楽しいはずのお盆休みも今回は九州・中国地方の大雨で新幹線の運行に大きな影響が出ています。

ここ最近増えてきた「線状降水帯」など長く降り続く大雨。

JR東海は、こうした大雨に対する運転見合わせの基準を見直そうと、愛知県小牧市の研究施設で実験を続けてきました。

東海道新幹線の“雨対策”が進化 “運転見合わせ”を減らすカギ...の画像はこちら >>

(桜沢信司気象予報士)
「何ミリくらいの雨を降らせている?」
(JR東海 技術開発部 新美利典さん)
「1時間雨量200ミリまでの雨を人工的に降らせる事が可能」
(桜沢)
「1時間200ミリ!?日本記録も153ミリですよ」

東海道新幹線の“雨対策”が進化 “運転見合わせ”を減らすカギは「土地の水分量」 実際に列車の走る盛り土でモニタリング開始
CBC

ここで実験しているのは、前代未聞の豪雨実験。1時間に200ミリという、日本の観測記録をはるかに超える“ありえない大雨”を人工的に降らせます。まるで滝のような雨の中で、盛り土がどれだけ水分に耐えられるのか、徹底的にデータを集めていました。

東海道新幹線の“雨対策”が進化 “運転見合わせ”を減らすカギは「土地の水分量」 実際に列車の走る盛り土でモニタリング開始
CBC

(桜沢)
「雨の音がすごい!」
(JR東海 新美さん)
「昨今、雨の降り方がより激しくなっている。現状の盛り土がどのくらいの実力値を持っているかを把握をしようと」

実際に新幹線が走る静岡県内の盛り土に潜入

実は、東海道新幹線の44%で低い土地や傾斜のある土地に土を盛り、平らにして線路を走らせています。その盛り土の大雨に対する実力値を測ることが、安全な運行はもちろん、”運転見合わせ”を減らすカギになる可能性があるのです。

東海道新幹線の“雨対策”が進化 “運転見合わせ”を減らすカギは「土地の水分量」 実際に列車の走る盛り土でモニタリング開始
CBC

(桜沢気象予報士 7月25日)
「静岡県富士市です。実際に今、東海道新幹線が走っている、その盛り土部分にお邪魔させていただきました。よろしくお願いします」

静岡県富士市。JR東海は実験場所を実際の営業区間に移していました。

東海道新幹線の“雨対策”が進化 “運転見合わせ”を減らすカギは「土地の水分量」 実際に列車の走る盛り土でモニタリング開始
CBC

(JR東海 新幹線鉄道事業本部 宮下優也さん)
「こちらが東海道新幹線の実際に走っている線路の盛り土で、モニタリングを実施している箇所」

JR東海は新幹線の営業区間59か所に雨量計を設置し、ことし6月から基準値の見直しを始めました。

“運転見合わせ”のカギは新たに導入した「土壌雨量」

これまでは1時間に降った雨の量と24時間で降った雨の量を、運転見合わせの基準としてきました。しかしJR東海が新たに導入したのは「土壌雨量」。

降った雨がどれだけ地面に染み込んでいるかを示す値、つまり”土地の水分量”を測ることで、細かく運転規制ができるといいます。

東海道新幹線の“雨対策”が進化 “運転見合わせ”を減らすカギは「土地の水分量」 実際に列車の走る盛り土でモニタリング開始
CBC

東海道新幹線の“雨対策”が進化 “運転見合わせ”を減らすカギは「土地の水分量」 実際に列車の走る盛り土でモニタリング開始
CBC

(JR東海 宮下さん)
「雨が降ると土の中に水分が浸透し、量が増えると土が不安定になり崩れてしまう可能性がある」

実際に去年小田急線では、台風による大雨の影響で、神奈川県内の線路脇の盛り土が崩落しました。新幹線でも盛り土の対策が課題でした。そこで。

(JR東海 宮下さん)
Q盛り土から出ている黒いパイプは何?
「これは盛り土の中の水分量を測るセンサー」

JR東海は静岡県内18か所の盛り土部分に水分量を計測するセンサーを埋め込み、大雨が降った際の土の中の水分量の数値を細かく調査することを始めています。

盛り土の土質は土地によってさまざま

Q盛り土の中はどんな土?
「東海道新幹線、東京から新大阪まで近くの土を採るところから盛り土を作っている。土地によってさまざまな土質がある」

東海道新幹線の“雨対策”が進化 “運転見合わせ”を減らすカギは「土地の水分量」 実際に列車の走る盛り土でモニタリング開始
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もともとの土地の地形や場所によって、土の種類や水はけの良さは、大きく異なります。そのため場所によっては、土壌雨量の規制値として設定した値を超える大雨にも、耐えられる区間が見つかる可能性があるのです。

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(JR東海 宮下さん)
Q新幹線を止める必要がない雨量なら、今後止めないこともある?
「まだそこは検証中なんですけれども、大雨に耐えられるよう必要な対策を実施し、安全を確認したうえで規制値を見直すことも検討している」

日本の大動脈、東海道新幹線。安全運行という大原則は維持しつつ、”運転見合わせ”の数を減らすことはできるのか。JR東海の挑戦が続いています。

東海道新幹線の“雨対策”が進化 “運転見合わせ”を減らすカギは「土地の水分量」 実際に列車の走る盛り土でモニタリング開始
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