この暑い中で大変困ったことも…岐阜県各務原市にあるスーパーではきょう、いつもと違う光景が…
(浅野屋 小山育子マネージャー)
「生の魚がないので、干物を販売しています」
新鮮な魚がずらりと並ぶはずが、ひものや加工品ばかり。そのワケは。
岐阜県の“台所”岐阜市中央卸売市場。7月26日午前5時。いつも通り、競りが始まりましたが…
(柳瀬晴貴記者)
「停電の影響で建物は暗く、車のライトを照明代わりに使っています」

場内の広い範囲が停電していました。懐中電灯に、スマホのライト。暗がりの中で行われていた競り。普段とは大違いです。
しかし、先週金曜日(25日)、場内で事故がおきました。
トラックの荷台の扉を開いた状態で走行…
(馬場勇樹カメラマン)
「損傷した高圧電線は、まだそのままになっています」

午後8時半ごろ。場内で高山市の卸売業者の男性が運転する大型トラックが、荷台の扉が開いた状態で走行。このため場内の高架をくぐりぬけようとして衝突し、その衝撃で高圧電線が損傷。市場の広い範囲で停電がおきたのです。
また、消火配管も破損し市場は火災発生の際の対応ができなくなりました。


事故を起こしたトラックは、荷台の扉が開いた状態で走ると警告音が鳴る装置は付いていました。
しかし、運転手は市の聞き取りに対し「警報機のスイッチを切って業務に当たっていた」と話しています。

市場に出入りする同業者に聞くと…
(市場に出入りする業者)
Q.ウイング(扉)を開けて走ることはある?
「ないですね。中でブザーが鳴るので。メーカーが『危ないですよ』と、取り付けているもの。(装置を)切るなんてことは普通はありえない」
岐阜市は現在、運転手の所属する会社に原状復旧を要請しています。
暗がりの中での競りに 目利きのプロもお手上げ
「マジで分からん!」
「何色やてこれ…」
「全然分からんわ」


暗がりの中での競りに、目利きのプロたちもお手上げだと声をあげました。
(岐阜魚介 武藤康裕 常務取締役)
「暗いから色なんて分からないよね。赤いのか黒いのか、まともな売り方はできない」

武藤さんはマグロはいつもの3割ほどの安値で、なんとか買い手がついたとは言いますが…
(武藤常務取締役)
「タイだけで1トンくらいある。全滅。全部死んじゃった」
水槽に酸素を供給する装置が停止。競りに出す直前のタイ1000匹以上を廃棄せざるを得なかったほか、ハマチにカンパチ、ヒラメなど多くの魚が酸欠で死にました。

(市場関係者)
「一回もまだ包丁触っていません。暗くて触れないもん」
(仲買人)
「週末が一番困る。
停電の影響は野菜の取り引きでも…
青果部門・売店・地元スーパーも 対応に追われ…
青果部門は、葉物などを保管する冷蔵庫が使えなくなり、鮮度が保てないとして少なくとも7月29日まで休場に。
(市場関係者)
「コンピューターも止まっている。きょうは業務がなんともならん。何億円の損害じゃないか」

水産加工品などを扱う場内の売店は、冷凍商品を停電被害を免れた場内の別の冷凍庫へ移し替える作業に追われていました。
Q.これはロウソク?
「そう。原始的やろ」
7月26日は、ロウソクの明かりをたよりに営業をつづけました。

そして岐阜の台所の復旧を地元スーパーも待ちわびています。
(浅野屋 小山マネージャー)
「うちは岐阜市場でしか買っていない。買う所がなくなるのは不安だし、売り上げもなくなってしまう。お客さんにも魚が提供できないので不安」

停電の発生からきょうで4日目。完全復旧の目処は立っておらず、岐阜市が対応を急いでいます。




