投手。その名は海外にまでとどろき、メジャーリーグのスカウトが視察に訪れました。

(芹澤投手)
「メジャーからも注目されているのは、嬉しい」
そんな芹澤投手擁する高蔵寺高校ですが、練習環境はいたってふつうの公立校。それでも私立に負けるつもりはありません。
(芹澤投手)
「公立で注目してもらっているので、公立でも勝てることを示せたらいい」

迎えた愛知大会2回戦。相手は春のセンバツの21世紀枠にも推薦された私立の強豪・名古屋たちばな。
先頭バッターにツーベース 腰を気にする様子も
「必ず勝つ」と上がったマウンド。その初球。自己最速に並ぶ150キロをマーク。さらにこのバッターを追い込むと…
三振を奪った渾身のストレートは自己最速を更新する151キロ。高校最後の大会でさらなる進化を見せます。しかし3回、ヒットとバントで1アウト2塁のピンチを迎えると相手の3番打者にライト前へ運ばれ、先制を許します。続く4回。
先頭バッターに不運な当たりのツーベースを浴びた芹澤投手。
(芹澤投手)
「完全に万全ではなかったけど、万全に持っていけるような調整はしたので、自分のなかで腰は気にしていなかった」
実は大会の前から腰を痛めていました。この回、ピンチを広げるとスクイズなどでさらに2点を失います。なおもピンチの場面。痛烈な当たりが外野を襲います。これをセンターの吉田選手がファインプレー!芹澤投手だけじゃない。チーム一丸で勝利を目指します。
しかし、終盤にも失点を重ねた高蔵寺高校。強豪・私立の壁は高くメジャーも注目する芹澤投手の夏は2回戦で幕を閉じました。
(芹澤投手)
「私立を選ばず公立に来て、レベルアップできたのも高蔵寺だったから。次の舞台 社会人(野球)では日本一を目指して頑張りたい」
卒業後は社会人野球に進む予定の芹澤投手。いずれはプロ、そして夢のメジャーへ。
