運転中突然タイヤが破裂するバースト事故。大事故につながる恐れもありますが、特に“夏場”に増えるというその理由とは。
高速道路を走る車。次の瞬間、ふらつきながらガードレールに激しく激突、そして横転。車内のドライブレコーダーは「大きな音」を捉えていました。これはタイヤの破裂音。車は制御不能になり横転。フロントガラスには無数のヒビが。
横転した運転手は「突然爆発音が聞こえてハンドルが利かなくなった」と話します。
車には5人乗っていましたが、全員擦り傷程度ですみました。
観光バスのタイヤが突然…
また、高速道路を走る観光バスも…右前のタイヤが突然破裂。ハンドルが大きくとられます。それでもハザートランプを出して何とか路肩に車を寄せました。運行したバス会社に話を聞くと。
(中央交通 野口雄三さん)
「当時は時速98キロで走行していました。

突然タイヤが破裂し、車体のコントロールを失う「バースト」。事故につながる危険な現象ですが、実は特に夏に増えてきます。
路面の温度が高くなり、タイヤへの負担が高まるためと考えられていますが、対策についてロードサービスでお馴染みのJAFに聞くと…
(JAF愛知支部 吉田英治さん)
Q.バーストの原因で多いのは?
「タイヤの空気圧不足が一番の原因です」


タイヤがたわんで…破裂
バーストの主な原因は、タイヤの「空気圧不足」。これで何が起きるのか。
空気圧が正常なタイヤと規定の半分のタイヤを比べてみます。両方のタイヤを高速回転させると…空気圧が少ない方が波打ち始めます。

(JAF 吉田さん)
「だんだんタイヤがたわんで波打つ状態になって、スタンディングウェーブ現象が起きる」
波打ちながら回り続けることでタイヤが発熱し…側面が一気に膨れ上がり破裂しました。


では、適正な空気圧をどう調べるのか。
(JAF 吉田さん)
「(運転手側の)ドアを開けると(指定空気圧の)記載がある」
空気圧の点検は月に1度は必要とされますが、JAFの調べでは点検している人は全体のわずか3割以下。ガソリンスタンドでも手軽にできる空気の点検、必須です。

作業員が吹き飛ばされ一回転…
古くなったタイヤも注意が必要です。インドで作業員がタイヤを車体から外して点検中…バーストし、作業員が吹き飛ばされました。
その5秒後、空中高く吹き飛んだタイヤが落ちてきました。バーストの勢いがわかります。


滋賀県のタイヤ協会が行った、バーストの被害を検証する実験では…
トラックやバスに使われる直径1メートルほどのタイヤ。その真横にマネキン人形を設置。規定以上に空気を送り込み、意図的にバーストを起こします。
しばらくすると…プチプチと音がし始めました。これはタイヤの骨格にあたる「カーカス」というパーツの破裂音。そして…バースト!
衝撃でマネキンはバラバラに砕け散り、はるか後方に吹き飛ばされました。劣化や空気の入れすぎも要注意です。


タイヤの製造年月日どこで確認?
(JAF 吉田さん)
「(タイヤの)製造年月日は、タイヤのサイドに書いてあります「1925」とありますが、下2桁が製造年=2025年、前の2桁が19週目に作られたタイヤ(5月ごろ)という意味です。毎日車に乗る方であれば製造から5年を目安にタイヤ交換を検討してください」

走行車線を走る銀色のトラックは…右前輪がバースト。車体が大きく傾き衝突寸前に。実際に衝突するケースもあります。

白い煙を吐きながら高速道路を走る一台のキャンピングカー。右へ左へふらついた次の瞬間、左側のトラックと衝突し横転。幸いにもけがをした人はいませんでした。
一歩間違えば大事故につながるタイヤのバースト。空気圧の点検や傷の有無の点検はドライバーの重大な責任です。
CBCテレビ「ニュースクロス」2025年8月25日放送より
