おととし全国平均が時給1000円を超えた最低賃金。今回、過去最大となる63円の引き上げで、1118円となりました。
名古屋市中区にある1981年創業の「彦蔵」。昼は定食を専門に、夜は居酒屋として長沼さん夫婦と6人のアルバイトスタッフが働いています。
(彦蔵 長沼博彦さん)
Q.最低賃金の引き上げについては?
「みなさんの生活もあるので(最低賃金の)金額が上がるのはどうしようもないが、飲食店も今すべての食材などが値上がりしているので厳しい状況」

現在、店の時給は1100円。愛知県の最低賃金1077円より23円高い時給です。ランチタイムに出す定食は950~1000円と良心的な価格です。
(常連客)
Q.ランチ950~1000円という値段は?
「安い」
「頑張っていると思う」
客も「安いくらいの価格設定だ」と話しますが、企業努力あってのことです。

コメの仕入れ値 月に8万円→15万円ほどに
(妻・美枝さん)
「主人がなるべく“仕入れを安く”できるように市場に行って歩いて、こっちの方が安いからこっちで買おうとか日々そういう風にしている」
(長沼さん)
Q.仕入れで特に困ったのは?
「コメが一番」
店で使うコメの仕入れ値はおととし、月に8万円だったのが今は15万円ほどに値上がり。ランチタイムのごはんのおかわり無料が売りでしたが、この春、泣く泣くやめたということです。

そのほか、肉や野菜などの食材や、食用油も高騰。電気代やガス代も含め全てが値上がりし、経営を圧迫します。
(妻・美枝さん)
Q.ランチタイムの値上げは?
「今は考えていない。高くなったからと(客が)来なくなっても困るので、なかなか値段が上げられない。
「メニュー価格はもう変えたくない」
人件費削減のためお茶のセルフサービスなども行ってきましたが、2025年度の最低賃金は愛知は1140円が目安に。店が我慢できるのも1100円まで。とても困ることになりそうだと話す長沼さん夫婦です。
一方、アルバイトスタッフからは・・・
(スタッフ)
「(時給が)いいに越したことはないけど、物価がもう少し下がってくれればいい。(給料は)食費にほとんど消えてしまう」
長沼さん夫婦はメニュー価格はもう変えたくない、生活をきりつめるしかないと顔を曇らせます。