私たちの暮らしに「水道」は欠かせませんが、いま全国で水道管の老朽化が深刻な問題となっています。

26日朝、愛知県大府市の住宅街で道路が水浸しに。

愛知県によりますと、原因は水道管の破損によるものだということです。また、ことし1月には埼玉県八潮市で道路が陥没。「下水道管の破損」が原因と考えられています。こうした下水道管の老朽化による道路陥没はこの名古屋市でも。

名古屋市の水道料金“10月から値上げ”の背景に「施設の老朽化...の画像はこちら >>

2016年に、名古屋市千種区で道路に長さと幅がそれぞれ2メートル、深さ1.5メートルの穴が…。

2017年には名古屋市中区・錦でも、長さと幅がそれぞれ20センチ、深さ25センチほどの陥没が見つかりました。

名古屋市の水道料金“10月から値上げ”の背景に「施設の老朽化」や「人口減少による収入減」 “速やかな対策”が必要な下水管 全国で最長は愛知県の14キロ
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“対策が必要”な下水管 全国で最長は愛知県 

水道管がどれほど老朽化しているのか!?
国は埼玉県八潮市の陥没事故を受け、全国の自治体に下水道管の調査を要請。腐食や亀裂などにより、「原則1年以内に速やかな対策が必要」と判定された下水道管は、全国35都道府県で72キロメートルにのぼることが分かりました。

このうち愛知県内は14キロメートルと、全国で最も長くなっており、愛知県が管理する部分は、11.3キロメートルを占めていました。

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(愛知県 大村秀章知事)
「目くじら立てるほどのキロ数でもない。速やかに調査して必要であれば補修する」

大村知事は9月17日の会見でこのように述べ、今後の調査で対策が必要な箇所を絞り込む方針です。

こうした老朽化がもたらす影響の1つが水道料金の値上げです。

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10月から名古屋市の水道料金値上げ

(松本道弥アナウンサー)
「名古屋市では10月から水道料金が値上げされます。毎日使う水の値上げに、街の皆さんはどう思っているのでしょうか?」

値上げされる金額は、値上げ前と比べ一般的な4人世帯では1か月あたり約239円、単身世帯では約415円になる見通しに。

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(70代1人暮らし)
「今は値上げはちょっと嫌。なんでも値上がっているから、なるべくしてほしくない」
(50代3人暮らし)
「値上げはやめてください。せめて現状維持で」
(大学生1人暮らし)
「朝シャワー浴びるとかしてたが控えた方がいいのかな」
(高校生)
Q.今後1人暮らしをするかもしれない…水道料金が高いのはどう?
「これ以上また上がるかもしれないのが若干心配。安ければ安い方がいい」

名古屋市 値上げのワケは“施設の老朽化”

長引く物価高の中での今回の値上げ。市の苦渋の決断にはワケがありました…

名古屋市緑区にある鳴海配水場。浄水した水を各家庭に届けるための重要な施設です。こちらの配水場では、緑区の全域など約27万人に水を供給しています。

(名古屋市上下水道局経営企画課 安達博紀課長)
Q.大きな建物がありますが、これは何ですか?
「これは鳴海配水塔。配水池に集めた水をくみ上げて、高さを利用して各家庭に水道水を供給する施設」

配水場は、浄水場から送られてきた水道水を配水池に一時的に貯水し、各家庭へ送るための施設。これがなければ水道水を利用できないのです。

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(松本)
「広大な空間。(地面より)20メートルくらい深くなっている」
(安達課長)
「ここは鳴海配水場の第2号配水池」
Q.水がたまる場所?
「そうですね」

鳴海配水場が建設されたのは、今から約50年前。施設の老朽化が進んでいることから現在、水道水を貯蔵する配水池の工事が行われていて、工事費用は約44億円。

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工事費用“約271億円不足” 物価高や収入減少も値上げの要因

工事はこのほかにも、名古屋市上下水道局の大治浄水場など各所で行われていて、費用はさらにかさむため、水道使用料金を値上げせざるを得ない事情がありました。

(安達課長)
Q.工事のお金が足りてない?
「試算したところ、令和10年度末までで水道下水道あわせて、約271億円不足する計算」

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さらに、水道使用料金の値上げの理由は他にも…

(安達課長)
「昨今の物価高騰で、資材価格や人件費含め費用が増加していて、当局が支出する費用も大幅に増加している。その上で料金収入についても、節水機器の普及などで使用水量が年々減少し、料金収入も減少している」

市の上下水道局も民間企業と同じく、収入がなければ成り立ちません。今後のさらなる人口減少で、水道使用料金の収入減少の傾向は加速すると、市は危機感を抱いています。

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