水浸しの床下に家の傾きも…後を絶たない欠陥住宅。
今回取材したのは「雨漏りしていない部屋がないくらい」と話す、名古屋市内に住む、田中さん(仮名)の自宅。
5年前、2990万円で購入したのは築24年のリノベーション済み物件で、3階建ての4LDK。
(田中さん(仮名))
「外壁はすごく問題があります。最初はきれいだったが、上の方を見ると剥がれたり膨らんできた」
外壁塗装はぼろぼろとめくりあがり、ひび割れを起こすように。

そして家の中でも…
(田中さん)
「ここも雨漏りでこのように剥がれたりシミがあったり。入居した時はきれいな状態だった」
入居してわずか3日で2階のキッチンの窓が雨漏りを起こし、半年後にはその隣の洋室の窓枠からも水滴が。
(田中さん)
「その結果、今はここが染みになったり下もボロボロになっている」

不動産会社「雨漏りではなく結露や湿気」
そして1年を過ぎると3階の窓からも雨漏りがはじまり今ではトイレ、洗面室、家中で雨漏りする事態に。
法律により宅建業者である売り主は、中古住宅でも2年は雨漏りなどの契約不適合について責任を負わなくてはなりませんが、売り主の不動産会社に訴えると…
(田中さん)
「雨漏りではなく結露や湿気だからと。雨漏りと断定できない以上は直さないと。『雨漏りというのはバケツとか受けていて、水が滴ってくる状態でなければ雨漏りとは言えない』」

その後、不動産会社は引き渡しから2年が過ぎた2023年10月、雨漏り調査を実施。その結果…
「その時点で確認できたのは3階北側窓付近からの水の侵入のみで、それ以外のものは“当該調査以降”に発生した不具合である可能性を否定できません」
との回答が。

この先腐ると…「ボロボロになって朽ちていく」
家中で雨漏りが起きているのに水の侵入は1か所だけとは納得できず、田中さんは住宅トラブルに詳しいある人を頼った。人呼んで住宅Gメン 長井良至さん。
一級建築士で、施工不良が疑われる住宅の原因究明や業者との交渉を請け負う、この道のプロフェッショナルです。

まずは雨漏りが最初に出た2階キッチンのサッシの継ぎ目。
(住宅検査・欠陥調査カノム 長井良至1級建築士)
「外壁材の表面がかなり傷んでいて、窓との境目に隙間が空いている」
サッシの継ぎ目にできた数ミリの隙間。シーリングと呼ぶ防水部分が切れていました。

(長井さん)
「水をかけてください」
長井さんが依頼した工務店に散水を任せ1時間ほどすると…部屋の中には水が。
(長井さん)
「(水が)出ていますね。この中に(水が)溜まっていますね。今2階の窓から水をかけて、外壁の中に入った雨がここから出ている。窓枠とか内側の下地材が腐ってくる」
Q.腐ったあとは?
「(窓枠は)ボロボロになって朽ちていきます」
(田中さん)
「何と言っていいのか…もうすごい…」
わずか“1分”で室内に水が…
次は洗面所のサッシの外壁へ。ここも売り主は異常なしとした部分です。
(長井さん)
「窓上のサイディング材が大きく割れて穴が開いています」
散水開始からわずか1分で…
(長井さん)
「(水が)出ていますね。両側からすごい」

次に調べたのが、バルコニーの外壁の上を覆うトタンの黒いカバー。
(長井さん)
「バルコニーの手すりの“笠木”と言いますが、上側から釘を打っているので、くぎ穴から雨が入っていく」
水の侵入を防ぐため、通常は釘を真上から打たないといいます。まずはくぎ穴。

バルコニー上部外壁の防水不良個所にも水をあて「軒天」と呼ぶ、バルコニー下面の木製パネルを取り出し、中を確認してみると…
(長井さん)
「上から水滴が落ちてきている、変色して腐りかけている。合板も腐ってとれている」
外壁を支える木材は黒ずみ腐りかけ、バルコニー自身を支える鉄骨は水に濡れ、いつ錆びてもおかしくない状態に…

(長井さん)
「外壁が落下する危険性がある」
(田中さん)
「ショックです。そこまでひどいとは思わなかったので、この先どうなるかなという不安の方が大きい」
不動産会社「話し合いにおける解決を強く望む」
調査の結果、家全体で8か所の防水不良が確認できました。しかし不動産会社はこのほとんどを認めません。
事実を確認するため、売り主の不動産会社に電話とメールで連絡したところ、こう回答が。
(不動産会社)
「弊社としましては、引き続き、話し合いにおける解決を強く望んでおりますが、今後、訴訟手続に移行することも十分に想定されます。現時点においては個別の事実関係に関する回答は控えさせていただきます」
と確かな回答を得ることはできませんでした。

(田中さん)
「腹立たしい。本当に腹立たしい。雨漏りを全て直してほしい。それができなのであれば誠意をもって対応してほしい」
夢のマイホームが悪夢のようになった現実。田中さんは業者に雨漏りの全面補修を求め裁判を準備しています。